Nice One!! @goo

観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

『蜩ノ記』 (2014) / 日本

2014-09-25 | 邦画(は行・ま行)


監督: 小泉堯史
原作: 葉室麟
出演: 役所広司 、岡田准一 、堀北真希 、原田美枝子 、青木崇高 、寺島しのぶ 、三船史郎 、井川比佐志 、串田和美 、吉田晴登

公式サイトはこちら。

第146回直木賞を受賞した葉室麟の小説を、「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史監督のメガホンで映画化した時代劇。前代未聞の事件を起こした戸田秋谷は、10年後の夏に切腹すること、そしてその日までに藩の歴史である「家譜」を完成させることを命じらる。幽閉されたまま家譜の編纂を続け、切腹の日まであと3年となったある日、城内で刀傷沙汰を起こした藩士の檀野庄三郎が、秋谷の監視役としてやってくる。庄三郎は、秋谷が7年前の事件を家譜にどう記しているかを確認して報告し、また、逃亡するようであれば家族もろとも斬り捨てよとの密命を帯びていた。庄三郎は秋谷のそばで過ごし、その人柄や家族とも触れ合ううちに、秋谷が事件を起こしたことが信じられなくなり、7年前の事件の真相を探り始める。(映画.comより)




ネタばれはしたくないですがわかっちゃう可能性あり。気になる人はここでお帰り下さい。




TOHOシネマズ全国一斉試写会に行ってきました。ちょうどパスポートの最終日だったんで効率よかった。
原作は直木賞受賞作(未読)、小泉監督に役所さんですから、たぶんしっかりとした手ごたえがあるんじゃないかと期待。

Amazon.co.jp: 蜩ノ記: 葉室 麟

武士とはさながら江戸に生きたサラリーマンだと思えて仕方なくて、難しいしきたりや体面を保ち、主君に仕え年功序列に従い、自分のお家も存続させねばならず、加えてお勤めとして民衆からも年貢を取り立てるなどして君臨しないといけない義務がある。会社勤めと同じように競争社会、時には策略や派閥争いに巻き込まれることもあるだろう。そんな面倒なことを何故進んでするのだろうと思うけど、そこに生まれついたり、選び取った宿命だからそれに生きるという武士の美学があった。

本作の主人公・戸田秋谷は、「重罪のため10年後に切腹予定」、その間は家譜編纂を命ぜられるという風変りな沙汰を受けている。日頃の秋谷の言動や振る舞い、それまでの彼の業績からしてもとてもそんな破廉恥な罪を犯したとはとても思えない・・・。監視役として遣わされた檀野庄三郎にもそれは奇異に映った。戸田家と寝食を共にし、彼らの人柄に触れるにつれ、檀野にも事の真相を知る機会が訪れる。

武士の哲学と、学問とは時に相反する。学問を究めれば世の矛盾にも気が付いてしまう。そこを突きつめたい気持ちもわかるけど、正義や清廉潔白を通そうとすれば疎まれ排除される哀しい現実もある。
秋谷が行ってきたことはあくまでも己の道に沿ったものだった。武士として生きること、仰せつかった使命を全うし、良き家長であること。それ以外の何物でもないのに運命は彼に非情な道を突き付けた。何を与えられたとしても、自分の勤めのため、家族のため、一切の弁明をしない崇高さ。最低限の真実だけを示し、事後を託していく姿こそが「後始末」ではないだろうか。そしてそんな戸田家の人間を慕う集落民の悲しい末路も織り交ぜながら、秋谷が示した道を描いている。ラストで秋谷が見せた笑み、こんな風に懐の広い父親がいたら怖いものなしだと思うけど、こうして清廉に生きた人物が一族にいたという誇りを持てることは幸せなのかもしれない。

もっともこれと同じことを現在のサラリーマンにせよというのはあまりにも酷だけど、こんな状況に陥っている人も中にはいるかもしれない。一切を背負って黙して行かんというのは現代人は果たしてできるだろうか。後を託せるように整えて、蜩のようにその日を生き抜く生き方。言い訳や弁明に明け暮れる現代人にとっては耳が痛くなる話だけど、「自分に恥ずかしくない生き方とは何か」、考える余地を残す物語である。


★★★ 3/5点




『映画』 ジャンルのランキング
Comment   Trackbacks (17)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 碓氷峠アプトの道・碓氷湖 | TOP | 『めぐり逢わせのお弁当』 (2013... »
最近の画像もっと見る

post a comment


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Related Topics

17 Trackbacks

Trackback  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
「蜩ノ記」忘れちゃいけない、日本人の心。 (シネマ親父の“日々是妄言”)
[葉室麟] ブログ村キーワード  直木賞受賞の時代小説の映画化。「蜩ノ記」(東宝)。『日本映画の王道極めたり』と言いたくなるような、まさに“良作”でございます。  城内で刃傷騒ぎを起こした檀野庄三郎(岡田准一)は、家老の温情で切腹を免れたものの、7年前に藩...
蜩ノ記 ★★★★ (パピとママ映画のblog)
直木賞作家の葉室麟のベストセラー小説を、『雨あがる』『博士の愛した数式』の小泉堯史監督が映画化した人間ドラマ。無実の罪で3年後に切腹を控える武士の監視を命じられた青年武士が、その崇高な生きざまを知り成長していく姿を師弟の絆や家族愛、夫婦愛を交えて描き出....
映画「蜩ノ記」@ニッショーホール (新・辛口映画館)
 土曜日昼間の試写会。客年齢層は幅広く、客入り9割位。
「蜩の記」:言葉に頼り過ぎて残念 (大江戸時夫の東京温度)
映画『蜩の記』は、小泉堯史監督らしい背筋のピンと張った真面目な映画。まさに「良く
<蜩ノ記 試写会> (夢色)
公開前なので、念押しして、ネタバレ注意!です。単に感想だけ連ねてますが。今回は役所さんが主役で、岡田くんは官兵衛とはまた違う とても若いというか青いという感じの侍、の役でした。初々しかった!堀北真希ちゃんも、とっても可憐で、着物姿が良く似合う普段の演技...
蜩ノ記 (Akira's VOICE)
鉄板を堪能できる時代劇。  
『蜩の記』 (こねたみっくす)
武士としてどう生きるべきか。 これは構成以外に関しては実に美しい映画でした。四季折々の風景、役者陣の所作、武士としての気高き想い、「パリは燃えているか」でお馴染みの加 ...
「蜩ノ記」事情を知った先にみた時として自ら犠牲にならなければ守れない事と真実の記録を残す重要な役割 (オールマイティにコメンテート)
「蜩ノ記」は10年後に切腹を命じられた武士が藩の歴史である家譜を記録として残すために全うし、切腹までの間の3年間に監視役を命じられた武士からみた事件の真実を追ったスト ...
蜩ノ記 (とりあえず、コメントです)
葉室麟著の直木賞受賞作を小泉堯史監督が映画化した時代劇です。 予告編を観て、スクリーンに映し出される静かで美しい佇まいに惹かれました。 四季折々の風景と共に、主人公や家族たちの生き様に胸を打たれるような作品でした。
映画『蜩ノ記』 (健康への長い道)
 10月4日(土)から公開の『蜩ノ記』を新宿ピカデリーで。  しかし、公開10日で早くも小さなシアター8(157席)ですか。ひょっとして当初からこの程度?先日の『柘榴坂の仇討』といい、人気俳優を起用しても時代劇は厳しいですね。例外は『るろ剣』だけか。 Story 些...
『蜩ノ記』 (京の昼寝~♪)
□作品オフィシャルサイト 「蜩ノ記」□監督 小泉堯史□脚本 小泉堯史、古田求製、作市川南、田村明彦□原作 葉室 麟□キャスト 役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、       寺島しのぶ、三船史郎、井川比佐志、串田和美■鑑賞日10月...
蜩ノ記 (花ごよみ)
  葉室麟の直木賞受賞の同名小説を映画化。 監督は小泉堯史。 主人公、戸田秋谷は役所広司、 共演の岡田准一が檀野庄三郎を演じます。 戸田秋谷の娘に堀北真希、 妻には原田美枝子。 10年後の切腹 それが3年後に迫った戸田秋谷(役所広司)を 監視する命を受け、...
蜩の記 (ケントのたそがれ劇場)
★★★★ 製作:2013年 日本 上映時間:129分 監督:小泉堯史 最近の時代劇は、マンガチックなものや、コミカルなものが多かったが、本作は久し振りに登場した本格時代劇と言えよう。さすが故・黒沢明監督の一番弟子である小泉監督が、『雨あがる 』以来、久々に
蜩ノ記  監督/小泉 堯史 (西京極 紫の館)
【出演】  役所 広司  岡田 准一  堀北 真希  原田 美枝子 【ストーリー】 7年前に前例のない事件を起こした戸田秋谷は、藩の歴史をまとめる家譜の編さんを命じられていた。3年後に決められた切腹までの監視役の命を受けた檀野庄三郎は、秋谷一家と共に生活するう....
映画「蜩ノ記」 (FREE TIME)
映画「蜩ノ記」を鑑賞しました。
蜩ノ記 (C’est joli~ここちいい毎日を♪~)
蜩ノ記 '14:日本 ◆監督:小泉堯史「明日への遺言」「博士の愛した数式」 ◆出演:役所広司、岡田准一、堀北真希、原田美枝子、青木崇高、寺島しのぶ、三船史郎、井川比佐志、串田和美、吉田晴登 ◆STORY◆7年前に前例のない事件を起こした戸田秋谷(役所広司)は...
蜩ノ記 (ひぐらしのき) (のほほん便り)
いろいろな意味で、美しい映画でした。それぞれの、生きる姿勢というか、心根の持ちようといい、映像といい、キャスティングといい… 第146回直木賞を受賞した葉室麟の小説を、「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史監督のメガホンで映画化した時代劇。 「派...