
乗馬は様々な面で健康に利益をもたらす、という統計学的な調査結果が示されています。
The health benefits of riding by University of Brighton and Plumpton College. The British Horse Society (www.bhs.org.uk).
英国馬協会(British Horse Society)は、1200人以上のホースマンを対象とした大規模なアンケート調査を実施して、乗馬スポーツおよび乗馬に関連する活動(馬房掃除やブラシがけ等)が、肉体的および精神的な健康に対する利益(Physical and psychological health benefits)となる、という調査結果を発表しました(上記リンク)。
肉体的な健康に対する利益に関しては、以下のような結果が示されました。
(1)乗馬および乗馬に関連する活動を、スポーツ医学における代謝当量(Metabolic equivalent tasks: METs)に換算すると、全体では3.7-METs、速歩運動では5.0-METsに相当しており、これらは中程度の運動強度(Moderate intensity exercise)に分類することができた。
(2)規則的な速歩運動(Regular periods of trotting)は、エネルギー消費を促進すると考えられる。
(3)回答者の七割近くは、30分以上におよぶ乗馬または乗馬に関連する活動を、週に三回以上行っており、これは政府の推奨する最低限の活動レベル(Minimum level of physical activity)を上回っていた。
(4)乗馬人口の九割以上は女性で、その三割以上は45歳以上であり、乗馬は全ての年齢層の女性に対して、物理的活動を増加させることを促す効果(Encourage increased physical activity)を示していた。
(5)回答者の四割近くは、乗馬以外には特に運動はしておらず、もし乗馬をしていなければ、ほとんど体を動かさない生活様式(Sedentary life style)になっている可能性が示唆された。
(6)慢性の病気や障害(Long-standing illness or disability)を持っていた回答者においても、健康な時と変わらぬ頻度および強度で、乗馬または乗馬に関連する活動を継続できていることが示された。
また、精神的な健康に対する利益に関しては、以下のような結果が示されました。
(7)回答者の八割以上が、乗馬することを“とても楽しい”もしくは“非常に楽しい”と述べており、乗馬はポジティブな精神感情(Positive psychological feelings)をもたらす効果が大きいと推測された。
(8)回答者の八割以上が、「馬に触れることで幸福を得たい」という強い目的意識(Strong motivation)を持って乗馬に取り組んでおり、このようなタイプの目的意識が見られるスポーツはあまり多くないと考えられた。
(9)八割以上の回答者にとって、野外において自然と触れ合う機会を持てることが、乗馬スポーツを運動種目として選択した大きな要因となっていた。
(10)乗馬スポーツを続ける動機付けとして、「運動するため」とか、「リラックスするため」という回答に加えて、「うまくなるため」、「自分自身にチャレンジするため」、「エキサイティングな経験をするため」などの、様々な回答が得られた。

これらの調査結果のうち、(1)〜(3)のように、乗馬が想像以上に体力を要するスポーツであるのは間違いありませんし、(6)のように、高齢になって膝や腰、股関節を痛めた場合にも、比較的に続けていき易いスポーツであると言えるのではないでしょうか。また、(4)のように、英国で乗馬するのは女性の方が圧倒的に多いというのは、日本や米国でも似たような傾向にあり、面白いなと思いました。そして、一番大切なのは、(7)のように、乗馬は楽しいスポーツであるため、ランニングやエアロビなどの他の種類のスポーツにおいて起こりうる、「苦しいが健康のためにやっている」という精神状態は殆ど見られず、肉体的だけでなく精神的な健康にも、大きく寄与している要因と考えられるのではないでしょうか。
日本でも、健康ブームが始まって随分経ちますが、健康管理やダイエットという目的のために、「キツイ運動に耐える」という思考が働いている部分もあるような気がしてしまいます(もちろん、健康と楽しみの両方のために、スポーツをする人は圧倒的に多いと思いますが)。しかし、運動強度は高いのに苦しさを感じることは少ないという、乗馬スポーツの大きなメリットがもっともっと知られるようになれば、乗馬人口がドンドン増えていく結果につながるのかもしれません。そして、高齢化社会を進み続ける日本においては、少しぐらい年を取っても、体のどこかをチョッと痛めても、変わらず続けていける乗馬は、スポーツ医療の観点からも大きく発展していける分野と言って良いのかもしれません。日本においても、大規模な統計調査を行っていけば、乗馬をしている高齢者は認知症や孤独死、うつ病などが少ない、という研究結果が示されるのではないでしょうか?
日本では、 “馬”と言えば競走馬というイメージがありますが、「競馬」という娯楽産業の他にも、「スポーツとしての乗馬」という健康産業&医療産業が普及していけば、日本の馬社会が更なる発展を遂げられるきっかけになるのではないか、と考えさせられた今日この頃です。

Photo courtesy of Google.
関連リンク:
Study Confirms Horseback Riding has Human Health Benefits. The Horse Edited Press Release. January 1st, 2012, Article #19369.
The health benefits of riding by University of Brighton and Plumpton College. The British Horse Society (www.bhs.org.uk).
英国馬協会(British Horse Society)は、1200人以上のホースマンを対象とした大規模なアンケート調査を実施して、乗馬スポーツおよび乗馬に関連する活動(馬房掃除やブラシがけ等)が、肉体的および精神的な健康に対する利益(Physical and psychological health benefits)となる、という調査結果を発表しました(上記リンク)。
肉体的な健康に対する利益に関しては、以下のような結果が示されました。
(1)乗馬および乗馬に関連する活動を、スポーツ医学における代謝当量(Metabolic equivalent tasks: METs)に換算すると、全体では3.7-METs、速歩運動では5.0-METsに相当しており、これらは中程度の運動強度(Moderate intensity exercise)に分類することができた。
(2)規則的な速歩運動(Regular periods of trotting)は、エネルギー消費を促進すると考えられる。
(3)回答者の七割近くは、30分以上におよぶ乗馬または乗馬に関連する活動を、週に三回以上行っており、これは政府の推奨する最低限の活動レベル(Minimum level of physical activity)を上回っていた。
(4)乗馬人口の九割以上は女性で、その三割以上は45歳以上であり、乗馬は全ての年齢層の女性に対して、物理的活動を増加させることを促す効果(Encourage increased physical activity)を示していた。
(5)回答者の四割近くは、乗馬以外には特に運動はしておらず、もし乗馬をしていなければ、ほとんど体を動かさない生活様式(Sedentary life style)になっている可能性が示唆された。
(6)慢性の病気や障害(Long-standing illness or disability)を持っていた回答者においても、健康な時と変わらぬ頻度および強度で、乗馬または乗馬に関連する活動を継続できていることが示された。
また、精神的な健康に対する利益に関しては、以下のような結果が示されました。
(7)回答者の八割以上が、乗馬することを“とても楽しい”もしくは“非常に楽しい”と述べており、乗馬はポジティブな精神感情(Positive psychological feelings)をもたらす効果が大きいと推測された。
(8)回答者の八割以上が、「馬に触れることで幸福を得たい」という強い目的意識(Strong motivation)を持って乗馬に取り組んでおり、このようなタイプの目的意識が見られるスポーツはあまり多くないと考えられた。
(9)八割以上の回答者にとって、野外において自然と触れ合う機会を持てることが、乗馬スポーツを運動種目として選択した大きな要因となっていた。
(10)乗馬スポーツを続ける動機付けとして、「運動するため」とか、「リラックスするため」という回答に加えて、「うまくなるため」、「自分自身にチャレンジするため」、「エキサイティングな経験をするため」などの、様々な回答が得られた。

これらの調査結果のうち、(1)〜(3)のように、乗馬が想像以上に体力を要するスポーツであるのは間違いありませんし、(6)のように、高齢になって膝や腰、股関節を痛めた場合にも、比較的に続けていき易いスポーツであると言えるのではないでしょうか。また、(4)のように、英国で乗馬するのは女性の方が圧倒的に多いというのは、日本や米国でも似たような傾向にあり、面白いなと思いました。そして、一番大切なのは、(7)のように、乗馬は楽しいスポーツであるため、ランニングやエアロビなどの他の種類のスポーツにおいて起こりうる、「苦しいが健康のためにやっている」という精神状態は殆ど見られず、肉体的だけでなく精神的な健康にも、大きく寄与している要因と考えられるのではないでしょうか。
日本でも、健康ブームが始まって随分経ちますが、健康管理やダイエットという目的のために、「キツイ運動に耐える」という思考が働いている部分もあるような気がしてしまいます(もちろん、健康と楽しみの両方のために、スポーツをする人は圧倒的に多いと思いますが)。しかし、運動強度は高いのに苦しさを感じることは少ないという、乗馬スポーツの大きなメリットがもっともっと知られるようになれば、乗馬人口がドンドン増えていく結果につながるのかもしれません。そして、高齢化社会を進み続ける日本においては、少しぐらい年を取っても、体のどこかをチョッと痛めても、変わらず続けていける乗馬は、スポーツ医療の観点からも大きく発展していける分野と言って良いのかもしれません。日本においても、大規模な統計調査を行っていけば、乗馬をしている高齢者は認知症や孤独死、うつ病などが少ない、という研究結果が示されるのではないでしょうか?
日本では、 “馬”と言えば競走馬というイメージがありますが、「競馬」という娯楽産業の他にも、「スポーツとしての乗馬」という健康産業&医療産業が普及していけば、日本の馬社会が更なる発展を遂げられるきっかけになるのではないか、と考えさせられた今日この頃です。

Photo courtesy of Google.
関連リンク:
Study Confirms Horseback Riding has Human Health Benefits. The Horse Edited Press Release. January 1st, 2012, Article #19369.






























