あいおらいと

主に、お友達への連絡用でたまに、日々を綴ったり…していたはずが、いつのまにやら作品置き場になりつつあります。

観光パンフから派生したもうそう

2012-05-21 21:59:22 | もうそうはきだし中
某所の観光パンフを読んでいたら、この二人なら多分やってるだろうなー、と思ってついつい妄想してました。
それでは、どうぞ。


彼女のことは大好きだし、自他ともに仲が良いことは認める。だけど仲が良いからと言っていつでもどこでもべったりくっついているわけじゃない。
こうして一緒に旅行には来たけれど、お互いが見たいものを自由に見る時間も大切なので、時間と場所を決めて各々単独行動したりもする。
ある程度見たいものを見尽くしたところで時計を見れば、約束の時間より少し早い。けれど、もう満足したので待ち合わせの場所に向かいつつ彼女の姿を探せば、程なくして一枚の解説板の前に佇んでいる彼女を見つけた。
じーっという効果音が聞こえそうなくらい、真剣に解説板を読む姿に臆して声をかけるのが躊躇われる。まだこちらには気づいていないようなので、一体何をそんなに真剣に読んでいるのかとそっと彼女の背後に近寄って、件の解説板を覗き込む。

夫婦杉
この二本の杉は根元で一つになっていることから夫婦杉と呼ばれており、しっかりと結ばれた二本の木は如何なる事があっても切り離すことができないため、縁結びの象徴となっております。恋人、夫婦、家族と手を繋ぎ、夫婦杉の周りを右回りで三回まわると、末永く幸せになれると言い伝えられています。

なるほど。僕は心の中で呟く。
得てして女性というものは『縁結び』という言葉に弱いもので、彼女だって例外ではない。多分、何と言って僕を説き伏せようか真剣に考えているのだろう。
僕たち恋人同士です。末永く幸せになりたいと願ってます。
僕の性格からすれば、誰彼かまわずそう宣言しているようなシチュエーションは、とても恥ずかしくて出来れば遠慮したい。けれど、彼女のことを思えばその希望は叶えてあげたい。
しばしの葛藤の後、愛情が羞恥心を上回った。こんなに真剣な彼女の姿を見れば、無碍に断るなんて出来ない。ずっと一緒にいたいという気持ちは僕だって同じだから。
「優子さん。」
呼びかければ弾かれたように彼女は振り返る。
「ああびっくりした。もういいの?」
「うん。それより。」
手を差し出せば、訳がわからないとばかりに軽く首を傾げた。だけどすぐに意味がわかったらしく、一瞬で顔を赤くしてその場に立ちすくんでしまう。あれほど真剣に悩んでいた分、実際に手をつなぐという状況に戸惑ってしまうのだろう。このままでは埒が明かないし、やるなら周りに人が少ない今のうちに済ませてしまいたい。僕は思いきってすっかり躊躇して萎縮して行動に移せない彼女の手を握った。
「右ってこっちでいいんだよね?」
「う…うん。矢印、こっちになってるし。」
緊張して間違ってしまう人がいるのだろう。親切に『右→と書かれた』看板が立っていた。彼女の手を引き、看板に従ってぐるぐると木の周りを回る。
途中、すっかり黙り込んでしまった彼女が心配になってそっと半歩後ろを振り返れば、僕に手を引かれるまま歩いている彼女の真っ赤な顔が視界に入った。その様子とつないだ手からじんわりと伝わってくる熱に、次第に僕も自分が熱くなっていくのがわかった。
だけど、こういうのも悪くない。
恥ずかしい気持ちはどうやったって拭えないけれど、恥ずかしさで真っ赤になりつつも彼女の口元がほころんでいたのに気づいてしまったから。

彼女のはにかんだ笑顔につられて僕の口元が緩んでいたのに気づくのは、夫婦杉の周りを三周回った直後のこと。
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いちごいちえ

2012-05-21 21:54:58 | つれづれ

写真のお菓子はただのお菓子にあらず。
立派な天体観測グッズなり。

休みとって早起きして最寄りの天文台まで車を走らせて金環日食を見る…つもりがあいにくのお天気で目的は果たせず。
雲が邪魔して金環が見られないとわかり、ほとんどの人が帰宅する中、
『太陽が真ん丸に戻るまでが日食です』
と考えている方々数名と、せめて部分日食だけても見られれば…と天文台でひたすら太陽が姿を現すのを待ち続けました。今回は縁がなくて結局一度も太陽を拝めなかったのですが。

そうやって頑張ってた私たちに、天文台の方がコーヒーを御馳走してくれました。お茶請けのお菓子(写真)つきで。
天文台の方によると、今日はこれで日食観察をする予定だったそうです。ビスケット表面の穴がピンホール効果の役割を果たすので、わざわざピンホールカメラを作らずともこれで充分なのだとか。晴れていたらきっとこれで盛り上がっていたのでしょうが、如何せん残念な天気だったので、私たちが美味しく頂いてしまいました。
ビスケットという名のピンホールカメラを通しての日食は是非見てみたいので、次に日食観測する時には絶対持っていこうと思います(笑)

残念な天気でしたが、最後まで残っていた方々数名と天文台の方とで天文とか歴史とか食物の話とか、天文台に来てどうしてそんな話になる、というくらい雑多な話で盛り上がってしまったのでこれはこれで楽しかったです。天文に興味持つと、色々なジャンルに興味の幅が波及してしまってすごいことになるなー、と改めて思ってしまったのでした。
あと、18年後に北海道で会う約束もしてしまいました。
お互い名乗らず、北海道の何処で観測するかも決めなかったので本当に会えるかどうかわかりませんが、会えるといいなー、と今からどきどきです。

今回お会いできたすべての方々に。ありがとうございました!


(補足)
天文台で天体観測していると毎回お茶とお菓子が出てくるわけではありません。あしからず。
ここの天文台の方々がとても親切だっただけです。
天気が悪いと天体観測は無理ですが、折角来てくれたのだからと天文台側も色々企画を考えられているので、気が向いた時に最寄りの天文台へ星を観に行くのも楽しいと思います。

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拍手お返事です。

2012-05-16 22:27:07 | お返事
5/10 18時台の方

拍手&コメントありがとうございました!
読んでくださった方に、にやにや、もだもだ、してもらえるのが一番の目標なので、悶えてくださったというコメントがとても嬉しかったです。
更新はゆっくりになってしまっていますが、まだまだ書きたいお話はあるので、気が向いたときにお立ち寄りいただけますと幸いです。
あたたかいコメントありがとうございました!


いつも拍手を送ってくださる方々も、本当にありがとうございます。
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玉砕気味なもうそう

2012-05-16 22:26:18 | もうそうはきだし中
一年に一度の記念日なので、普段はあまり書くと決めて毎年書いてます。
が、玉砕したっぽい。
ヤサママをイメージして書いたというのが伝われば幸いです。
おとなの人の話はこれで書き尽くしたはずなので、来年の今頃はこども人のお話が書けてるといいなー、と思ってます。
それでは、どうぞ。


現代の魔法、電脳メガネ。
これをかけるとそこにないはずのものがリアルに存在するように見えるらしい。
しかもこれ一つで今までの携帯端末の機能を全て備えているのだとか。
そんなに便利なものなら一度は使ってみたいと思うのが自然な流れで、身内に勧められるまま、試しにかけてみることにした。
有用な情報は親切にも付箋として張り付けてあるし、自然界には存在しない、不思議な色をした動植物は見ているだけで面白い。こんなに不思議で面白い世界が体験できる上、実用性も多分に備えているのだから、ユーザーが増大していくのも納得できる。
だけど、そう思えたのは最初のうちだけ。
どんなに物珍しいものでも、次第に慣れてしまうものだ。最初の頃に面白いと感じた不可思議な生物は、慣れてしまうと歪で、不自然に見えてくる。便利だと思った情報の付箋だって、こうもあちこちに張り付けられると、どれが本当に必要な情報なのかわかならくなり、だんだん読むのが鬱陶しくなってきた。
氾濫する奇抜な情報に目も心も疲れ、息抜きを兼ねて電脳メガネを外せば、ふと一輪の花が目に留まった。この季節には至る所で咲いている、何の変哲もない野花。あまりにも自然で、あまりにも素朴な様子に、思わず笑みがこぼれる。
さっと駆け抜けていった風の心地よさにつられて辺りを見渡せば、ありきたりの形をした植物に、ありきたりの色をした動物がそこに在った。
電脳メガネの見せる斬新な世界に入り込んでいくうちにうっかり忘れてしまっていたけれど、世界は本来、とても綺麗なもので形作られているものなのだ。
電脳メガネの見せる不思議な空間は斬新で、それはそれで楽しい物だった。
だけどそれは束の間の魔法。外してしまえば消えてしまう夢のようなもの。
だから私はメガネを封印することにした。
限りがあるからこそ、魔法というものはどきどきするものだから。
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てをつなぐだけのもうそう

2012-05-08 05:08:00 | もうそうはきだし中
手をつなぐ、というシチュエーションが好きです。
最近、手をつなぐだけの話を書いてないなーと気づいたので、手をつないでもらいました。
それでは、どうぞ。


とある日曜日の昼下がり。研一が待ち合わせの公園にたどり着くと、既に優子の姿がそこにあった。
少し離れたところにある公園の時計に目をやれば、約束の時間にはまだ間があるから、研一が遅刻したのではなく、優子が待ち合わせの時刻よりも早くここに着いていたということになる。そうとわかっても待たせてしまったことに変わりはないので、これ以上優子を待たせないよう研一は歩みを早める。
優子さん。そう呼びかけようとした瞬間、あらぬ方を見ていた優子がふわりと笑みを浮かべた。その笑顔にどきりと気持ちが飛び跳ねる。このままずっと見ていたいな、と思ったところでうっかり足が止まっていたことに気づき、研一は慌てて優子の元へ駆け寄った。
「何だか楽しそうだね、優子さん。」
「だって、とってもかわいいんだもの。」
挨拶もそこそこに笑顔の理由を尋ねれば、優子はふふっと笑って先程まで見ていた方へ再び視線を向ける。つられて研一がそちらへ視線を移せば、中学生くらいだろうか、一組の男女が立ち話をしていた。
おっかなびっくり声をかける少年に、大袈裟なまでにがくがくと頷く少女。距離がありすぎて会話の内容はわからない。けれど傍から見てもぎこちない様子から彼らの関係は容易に察せられた。多分、付き合いはじめてまだ日が浅く、今日が初めてのデートなのだろう。
ぎくしゃくと不自然なまでに少年の手が伸びる。その手が少女の手に触れるや否や、びくりと体を震わせて反射的に少女は手を引いた。そんな少女の様子に途惑い引くタイミングを失った少年の手は中途半端に伸ばされたままになる。明らかに気まずい雰囲気の中、意を決した少女がおずおずと手を伸ばした。けれど自分から手を繋ぐのは恥ずかしいのか、これまた半端な位置で制止し、しばしの逡巡の後に少女が引こうとした矢先、少年は少女の手を掴んだ。少女の躊躇いごと包み込むように。
手を繋ぐだけで精一杯だったらしく、少年も少女も真っ赤になって固まってしまった。覗き見なんて良くない事だとわかってはいるがどうにも目を離すことができない。研一も優子もどきどきしながら事の成り行きを見守っていると、やがて腹を据えたらしく少年が少女に何か語りかける。その言葉に少女が大きく頷くと、二人は笑みを交わし、連れ立って歩き始めた。
無事に最初の難関を突破した様子にほっと安堵の息を漏らし、研一と優子は笑みを交わす。
「僕たちもあんな感じだったのかな?」
「そうね…。ほかの人から見たら、ああだったかもしれないわね。」
緊張のあまり、必要以上にがちがちに固まっている様子が遠目にもはっきりとわかった。その姿に研一も優子も在りし日の自分たちの姿を思い巡らせる。
あの頃はほんのわずかな間でも一緒にいられることが無上の喜びだった。喜びのあまり胸がいっぱいで、しばしば上手く言葉を紡ぐことができないこともあった。けれど、二人で共有する沈黙はなによりも愛おしいと思えた。付き合い始めた頃特有の、気恥ずかしくも心地良い緊張感を懐かしみつつ研一は優子に問いかける。
「でもさ、少なくとも右手と右足が同時に出るようなことはなかったよね。」
先だって歩く少年の手足は常とは違い、右手と右足、左手と左足が同時に出ていた。少年も少女もそれに気づく素振りはない。
「さあ、どうだったかしら?」
すまし顔で答える優子に研一はうっと怯む。多分、そんなことはなかったはずだ。でも、研一が気づいていないだけかもしれない。少し自信を無くしかけた頃、優子がいたずらっぽく笑った。
「…大丈夫。普通に歩けていたわ。」
「優子さん…。」
「ごめんなさい。」
研一が口を尖らせて抗議すると、優子は軽く手を合わせて謝罪する。
一緒にいられることが嬉しいと思う気持ちはあの頃から全然変わっていない。二人で共有する沈黙が愛おしいと感じられることも。だけど今は、こうして何気なく交わすたわいもない会話を楽しむことも知ってしまった。そう遠くない未来、あの少年少女にもやがてこの新たなる楽しみを見いだせる日が訪れるに違いない。自然にそれを楽しめるようになるまでには幾らかの時間を必要とするけれど。
そんな思いを馳せながら遠ざかる二人を見送っていると、ようやく気づいたらしく少女が手を引いて歩みを止める。歩き方がおかしいことを指摘された少年はしばし慌てふためいたものの、少女の優しい言葉で気を取り直して再び少女の手を引いて歩き始めた。今度は右手と左足を同時に前に出す、正しい歩き方で。
そんな二人が角を曲がって姿を消したところで、研一と優子は顔を見合わせる。
「僕たちも、行こうか。」
「うん。」
研一の差し出した手に優子はそっと自分の手を重ね、二人は連れ立って歩き始めた。
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