四行詩集日乗

夜鴉亭好RUBAIYATルバイヤート限定本浮世絵草双紙
艶本読本詩集無節操無分別無目的展開
備忘録粗忽書影日記帖也

総革本の話 『世界珍籍選集』

2009年05月25日 00時00分12秒 | Weblog
総革装三方天金で限定各100部の『世界珍籍選集』全10巻シリーズは、稀本でしょう。
地下出版関係の総革本を数多く紹介する佐々木桔梗さんの『総革本の話』ですが、この『世界珍籍選集』には、触れていませんから。



『世界珍籍選集』全10巻 編集篠崎兼三 1929年(昭和4年)世界軟派文献研究会
総革装三方天金 限定各100部 B6判 250ページ前後 


1929年(昭和4年)7月、秘密裏に出版された猥褻書籍『世界珍籍選集』は、篠崎兼三の手により全10巻が出されました。
当初は、全15巻を考えていたようですが、官憲の目厳しく10巻で終了しました。
篠崎は用心深く印刷所や製本所を転々と換えて手入れの目を逃れようとしました。
そのため、印刷や製本の使用がそのつど異なり、完成された書籍を見比べると微妙に違うのが見て取れます。

とは申せ、総革装に三方金、さらに孔雀のデザインが平に金箔で刻印された美しい造本という基本は統一されています。
数多ある猥褻書籍本の中、出色の出来映といえるのではないでしょうか。

ただし、使用した革が若干薄いため注意して保存しても痛みやすようで、掲載本のように綺麗な装訂のまま保存されているのは、誠に少ないようです。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 総革本の話 『ウパニシャッド』 | トップ | 総革本の話 独居の境涯 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2022-06-12 14:46:27
当時の新聞記事(朝日新聞 1930年4月16日 東京夕刊 2面)によれば1冊15円で元々全20冊を予定していたそうです。
部数限定と謳いながら10倍は刷る商法ではなく、本当に100部の発行らしいこと、
会員のもとに官憲が押し寄せ始末書をとられたことも本書を稀少たらしめたのでしょう。
造本が豪華なものの、教養主義の円本の書架に並べられていれば個別にみられることもなく、
そのまま処分されてしまったものもあるでしょう。

古書店の文庫櫂に全冊揃が出ていたこともありますが、単体でももちろん全揃でもあまり見かけないまさに稀本と言える逸品でしょう。

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事