
馬における管部での断脚術は、管骨(Cannon bone)、基節骨(Proximal phalanx)、種子骨(Proximal sesamoid bone)、および球節(Fetlock)などの重篤な運動器疾患(Severe musculoskeletal disorder)を呈した症例に対して応用が可能な救援療法(Salvage procedure)です。
管部での断脚術においては、管骨の中央部またはやや近位部での骨切術(Osteotomy)が行われ、掌側または底側の皮膚および屈筋腱(Palmar/Plantar skin and flexor tendons)をフラップ状に残して、このフラップで管骨の骨端を覆います(下図)。この際には、断脚部位の箇所の肢の太さを紐で測り、この紐の三分の二を断脚箇所の半周回部位の長さとし、残りの三分の一をフラップ部位の長軸方向の長さとします。断脚に際しては、まず血管および神経組織(Vascular and nerve tissues)を結紮し、その後、繋靭帯(Suspensory ligament)を結紮してから、管骨の骨切術を行い、遠位肢の切断を完了します。そして、骨端を掻爬子(Curette)および骨鑢(Bone rasp)で滑らかにしてから、フラップ内の屈筋腱と、背側管部の総指伸筋腱(Common digital extensor tendon)を縫合&結合させ、骨端を掌側&底側皮膚フラップで包みこむように縫合閉鎖します。

縫合後には、まず断脚端(Amputated stump)から近位側に対して全肢ギプス(Full-limb cast)を装着してから、その断端から地面まで達する歩行用金属棒(Walking bar)を連結させます。この金属棒は出来るだけ軽い素材を用いて、最低でも1500パウンド(682-kg)の捻転負荷(Torsional loading)に耐えられる強度にします。麻酔覚醒(Anesthesia recovery)に際しては、吊起帯(Sling)またはプールを用いての、起立補助を行うことが強く推奨されており、適切な量の鎮静剤(Sedatives)を追加投与することで、患馬が必要以上に暴れるのを防いで、覚醒時の患肢への負担を最小限に抑えることが大切です。全肢ギプスは術後の一週間で一度交換し、それから三〜四週間後に除去されますが、この期間中には、対側肢の負重性蹄葉炎(Support laminitis on contralateral limb)を予防するため、吊起帯によって両前肢または両後肢を吊り上げて、対側肢の蹄への蹄叉支持具(Frog support)や蹄踵挙上蹄鉄(Raised heel shoe)の装着が行われることが一般的です(下記写真)。

断脚端が治癒した後には、断端から手根関節または足根関節の上部までを覆う義足の装着が行われます。このためには、まず術後の四〜五週間にわたるギプス装着が終わった時点で、ギプス素材を用いて断脚端部の鋳型(Template)を作ります。義足の形状および素材には様々なものがありますが、基本的には、鋳型に基づいて作った二つのカップ(プラスチック製または革製、頭側および尾側カップに分離される)を、手根または足根の上下箇所においてバンドで締めるようにして装着する仕組みになっています(下記写真)。このカップには金属棒が連結され、その遠位端には、滑り止めのゴムキャップがはめられているだけのタイプや、接地のための可動性パッドが取り付けられているタイプなどがあります。

管部での断脚術では、その予後は中程度で、症例報告では六割〜七割の長期生存率(Long-term survival rate)と、三年〜四年の延命が期待できることが示唆されていますが、義足手術から十年近く生存した症例もあります(Crawley et al. Vet Surg. 1989;18:52 & Vlahos et al. Proc AAEP. 2010.56.187)。また、前肢よりも後肢のほうが、管部での義足手術による予後は良い傾向にあります。一方、種牡馬よりも温和な気質であることの多い牝馬のほうが、義足手術には向いているという知見や、気難しい馬の多いサラブレッド種に対する義足手術では、他の品種に比べて予後が悪い場合が多いという報告もあります。管部での断脚術における術後合併症(Post-operative complication)としては、対側肢の負重性蹄葉炎、断脚端の治癒遅延(Delayed healing)、骨盤骨折(Pelvic fracture)、褥瘡(Decubitus ulcers)などが報告されています。また稀に、断脚されて存在しないはずの箇所に痛みを感じるという、“幻肢痛”(Phantom pain)という現象を示す馬も見られたことが報告されています。
管部での断脚術において使用される、他の種類の義足としては、管骨の骨髄腔(Medullar cavity)に通した金属棒に、経皮質骨螺子(Trans-cortical screw)を連結させる術式が報告されています(下記写真)。この手法は、義足管理の手間を要せず、断脚端の褥瘡(Pressure sore)を引き起こす危険が無いものの、インプラントがゆるんだり、螺子挿入箇所での管骨骨折などの、術後合併症を続発する可能性があるため、実際に応用される症例は稀です。

Photo courtesy of Grant BD. Limb Amputation and Prosthesis. In: Current Techniques in Equine Surgery and Lameness. 2nd ed. W.B.Saunders. 1998: pp463-468; Krpan MK, et al. Amputation of the equine limb: a report of three cases. Proc AAEP. 1985; 30: 429-444; Kelmer G, et al. Case report: Amputation and prosthesis in a horse: short- and long-term complications. Equine Vet Educ. 2004; 16(5): 235-241; Vlahos TP, et al. Tutorial article: Amputation of the equine distal limb: indications, techniques and long-term care. Equine Vet Educ. 2005; 17(4): 212-217; Vlahos TP, et al. How to perform amputation of the equine limb using a caudal flap technique. Proc AAEP. 2010; 56: 187-191.
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管部での断脚術においては、管骨の中央部またはやや近位部での骨切術(Osteotomy)が行われ、掌側または底側の皮膚および屈筋腱(Palmar/Plantar skin and flexor tendons)をフラップ状に残して、このフラップで管骨の骨端を覆います(下図)。この際には、断脚部位の箇所の肢の太さを紐で測り、この紐の三分の二を断脚箇所の半周回部位の長さとし、残りの三分の一をフラップ部位の長軸方向の長さとします。断脚に際しては、まず血管および神経組織(Vascular and nerve tissues)を結紮し、その後、繋靭帯(Suspensory ligament)を結紮してから、管骨の骨切術を行い、遠位肢の切断を完了します。そして、骨端を掻爬子(Curette)および骨鑢(Bone rasp)で滑らかにしてから、フラップ内の屈筋腱と、背側管部の総指伸筋腱(Common digital extensor tendon)を縫合&結合させ、骨端を掌側&底側皮膚フラップで包みこむように縫合閉鎖します。

縫合後には、まず断脚端(Amputated stump)から近位側に対して全肢ギプス(Full-limb cast)を装着してから、その断端から地面まで達する歩行用金属棒(Walking bar)を連結させます。この金属棒は出来るだけ軽い素材を用いて、最低でも1500パウンド(682-kg)の捻転負荷(Torsional loading)に耐えられる強度にします。麻酔覚醒(Anesthesia recovery)に際しては、吊起帯(Sling)またはプールを用いての、起立補助を行うことが強く推奨されており、適切な量の鎮静剤(Sedatives)を追加投与することで、患馬が必要以上に暴れるのを防いで、覚醒時の患肢への負担を最小限に抑えることが大切です。全肢ギプスは術後の一週間で一度交換し、それから三〜四週間後に除去されますが、この期間中には、対側肢の負重性蹄葉炎(Support laminitis on contralateral limb)を予防するため、吊起帯によって両前肢または両後肢を吊り上げて、対側肢の蹄への蹄叉支持具(Frog support)や蹄踵挙上蹄鉄(Raised heel shoe)の装着が行われることが一般的です(下記写真)。

断脚端が治癒した後には、断端から手根関節または足根関節の上部までを覆う義足の装着が行われます。このためには、まず術後の四〜五週間にわたるギプス装着が終わった時点で、ギプス素材を用いて断脚端部の鋳型(Template)を作ります。義足の形状および素材には様々なものがありますが、基本的には、鋳型に基づいて作った二つのカップ(プラスチック製または革製、頭側および尾側カップに分離される)を、手根または足根の上下箇所においてバンドで締めるようにして装着する仕組みになっています(下記写真)。このカップには金属棒が連結され、その遠位端には、滑り止めのゴムキャップがはめられているだけのタイプや、接地のための可動性パッドが取り付けられているタイプなどがあります。

管部での断脚術では、その予後は中程度で、症例報告では六割〜七割の長期生存率(Long-term survival rate)と、三年〜四年の延命が期待できることが示唆されていますが、義足手術から十年近く生存した症例もあります(Crawley et al. Vet Surg. 1989;18:52 & Vlahos et al. Proc AAEP. 2010.56.187)。また、前肢よりも後肢のほうが、管部での義足手術による予後は良い傾向にあります。一方、種牡馬よりも温和な気質であることの多い牝馬のほうが、義足手術には向いているという知見や、気難しい馬の多いサラブレッド種に対する義足手術では、他の品種に比べて予後が悪い場合が多いという報告もあります。管部での断脚術における術後合併症(Post-operative complication)としては、対側肢の負重性蹄葉炎、断脚端の治癒遅延(Delayed healing)、骨盤骨折(Pelvic fracture)、褥瘡(Decubitus ulcers)などが報告されています。また稀に、断脚されて存在しないはずの箇所に痛みを感じるという、“幻肢痛”(Phantom pain)という現象を示す馬も見られたことが報告されています。
管部での断脚術において使用される、他の種類の義足としては、管骨の骨髄腔(Medullar cavity)に通した金属棒に、経皮質骨螺子(Trans-cortical screw)を連結させる術式が報告されています(下記写真)。この手法は、義足管理の手間を要せず、断脚端の褥瘡(Pressure sore)を引き起こす危険が無いものの、インプラントがゆるんだり、螺子挿入箇所での管骨骨折などの、術後合併症を続発する可能性があるため、実際に応用される症例は稀です。

Photo courtesy of Grant BD. Limb Amputation and Prosthesis. In: Current Techniques in Equine Surgery and Lameness. 2nd ed. W.B.Saunders. 1998: pp463-468; Krpan MK, et al. Amputation of the equine limb: a report of three cases. Proc AAEP. 1985; 30: 429-444; Kelmer G, et al. Case report: Amputation and prosthesis in a horse: short- and long-term complications. Equine Vet Educ. 2004; 16(5): 235-241; Vlahos TP, et al. Tutorial article: Amputation of the equine distal limb: indications, techniques and long-term care. Equine Vet Educ. 2005; 17(4): 212-217; Vlahos TP, et al. How to perform amputation of the equine limb using a caudal flap technique. Proc AAEP. 2010; 56: 187-191.
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