うまさいと

お馬さんは好きですか?

どーぴんぐかっこわるい!

2005-07-12 22:35:31 | 競馬
ちょっと病んでるので特化した記事でも。

追記。だめだ、画像の表示がうまくいかないよ。何とかする。


Rapid Proof disqualified from Mervin Muniz victory(Thoroughbred Times)

ということで、ニッチなところに潜入。誤訳続きで自信を無くしたのさ、うふふorz
umatonekoさん@海外競馬ニュース(主に北米)を見て、ちょっぴり気になったので。Rapid Proofから禁止薬物が検出されたというお話。同時にMervin Muniz Jr. Memorial H.(USA G2 T9f)の勝ちもなくなっちゃったと。重賞勝ち馬から検出というのは由々しき問題ではないかな。でも、LasixやMilk Shakeの話題で盛り上がってるドーピングにちょっとでも詳しくなれるかなぁ。


今回(といっても3週間も前だけど)みつかったのは副腎皮質ステロイドであるデキサメタゾン(corticosteroid dexamethasone)ということですが、私は薬学系ではないのでステロイドとかまるっきりわかんない。ほんとはアンダーザミントさん@アンダーザミント、馬と歩く。に出張ってもらえれば一番なのですが。またお馬さんと歩き出す位に調子が良くなられましたら、頼んでみようかしら。ということでまずは私と一緒に化学のお勉強から。


ステロイド」というと、てっきり「筋肉増強剤」のことだと思ってしまいがち(私はつい最近までそう思っていましたが何か?)ですが、実はそうではなくてもうちょっと構造的なところからお話しなければいけなくなるかなと。実はコレステロール(cholesterol)もステロイドの一種なのですよ。ただ、コレステロールの方が一般名称になってしまいがちだけど。

とりあえず言葉の説明としまして「ステロイド(steroid: 次からはこっちで表記)は自然界に豊富に存在しており、多くの誘導体が生理活性をもっている。しばしば生化学的な活性を調節するホルモン(hormone)としても作用する」ということです。

次は構造的な説明。steroidとはそもそもcyclopentahydrophenanthreneの誘導体(ちゅーことは、phenanthreneにcyclopentaneがくっついていると)の総称でして、もう少し詳しく言いますとcyclopentano-perhydrophenanthrene核を持っているということです。これは3つのイス型cyclohexaneと1つのcyclopentaneがつながった構造だということですが、読むだけじゃ想像はできないはずなので画像をいれてみるみる。



例えばこんな感じ。この画像でR=Hならばepiandrosteroneというステロイドになります。噛み砕いて言いますと、こういったステロイドさん達がみんな持ってるものは、左からA, B, C, D環と呼ばれる3つの六員環(環を構成する原子が6つ)と1つの五員環(同じく5つ)を持つというのが最低条件みたいな気配です。そして、どこにどういった置換基があれば大体こんな効果が出るよ、とか予想がつくこともあるらしい。それと、人間とそれ以外の動物が同じ効果の時もあれば、全く違う時もあったりと、それぞれにかなりややこしい様子です。あと、立体的なことについては苦手なので許して。

例として、上図のepiandrosteroneから水素を二つ抜いてしまうと



dehydroepiandrosterone(DHEA)と呼ばれるものになりまして、こちらは人間の身体のほぼどの組織にでも含まれているコレステロールを除けば、最も多く存在しているステロイドホルモンであり、かつ人間の身体で合成されているものです。このDHEAは抑鬱状態の改善などの効果が見られるとのことですが、日本ではまだ売ってないのかな。よくわからんです。

ちなみに上述の体内で最も多く存在するステロイドであるコレステロールは



こんな感じ。ね、ちゃんとこの構造持ってるでしょ?

とまぁ一般的な話はここまで。私はその筋の専門家ではないので、詳しいことは全く知りません。えぇ、合成さえもわかりませんよ。


で、ようやく今回のdexamethasoneの話にうつります。まずdexamethasoneの構造なんですが



こんな感じと。これだけじゃ詳しい説明はできないので参考になるところを探しましょうか。


おぉ、いいサイト発見。
ステロイド剤の基礎知識
デキサメタゾン(デカドロン錠etc.)
デキサメタゾン
ちゃんと今回のdexamethasoneについて扱っていらっしゃるので参考に。人間だと主に軟膏だったりするのかな。アトピー性皮膚炎などを中心に、幅広い用途で使われている模様です。2年ほど前に食品に混入していた事件もあったようですねぇ。

さてさて、お馬さんにはどんな効能があるのでしょうか。ということでこんなのがあった。
成分:デキサメタゾン
詳細情報(デキサメサゾン懸濁注)
というようにお馬さんに対しては「関節炎、筋炎、腱炎、腱鞘炎」などに効果があるようです。どこのお薬にしても大体同じか。
発掘!やくやく大事典
なども注目すべきことを書いているみたいです。薬学の本を見せていただくと、やはり「炎症を抑える」ってなことを書いてありました。

競走中の効果は勿論、一時期は
「馬に対する脅威と闘う」AAEP年次総会の話題(JAIR)
の中で取り上げられているように、西ナイルウイルス感染症にも効果があるのではないかとも言われていたようです。

なんでわざわざ図を入れたかというと、その方がインパクトがあるかなとか思ったから。ただそれだけ。


ということで、Dexamethasoneの分類や副腎皮質ホルモンなどの一般的な話はまた次回。

2 コメント

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Unknown (Marl)
2005-07-13 01:42:37
一応、製薬メーカー勤務ながら、不勉強を貫いてる私が来ましたよ。

日本語でステロイドと言ってしまうと、副腎皮質ホルモンのことになってしまいますねえ。

人間相手にどういう効果があるかは仕事柄知っておかないとまずいのですが、デキサメタゾン(及びプレドニゾロン)は抗炎症、抗アレルギーで一番良く出てくるステロイド剤ではないでしょうか。

OH基を酢酸や吉草酸あたりでエステル化したのもよく見かけますが…。

市販薬で吉草酸酢酸プレドニゾロンが大人気(メーカー的にw

デキサメタゾンは強いので処方箋が無いと売れませんね。

個人的にはデキサメタゾンはII群のvery strongなんで可能な限り触りたくないなと。



定性定量分析できれば良い立場なので合成はさっぱり。
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Unknown (ろぜ)
2005-07-17 02:14:47
ということで、お返事遅れて申し訳ありません。

何と言うか、製薬メーカー勤務って本物だよ・・・。

酸と反応させてエステル化ですかぁ。むむむ。

なんちゅーか、単純に炭素鎖の伸びたカルボン酸って臭いんですよね・・・。酪酸とか。うわぁ。



II群のvery strongとかさっぱりわからないのですが、そういった辺りも宿題ということにして、次回につなげていきたいと思いますです。



競馬に関するお勉強は凄く楽しい・・・と思う何でだろう。
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