チェコのシュールリアリスト・アニメ作家・ヤン・シュヴァンクマイエル監督の『ファウスト』を観る。『ファウスト』(Faust)1994年 97分
製作国 チェコ フランス イギリス
1・2年前、読売新聞朝刊にアンドレ・ブルドンの自筆『シュールレアリスム宣言』がオークションで○○万ドルで落札されたとそれなりのスペースをさいて記事があった。
この時、これを取り上げた記者や編集部の心意気に感動した覚えがある。
35・6年前岡山の古本屋さんで土間に積み上げられた本の底から、まだ値札のついていないこの邦訳本を取り上げ、100円で買い読んだが”自動記述”あたりで投げ出した記憶がある。
出版社、訳者が誰だったかまったく覚えていない。
冒頭にアンドレ・ブルドン自筆のページが挿入されていた薄い簡易表装の本だった。
この本はすでに手離してしまった。今頃は神田か赤門前の古書店にならんでいるかもしれない。
覚えているのは宣言冒頭にあった、「あらゆる現実は”共同幻想”であり、”個人幻想”は狂気である。」というフレーズ。
これは後に吉本隆明の『共同幻想論』や小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』などに引用されていたので記憶に残ったのかもしれない。
この映画については、ゲーテの『ファウスト』を読んだこともないし、『シュールレアリスム』芸術について勉強したこともないので、・ヤン・シュヴァンクマイエル監督の手法がどんなものか何も解らない。
社会主義国家チェコの検閲制度も関係しているかもしれないし。
あやつり人形の劇とクレイアニメと役者の演技が入り混じったこの映像は、現実と狂気の間を行き来したものなのだろうか。