上砂理佳のうぐいす日記

京急百貨店上大岡店7階アートステーションでの特集展終了しました。次回は来年2月下旬広島福屋駅前店での展覧会になります★

「僕やり」最終回を見て。。。★

2017-10-10 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ
前半まで面白かったドラマが、後半急に失速してガッカリ…ということが多いのですが(某「アルジャーノン…」とか。はああ)、「僕たちがやりました」は、腰くだけが無く、最後まで走り抜けてゴール。最終回がもっとも印象深いものとなりました。
だいぶ時間経ってしまったけど、感想を記しておきます~。

ハッピーエンドでないのに「面白かった」というのは不思議ですが、「バッドエンドなのに後味が悪くない」というのも不思議。
最終回からかなり時間が経っているのに、今も引きずってるなあ。テーマが凄すぎて…響く人には響くけど、響かない人には響かない?
ギャグ漫画のようなチャラケた描写で進みながらも、「人間が追い込まれた時の本性」が上手くて、おかしくも切ない佳作でした。
正直言って原作者はかなりの才能の方では…小説で言えば芥川賞とか獲るような(この場合は直木賞になるのかな。どうだ?)。
あ、でも最後まであの化学教師が持ってた映像(パイセンが爆弾をガスボンベ近くに転がしたやつ)が、どうやって撮影されたのか謎は解けなかった。。。

「僕やり」面白かった要因として、人間の「醜いところ」の描き方がリアルで、4人の若者の「絆の薄さ」の表現なんかも、いかにも「今」を感じさせます。ベタな友情物語でないところもいい。
ヤンキーとか女性の描き方はまあ…蓮子とか今宵ちゃんみたいな賢く強い女の子は、そうそういるもんじゃない(笑)。
そこは作者の女性への願望が入っているかも、ですが、それを差し引いても、メイン4人男子の描き方が上手くて「実際に居そうで居なさそうで居る」ぐらいの温度感が良かったです。

実はドラマと並行して、原作をちょこちょこ流し読みしてしまってたんですが、原作の結末では10年後、主人公トビオは「死んだように生きている」感が強かった。
社会的制裁も受けず経歴に傷もつかず、「そこそこ幸せな人生」を手に入れたのに、常にちらつく「死への願望」からは逃れられない。
ドラマでは、原作と違い少年院で何年かを過ごしたようで、多分高校も中退したのでしょうか。
バイト先でも過去の罪を暴露され退職を余儀なくされる(今はネットに全て残る…)。
「もう、“そこそこ幸せ”は遠いものになった」人生を送るトビオ。

死なせてしまった市橋の幻影に苦しめられ、「死ねたらどんなに楽か」という誘惑にもかられ、何もいいことは無いかのように見えますが、「それでも生きる」ことを決意した。
なぜなら、「自殺したら何も成長していない」ことを、トビオをは悟ったから。
苦しいことから逃げていたら楽だけど、結局それは蟻地獄に過ぎず、捕まることで地獄からの脱出を試みた。
27歳になったトビオの人生は、これからも相当厳しそうですが、私には彼が望んだ「自由」が手に入ったように見えました。
それは「罪を隠す」ドス黒い「しみ」のようなものが、多少なりとも薄らいだから。
「しみ」を薄くして幸福になるかどうかは、これからの彼の生き方次第。
その選択肢を残した、というところで、原作と変えたラストを私は気に入ってます。
それと同時に、原作の方は4人ともほぼ成長してなくて、「結局人間なんてこんなもんだよね」というところに落としてあるように思うのですが、ドラマ版は2段階ぐらい4人の誠実度を上げてあるので、「みんな頑張れよ」という気になります。特にパイセン(!)

人間、何をやっても生きていかにゃならんのね。。。
才能があったり努力して成功したり元々お金持ちだったり血筋が良かったリ、プラス要素の多い人間だけが生きてるんじゃなくて、マイナスをいっぱい抱えていても、生きなくてはならないし、生きてる価値は同じ。
パイセンが義理の弟をメッタ刺しにするところ、ビックリしました。
こんなことする勇気があったなんて…でも、私「いいぞ!もっとやれ!」って思っちゃいました。
「ゴミみたいな人間は死んだらいいんだ」なんて、誰も言う権利ないし、ましてや恵まれてる義弟になんか言われたかーねーよ!
パイセン、頑張れ!って思っちゃいました。

パイセン、学歴も職歴も無い30歳で、あるのは懲罰歴だけ。お金も無い。家庭も無い。
こんなに無い無い尽くしになったのに、「夢」だけはあるのです。
それもほぼ実現不可能そうな(?)夢。そして楽天性。
彼がトビオに放つ「時々死にたくなるのが、生きてる証拠やで」という名言は、不幸な育ち方をしたパイセンが身に着けた、いわば処世術から来るものでしょう。
「生きてるから、死ぬまで生きにゃ、しゃーないやん」。
そだね。
キャバクラ経営で荒稼ぎしても、貧乏子沢山でも、実現しそうにない夢を見ていても、とにかく「生きる」。
なんか、「成功して幸せにならないと生きてる価値が無い」ってのより、「ジタバタみっともなくても、生きてていいんだ」と思える方が、ずっといい。
そのメッセージが、とても響きました。

街で再会したかつての恋人・蓮子が、他の人との家庭を持っていて、もう一生、人生で交わることはないんだってシーン。あるなあ。
でも、別れても、人間として自分のことを大事に思ってくれてるって、なんて有難いことなんだろ。
苦い思いを噛みしめながら、人はそれでも生きるのね…。
トビオの人生に幸あれ~と、祈らずにおれない。深い余韻はずっと心に残ります★
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