(表彰されたチームの面々。この日は専攻組だったが、非専攻組の学生には「本当に好きで」勉強している者も多く、レベルは専攻組に劣らない)
台湾では多くの学生が日本語を学んでいる。日本の対台湾窓口機関・財団法人交流協会の調べでは、台湾における日本語学習者は2006年度で約19万1000人。高校と中学で日本語を教えるところも1999年には合計277校と、日本語は底辺の広い学問の一つとなっている。それでは日本語を学ぶ学生たちがその成果を発表する場はどこか?もっとも一般的なのがスピーチコンテストだ。あらかじめまとめた原稿を丸暗記して発表するもの、その場で与えられるテーマに沿って即興で自分の意見や経験を述べるもの、形式こそ様々だがどうしても固いものになりがちだ。そんな中、多くの学生が愛する日本のアニメーションやドラマのセリフに挑戦する、つまり声優になってしまおうというユニークなコンテストが行われている。台北にある北台湾科学技術学院応用外国語学科が2008年から実施している全国大学生日本語アフレココンテスト(全国大学生日語配音比賽)だ。
(コンテスト開始前、チームのメンバーは慎重に準備する。マイクの音量は特に大切。正面にスクリーン、参加者は右に並んで演技した。机の上のA~Fの札は審査員がメンバーを識別するためのもの。映像の撮影は著作権保護のため禁じられた)
このコンテストは各大学の学生がチームを組んで参加する。チームは4人から6人。アニメーションやドラマから8~10分間を切り取って(編集も可能)、会場でそれを放映しながらその場で声をあてるのだ。ユニークなのは、音楽以外の効果音もその場で作り出さねばならないこと。このため、団体部門では採点も発音25%、声の感情表現25%、流暢さ25%に加えて、チームワーク15%、サウンド効果10%と効果音なども評価の対象となる。
今年の大会は3月27日(非日本語専攻組)と28日(日本語専攻組)に行われた。28日には16チームが参加、『新世紀エヴァンゲリオン』、『名探偵コナン』、『けいおん』、『千と千尋の神隠し』などお馴染みの作品が次々と登場、感情のこもったセリフ、工夫された効果音で審査員たちを驚かせた。団体部門で優勝したのは台南市にある私立立徳大学応用日本語学科のチームで作品は『フェアリーテイル』。また、個人部門優勝は、『新世紀エヴァンゲリオン』で葛城ミサトをクールに演じた国立台中技術学院応用日本語学科三年生の陳亜筑さんだった。
(個人部門で優勝の陳亜筑さん。まるで声優の声だった)
日本語学習にアフレコを取り入れるメリットは何か。このコンテストを発案し、苦労しながら続けてきた北台湾科学技術学院の管美燕・先生は、正確な発音・アクセント・イントネーションとスピード、感情表現だと指摘する。管・先生自身、かつては日本のドラマをテープに録音して聴き込んで練習した経験を持ち、その効果を確信していると共に学生たちの興味が強いアニメやドラマを利用することで学習意欲を高める効果も期待している。三年間このコンテストを見てきたが、狙いは大いに成功していると感じる。(台湾国際放送では専攻組団体部門の優勝と準優勝の作品を4月4日の番組で紹介しています。ご興味のある方はこちらから4月4日の番組を選んでお聴き下さい。27分50秒からの放送なのでゲージをそこまでスクロールして下さい)
台湾の学生はサブカルチャーを通じて日本に触れているためか日本語と日本文化を学ぶぼうとする傾向が非常に強い反面、日本の政治経済や社会制度についての研究は相対的に遅れていると指摘する声も多い。しかし、言葉の学習でもっとも魅力的なのは会話力であることも事実。学生たちがより流暢な日本語をマスターすると共に知識を充実させて、台湾と日本の間の架け橋になってもらいたいと思う。(U)
(団体部門優勝の立徳大学のチーム。女性軍はコスプレでキャラになりきってのパフォーマンスだった。左から二人目は指導教師の山下訓儀先生)
前は外国語習得練習に「外国語芝居・寸劇」をやったものですが、最近はアニメのアフレコ、時代ですね。
台湾での日本語声優さんに成長してくれるのを期待します。
日本もやらねば!
ではまた
北台湾科学技術学院の管美燕・先生は、正確な発音・アクセント・イントネーションとスピード、感情表現だと指摘する。
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★ 全くそのとおりですね。
聞いていて、日本人のコスプレと言っても誰も疑わない、それぐらい成り切っていると思いました。
日本の外語大の語劇よりも、遥かに水準が高いと思います。
学生に演技力が無いと言えばそれまでですが、身体演技や言葉の感情表現がぎこちなくて、台詞の棒読みになっています。
アニメの言い回しや語彙の特徴かもしれないけれど、聞いていて日本語らさ満点でした。
アニメは、スピーチや演劇よりも良い題材だと思います。