ご機嫌公論

フリーランスのライター兼編集者・ロイ渡辺のBLOG。
締め切り間際に更新されていても、それはあくまでも「息抜き」。

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読書するサルの備忘メモ 09’02

2月
大倉崇裕「三人目の幽霊」創元推理文庫
今野敏「武打星」新潮文庫
天沢退二郎「光車よ、まわれ!」ピュアフル文庫
松村栄子「雨にもまけず粗茶一服(上)」ピュアフル文庫
松村栄子「雨にもまけず粗茶一服(下)」ピュアフル文庫
柳広司「百万のマルコ」創元推理文庫
牧野修「都市伝説探偵セリ①リコーダー・パニック」フォア文庫
牧野修「都市伝説探偵セリ②噂のサッちゃん」フォア文庫

今月のひと言
「あれ? これ読んだっけ?」と半信半疑で手に取ったのが「三人目の幽霊」。
何でそう思ったかと言えば、いわゆる「落語界をモチーフにしたミステリー」ってのが、近年かなりたくさん書かれているから。実際、大倉も「オチケン!」っていう大学の落語研究会を舞台にした別物も上梓済み。
出来としては、正直「オチケン!」が上。残念ながら、大倉は「本格」にはあまり向いてないかも。真面目なものを書こうとすると、なんというか、キャラの掘り下げと物語の展開、そしてトリックがどうも中途半端になってしまうみたい。続編である「七度狐」は、読もうかどうしようか思案中。
牧野の2冊は子ども向けの作品。牧野「完全にホラーとは言いがたい」系作品のファンなのでチェックしてみました。
柳は、イマイチ。「ジョーカーゲーム」への期待高まらず。
拾い物は「光車よ〜」と「雨にもまけず〜」。
前者は発掘された児童文学で、骨太。あっけなくも残酷なシーンや、いろんなメタファもありつつ、それでもひとつの物語世界の力強さを感じさせてくれる作品。子どもの頃こういうのをバローズ(ジャンキーの方じゃなくて、ターザンな方)以前に読んでいたら、日本文学どっぷりになっていたかも。
後者の「雨にもまけず〜」は、芥川賞にこれっぽっちも関心の無いエンタテインメント偏重主義者のオレにも楽しめる作品。青年の成長譚というものは、冒頭で「いかに主人公がダメか」の描写が続くのだけど、これが男性作者の場合、かなり痛い。取り上げられるエピソードも痛いし、描写も痛い。その点、この作者は女性ならではの「ま、若い男の子は馬鹿だからしょうがないよ」的な多少優しい視点で描かれているので、読みやすかった。テンポもゆったりとしていて、焦らない青春小説という斬新さも心地よかった。当たり。
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