あいおらいと

主に、お友達への連絡用でたまに、日々を綴ったり…していたはずが、いつのまにやら作品置き場になりつつあります。

いいふうふなもうそう

2015-11-22 11:22:33 | もうそうはきだし中
飼い犬に手をかじられたせいでキーが物凄く打ちにくいです(涙)
出張から帰る際に思いついたネタ。
いい夫婦になっていると良いなと思いつつ。
それでは、どうぞ。


研一さん、と呼んでみるけれど返事がない。
一体どこにいるのだろうと探してみれば、リビングに寝転がっている。
軽く揺さぶってみたけれど、すっかり寝入っているみたい。
風邪をひいてもらっては困るので、寝室から毛布を持ってきて掛ければ、ぎゅっと毛布を握りしめる。こうなるとしばらくは起きないのは経験上知っている。
出張に行く前に、一週間家を空けた埋め合わせとして、一緒に出掛けようと誘ったのは研一さんなのに。
疲れている上に交通トラブルが重なって、帰り着いたのは日付が変わる五分前。
いつにも増して疲れているのはわかっているけれど。
でもね、私だっていつも聞き分けのいい奥さんをやっているわけじゃないの。
人事不省の眠りに陥っている顔を見ながら、私はしばし考え込んで、無理やり毛布の中に割り込んでみる。
案の定、毛布以上の熱量につられて研一さんはぎゅっと私を抱きしめる。
起きたらきっと色んな意味で慌てるだろうけれど、一週間も放って置かれたんだもの。これくらいのペナルティはあってしかるべき。
数刻後の慌てふためく研一さんを想像しながら、私も目を閉じた。


鼻孔をくすぐる甘い香りにつられて目を開ける。
身体の上に掛けられた毛布がすっかり寝入ってしまっていたことを物語る。
出張の間寂しい思いをさせる穴埋めとして、デートに誘ったのは僕の方だ。優子さんの準備が整うまでの間、軽くうたた寝をするつもりだったのに、一体何をやっているのやら・・・なんて呆れている場合じゃない。
優子さんはどうしているだろう?
身体を起こそうとして、ぎゅっと下へと引っ張られる。
つられて視線を下ろせば、袖をしっかりとつかんで眠っている優子さんがいた。
探す手間は省けたけれど、色々な意味で非常に気まずい。
顔だけ上げて時計を見れば、時計の針は当初の予定より時間は過ぎているけれど、出かけるにはそれほど遅くない時間を指している。
起こすべきか、起こさざるべきか。
迷っていると、寒くなったのか優子さんがもぞもぞと動いてぎゅっと腕にしがみつく。
勝手が悪いので絡んでいる腕を強引にほどいてからぎゅっと彼女を抱きしめれば、ほっとしたように息を吐いて、彼女は再び寝息を立てる。
先に寝ててくれて構わなかったのに、日付が変わりそうになっていることも厭わず起きて待っていてくれたから、優子さんも寝不足だったらしい。
埋め合わせは、彼女がチェックしていたお店で夕ご飯、ってことで納得してもらえるだろうか。
気持ちよさそうな彼女の寝顔につられて、僕はもう一度目を閉じた。
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