日馬富士を寄り切りで下し、全勝優勝を決めた白鵬(手前)=上甲鉄撮影
大相撲秋場所千秋楽(26日・両国国技館)――信頼回復の場所は、無敵の横綱の独り舞台で幕を閉じた。
「私は、決して力が強いわけではない。運は、勉強、精進した人に神様が与えてくれる」と白鵬。演説調の優勝インタビューも心憎いくらい完璧(かんぺき)だ。
日馬富士には、過去7敗。横綱昇進後、数字の上では最も負けている相手である。だが、今の白鵬と力量差は歴然だ。いい立ち合いを見せた大関をどっしりと受け止めると、瞬時に寄り返す横綱相撲。8度目の全勝で締めた場所を、「自分が、という気持ちが強かった」と振り返った。
危なげなく62連勝を重ね、ついに双葉山の69連勝を射程にとらえた。放駒理事長(元大関魁傑)は「かなり確率は高い気がする」と予想したが、大記録に到達するのは、九州場所7日目。前半戦に顔を合わせる顔ぶれに大きな変化はない。白鵬にとってやっかいな相手は上位に戻ってくる、くせ者の安美錦や、馬力のある稀勢の里だろうか。
東京場所で満員御礼が4回しか出なかったのは、5年ぶり。前日に優勝も決まり、横綱の連勝記録以外は、空っぽの千秋楽だ。「面白い相撲で、お客さんが戻って来るのが一番」と理事長は力説したが、白鵬が孤軍奮闘しても難しい。大記録は、熱気を取り戻した土俵でこそ輝く。(向井太)
(2010年9月26日22時04分
読売新聞)
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