
馬場馬術競技における鼻革のキツさについて論議が起き始めています。
The Nose Knows: Equitation Scientists Call for Monitoring of Dressage Nosebands at Competitions. The Jurga Report: Horse Health Headlines. January 30th, 2012.
世界乗馬科学協会(International Society for Equitation Science)によれば、この数十年、鼻革を必要以上にキツく締めたり、幅の異常に広いデザインの鼻革を装着させることで、馬が口を空けたり、ハミ周辺に舌を回すと言った、馬の不快感を示唆するような仕草(=馬場馬術の点数にマイナスとなりうる)を、意図的に隠そうとする事例が見受けられるようになっている、と報告されています(もちろん、ごく一部のケースだとは思いますが)。そして、鼻革をキツく締め過ぎることは、馬の福祉を犠牲にして不適切な調教の結果を隠蔽する行為であり、また、馬に精神的ストレスを与え、ハミによる圧迫を過敏にするだけでなく、鼻梁の骨&軟部組織の損傷につながる危険性がある、という警鐘が鳴らされています。このため、ドレッサージュ競技においては、近い将来、全ての競技馬の鼻革のキツさを、審査員がチェックするようになるのかもしれません。
国際馬術連盟の馬場馬術規定(FEI’s rules of dressage)では、『頭絡の鼻革は馬を傷付けるほどキツク締めてはならない』(A cavesson nose band may never be as tightly fixed so as to harm the Horse)と述べられていますが、どの程度キツいと“キツ過ぎる”のか不明瞭ですし、また、傷付けるという行為の正確な定義もなされていません。このため、世界乗馬科学協会は、「鼻革と下顎の隙間に指が二本入ること」という、基本的な決まりに立ち帰るべきであると述べており、競技現場における審査員の監査をフェアにする意味では、鼻梁上面と鼻革の隙間に専用の測定器具(Taper gauge)が容易に差し込める程度のキツさ、という定義が提唱されています。

このように、鼻革のキツさに対して関心が増していくことで、不適切な馬具の使用が無くなっていくという、馬の福祉の向上が期待されそうですが、問題は他にもあるのではないでしょうか。例えば、ハミの上下を締め付けるコンビ鼻革(上写真)やクロス鼻革は、通常のカブソン鼻革よりも馬に与える不快感は大きくなり易いのかもしれませんし、鼻孔に近い位置に装着するドロップ鼻革は、キツさが同じであったとしても、カブソン鼻革よりも鼻梁を傷付け易いとも考えられます。また、大勒(下写真)を使う場合には、鼻革のキツさよりも、おとがい窪に当たるグルメットのキツさのほうが弊害は大きいかもしれません。その反面、ハックモア(ハミ無し頭絡)を使う場合には、鼻革のキツ過ぎ度を再定義する必要があるのかもしれません。やはり、鼻革のキツさだけにとらわれ過ぎず、頭絡およびハミの装着を総括的にチェックする方針が重要であるのではないでしょうか。
国際馬術連盟の馬場馬術規定では、『馬場馬術の目的は、調和の取れた調教によって、馬を幸福なアスリートに発展させることである』(The object of Dressage is the development of the Horse into a happy Athlete through harmonious education)と述べられています。実際に競技中の馬場馬が、どこまで“ハッピー”な心理状態であるかは、意見が分かれる所なのかもしれません。しかし、少なくともキツ過ぎる鼻革やロルクアー(Rollkur)などのように、力尽くで型にはめ込むような手法では、馬を幸福なアスリートにさせることは出来ない、という考え方は世界共通なのではないでしょうか。

Photo courtesy of Google.com.
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青い舌の馬場馬
馬場馬術でのロルクアー問題
The Nose Knows: Equitation Scientists Call for Monitoring of Dressage Nosebands at Competitions. The Jurga Report: Horse Health Headlines. January 30th, 2012.
世界乗馬科学協会(International Society for Equitation Science)によれば、この数十年、鼻革を必要以上にキツく締めたり、幅の異常に広いデザインの鼻革を装着させることで、馬が口を空けたり、ハミ周辺に舌を回すと言った、馬の不快感を示唆するような仕草(=馬場馬術の点数にマイナスとなりうる)を、意図的に隠そうとする事例が見受けられるようになっている、と報告されています(もちろん、ごく一部のケースだとは思いますが)。そして、鼻革をキツく締め過ぎることは、馬の福祉を犠牲にして不適切な調教の結果を隠蔽する行為であり、また、馬に精神的ストレスを与え、ハミによる圧迫を過敏にするだけでなく、鼻梁の骨&軟部組織の損傷につながる危険性がある、という警鐘が鳴らされています。このため、ドレッサージュ競技においては、近い将来、全ての競技馬の鼻革のキツさを、審査員がチェックするようになるのかもしれません。
国際馬術連盟の馬場馬術規定(FEI’s rules of dressage)では、『頭絡の鼻革は馬を傷付けるほどキツク締めてはならない』(A cavesson nose band may never be as tightly fixed so as to harm the Horse)と述べられていますが、どの程度キツいと“キツ過ぎる”のか不明瞭ですし、また、傷付けるという行為の正確な定義もなされていません。このため、世界乗馬科学協会は、「鼻革と下顎の隙間に指が二本入ること」という、基本的な決まりに立ち帰るべきであると述べており、競技現場における審査員の監査をフェアにする意味では、鼻梁上面と鼻革の隙間に専用の測定器具(Taper gauge)が容易に差し込める程度のキツさ、という定義が提唱されています。

このように、鼻革のキツさに対して関心が増していくことで、不適切な馬具の使用が無くなっていくという、馬の福祉の向上が期待されそうですが、問題は他にもあるのではないでしょうか。例えば、ハミの上下を締め付けるコンビ鼻革(上写真)やクロス鼻革は、通常のカブソン鼻革よりも馬に与える不快感は大きくなり易いのかもしれませんし、鼻孔に近い位置に装着するドロップ鼻革は、キツさが同じであったとしても、カブソン鼻革よりも鼻梁を傷付け易いとも考えられます。また、大勒(下写真)を使う場合には、鼻革のキツさよりも、おとがい窪に当たるグルメットのキツさのほうが弊害は大きいかもしれません。その反面、ハックモア(ハミ無し頭絡)を使う場合には、鼻革のキツ過ぎ度を再定義する必要があるのかもしれません。やはり、鼻革のキツさだけにとらわれ過ぎず、頭絡およびハミの装着を総括的にチェックする方針が重要であるのではないでしょうか。
国際馬術連盟の馬場馬術規定では、『馬場馬術の目的は、調和の取れた調教によって、馬を幸福なアスリートに発展させることである』(The object of Dressage is the development of the Horse into a happy Athlete through harmonious education)と述べられています。実際に競技中の馬場馬が、どこまで“ハッピー”な心理状態であるかは、意見が分かれる所なのかもしれません。しかし、少なくともキツ過ぎる鼻革やロルクアー(Rollkur)などのように、力尽くで型にはめ込むような手法では、馬を幸福なアスリートにさせることは出来ない、という考え方は世界共通なのではないでしょうか。

Photo courtesy of Google.com.
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