黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

鶴見線国道駅

2005-12-30 05:43:20 | 鉄道遺産
JR鶴見線の石油支線の見学の帰りに、
鶴見駅から一つ目の駅、国道駅で降りてみました。
「今なお昭和の面影が色濃く残るガード下」
と話には聞いていたので、期待に胸が膨らみます。

しかし人気のないホームから無人改札を出ると、
そこには懐かしい昭和の風景もなければ、
チェーン展開する24時間営業の店が並ぶ、
平成のガード下の光景もなく、
ただ妙に静かな仕舞屋が並ぶ、暗い路地でした。



唯一やっていると聞いた「やきとり国道下」も、
この日は閉まっていたので、
それから考えると日曜日だったのかと思いますが、
記憶が定かじゃありません。

天井灯も暗く、露地を照らすのは不要に多い自動販売機の灯りだけです。



ガードを出ると国道1号線が走っていて、
往来も結構ありますが、
ひとたびガード下に入ると突然時間軸が狂って、
この蒲鉾型の蛇行するガード露地が、
まるでタイムトンネルの様に思えて来ます。

向こうから乳母車を押して来る老婆が、
凄くスローモーションで動いているようで、
後ろから通り過ぎる自転車も、
なんとなく静止画像で作った動画のように、
切れ切れに進んでいくような感じがしてきました。
だんだん頭がくらくしてきたと思い、
その原因を考えると、

クレゾールの臭いです。

地下道のクレゾール。
忘れもしない新宿の東口と西口を繋ぐ小さな地下道。
いまでこそ綺麗になりましたが、
かつてこの地下道にはいつも目が痛くなるほどのクレゾール臭が、
充満していました。
そして道の両脇には、
白い服を身にまとい、カーキ色の帽子を被った人が何人も、
自分のものじゃない膝の前に缶を置いて座っていました。

地下道のクレゾールの臭いが、
ずっと忘れていた記憶を、呼び覚ましました。
 


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2 Comments

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Unknown (GG-1)
2005-12-30 12:27:22
私も随分と昔にチョット覗いたことがありますが、薄暗~い奇妙な空間でした。

写真を拝見すると、最早廃墟の匂いがプンプンしておりますね。

何故此処に、人間が居るのだ?

というような、妙な感じが致します。
Unknown (廃墟徒然草)
2005-12-31 03:35:14
▼GG-1さんへ



私が見たときは、雰囲気は完全に廃墟露地でしたが、

両側に並ぶ仕舞屋からは灯りが漏れてきているものもあり、

店はやっていなくとも、

まだ住人の方はいらっしゃるところもあるのかと思います。



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