魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

感謝だぞ

2016年06月16日 | 日記・エッセイ・コラム

中国の右翼紙、環球網が、日本で中国人を救助しようとして亡くなった監視員に「中国ネットで感謝の声が高まっているのに、なぜ日本のマスコミはこれを報道しないのか」と報道したそうだ。

中国政府の御用新聞らしい報道で、苦笑した。ネット上での感謝は、素朴に中国人の感性だが、これを盛り上げたり利用したりしようとしているのは、中国政府の魂胆だ。
日中友好のチャンスになる話題を、日本のマスコミが取り上げないのは、日本が日中友好に努力していない証拠だ・・・というわけだ。

根本的な認識違いは、中国はマスコミを政府の伝達ツールだと考えていることだ。一方日本では、マスコミはむしろ政府の敵でもある。
日本のマスコミが報道しないのは、助けようとした中国人は日本で密猟の最中であり、むしろ中国の恥部だから、そこに触れない好意でもある。

逆に、中国ネットで感謝が盛り上がっているのは、中国人の恥ずかしさを、日本人の善意への感謝にすり替えることで打ち消そうとしているからで、これに対して日本が反応しなければ、恥部が打ち消せない。
この中国ネット民の気持ちを盛り上げる形で、中国の御用新聞が、日本批判に利用している。

「感謝に感謝しろ!」???何とも理解不能な話だが、ただ唯一、ハッキリ解ることは、最近の、日本や日本観光への中国マスコミの、妙に好意的な記事が、日中関係修復目的の政策による明確な人民扇動だと言うことだ。
日本叩き一辺倒では不利益であるとみた中国政府は、日本を懐柔するために人民を利用しようとしている。

日本車を始めとする日本製品は良質だと持ち上げ、日本の制度は見習うべき、子供を伴って是非日本観光に行くべしと、恥ずかしくなるほどの手のひら返しだ。これらは各々別のメディアだが、中国本土のあらゆる情報媒体が、中国共産党の意志に逆らえないことを考えれば、これはストレートに共産党の策略と見るべきで、南シナ海での蛮行を続けながら、簡単に懐柔できると考えている。日本人も本当に見くびられたものだ。

ネット上の賛辞に見られるように、中国人の感性は素朴で共産党とは異なるが、権力を持つと、その素朴な感性のままの外交を始める。外交では単に恥をかくだけだが、軍事になると、笑い事ではすまされない。


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