Silver linings

カリフォルニアで子育てとか仕事とか。

テーブルソーでキックバックが起こった

2013-06-17 23:19:34 | 木工 (Woodworking)
最近の工房での一コマです。
別の目的で撮られた写真ですがそこに背景としてちゃっかり写り込んでしまった自分。せっかくなので載せておきます。

(小さくて分かりませんが、テープメジャーを手にして何やら頭の中で計算中、といった図)

手前にあるのがテーブルソー。
テーブルソー (table saw) というのは、作業台の中央で丸ノコが回転するマシンのこと。木工作業で最も活躍する花形マシンです。

しかしその反面、重大な事故が起こりやすい機械であることも事実。このテーブルソーでは、使い方を誤ると「キックバック」と呼ばれる恐ろしい現象が起こります。前回の記事で書いたことの続きとして、私の身に起こったテーブルソーの事故(というかケガ人はいないけれど)を書きますね。

「キックバック」とは、高速で回転する刃物に木材がはじき飛ばされること。Youtube にカメラがとらえたキックバックの瞬間があります。

この映像の 2分30秒頃に起こる現象がキックバック。

ブログに書いていなかったけれど、実は3月頃にこれとまったく同じことが私に起こりました。幸いなことにケガはありませんでした。でも、起こった直後、身体が膝から勝手にガクガクと震えだして、あまりのショックでしばらく立ち尽くしてました。

私のブログの読者がどれだけ木工や電動工具についての知識があるのか分からないけれど、正確に書くと、そのとき扱っていた木材は50cm四方、厚さは1.5cmほど。その端を角度をつけて切り落とすために、丸ノコの刃を45度倒していました。今までに何度もやったことのある加工作業です。

高速回転する丸ノコに向かって、木材を手で押し進めていたその時。
突然これまで感じたことのないような異常な力を感じ、あっという間に木材が丸ノコにとられてビュンッと私の後ろにはじき飛ばされました。台から飛ばされる時、木材は私の左脇腹に当たり、それでも止まらずものすごい勢いで後方へはじき飛び、5メートル後ろの工房の壁を直撃。

このすべてが1秒以内で起こりました。
本当に「あっ」という間もなく、すべてが一瞬のうちでした。

怖かった〜・・・。

幸いなことにそのとき私の後方には誰もいなかったので、他人を巻き込まずに済みました。はじき飛ばされた50cm四方の木材は、回転しながらものすごい速さでブーメランのように飛んでいったので、あれがもし誰かに当たっていたらと思うと、、、。それに Youtube の映像のスローモーションのところで見ると、キックバックが起こったときに男性の指が限りなく刃に近づいていますよね。高速回転する刃ですから指を切っていてもおかしくない映像です。

もし細長い木材だったとしたらはじき飛ばされた材は、矢のように飛び、壁にめり込んでいたでしょう。聞くところによると、人の身体を貫通するほどの威力があるそうです。

キックバックの危険性、原理について、それまで何度も聞いていたのに、頭で理解していても、実際に作業する際に手が誤ることがあるんですね。テーブルソーを使う人達の中で最も恐れられている現象キックバック。ケガがなかったとは言え、それが自分に起こり、直後は本当に膝がガクガク、、、身体の震えが止まりませんでした。

この事故が起こった後、同僚に
I've got a kickback on the table saw!! So scary!!
(キックバックくらっちゃったよ、怖かったー!!)と言ったら、
すぐさま返ってきた言葉が、
「大丈夫?」でも「ケガはない?」でもなく、
Do you know why it happened?
(なぜそれが起きたのか分かる?)
でした。

それまでショックと恐怖でいっぱいだったのが、なんだかこの彼女のひとことで冷静になれました。

It is important (to know why it happened), otherwise, it'll happen again.
(原因を知ることは大事、じゃないと、また同じことが起こるわ)

ほんとそのとおりです。
そして、なぜあれが起こったのか自分なりに理解に努めました。起こった原因はとてもシンプル:木材をしっかりと押さえる力が足りなかったことと、木材を無意識のうちに刃のほうに近づけていたこと(本来ならまっすぐに押し進めなければならない)、安全装置として使う割刃をつけていなかったこと。刃を45度に倒していたこともあって木材が刃のほうに無意識に近づいていったようです。それであっという間に材を高速回転する刃にとられた。


この黒いのが割刃です。今回私が誤ったように材が左に寄ったり右に寄ったりするのを防止するスプリッターの役割をしてくれます。割刃はいつも付けて使用していましたが、この日、刃を倒していたこともあって角度のある刃には付けられないのだろうと(勝手に)間違った解釈をしてしまっていました。

テーブルソーは作業の内容によって割刃や安全カバーを取り外して使用しなければならないことがあるのですが、どんなときに何を使うか、または使ってはいけないか、こういうことをひとつひとつ理解していかなれけばと思います。

これが起こったのが3月でしたが、それ以降、すっかりテーブルソーが怖くなりしばらく遠ざかっていました。今ようやくまた以前のように物理的には使えるようになりましたが、心理的にはいつも尻込みです。人一倍の恐怖心と戦っています。危険な機械を扱っているのだから当然です。でもその危険を回避したり不安を軽減してくれるのは、しっかりとした知識と経験なのだと思います。怖い怖い、と思っていても、何の助けにもなりません。

また自信を持って使えるようになるまで、しばらく時間がかかるかもしれません。数ヶ月経った今でも「怖い」と思うのだから。こんな時だから映画で聞いたセリフが心にしみたのです。

Danger is real, but fear is a choice.

いつも危険と隣り合わせ。
でも、怖いと思うか思わないか、それは自分で選択していることなんですね。
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2 コメント

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お邪魔します (classup)
2013-09-02 05:38:31
初めまして
テーブルソーを購入しようと思いサイトを回っていたところたどり着き、勉強させていただきました。
知人にキックバックで怪我をした人もいますが、勲章のように自慢したりするのは日本人と外国の方の考え方の違いでしょうか。。
(ゴーグルとかイヤーマフとか日本人って殆どしませんしね)
ともあれ、自分が購入しようとしている機械の危険性を改めて認識いたしました。
動画、百聞は一見に如かず。ですね。
ありがとうございました。
またお邪魔させてください。
コメントありがとうございました (rucco)
2013-09-08 00:42:43
classupさんこんにちは!
コメントに気がつかずに失礼しました。
テーブルソーの購入を考えてらっしゃるんですね、うらやましいです。私の周りでは、個人で購入する場合は Bosch のポータブルなタイプのテーブルソーを買っている人が多いですよ。
個人ではなくスタジオや工房で何人かでシェアして使う場合は SawStop が人気です(人肌センサーがついていて、もし手が刃に触れた場合すぐに高速回転する刃が止まるようになっています。ケガが最小限におさえられます)。

ゴーグルやイヤーマフをする人がほとんどいないとは驚きですね。私は工房に入る時は必ず装着しています。あとケガを自慢するというのは分かりませんね〜、本当の怖さが分かっていないのではないでしょうか。心配ですね。

最近 woodworking できてないのですが、またなにかつくったらアップしますね。

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