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『ボクたちの交換日記』 (2013) / 日本

2013-03-30 | 邦画(は行・ま行)


監督: 内村光良
原作: 鈴木おさむ
出演: 伊藤淳史 、小出恵介 、長澤まさみ 、木村文乃 、川口春奈 、ムロツヨシ 、大倉孝二 、佐藤二朗 、佐々木蔵之介

映画『ボクたちの交換日記』 公式サイトはこちら。


原作は鈴木おさむの小説「芸人交換日記 ~イエローハーツの物語~」。未読だがこの内容紹介を読むとほぼ映画の内容に合致するため、そんなに相違はないと予測する。


あらすじ: 甲本孝志(小出恵介)と田中洋平(伊藤淳史)はお笑いコンビ「房総スイマーズ」を結成して12年目だが、いまだに売れる気配がない。コンビの将来について膝を突き合わせて話すことをしてこなかった二人だったが、彼らはもう30歳。お笑いに情熱を傾け続け、相方と一緒に成功したいと願いつつも後がない二人は、互いに本音を語り合うべく交換日記を始める。(シネマトゥデイより)


高校時代に結成したので長い付き合いにも関わらず、仕事以外は話もあまりしない甲本と田中。こういうコンビは現実に存在するらしく、この「房総スイマーズ」にもいくつかのモデルがあるのだろう。しかしながらネタ合わせの時しか話をちゃんとしないのでは心が通じ合っているとは言えない。互いに本当に必要なことから目をそらしてきた結果、コンビの方向性が1つになってないのは大きな問題だ。
甲本が抱える弱点と、田中が抱える秘めた才能がどんどん乖離していくであろうことを見抜く者たちの先見の明は、業界で長くやってないとわからないに違いない。そしてあまたの芸人志望者の中から成功者を出し、事務所も本人たちも潤っていくには、多少の駆け引きが必要になってくる。そしてそれはある意味「お約束」という形で有無を言わせない。

コンビを組む者たちはよく対照的と言われるが、どんどん表に出ていく甲本と内に籠もる田中とでは当然ながら背負うものが違ってくる。よく「女を芸の肥やしにする」とは言うけれど、外交的な性格故なのか早くに家庭を持った甲本は一見安定したように見えるが、芸という視点から考えるとどうしてもそこで守りの体制に入ることになってしまう。内省的な田中は出遅れたように見えるが、実力を発揮できるポジションになればそこは大きく挽回できてしまう。
守るものがあることはとても大事なことだし喜ばしいはずなのに、どこか足かせのように感じている自分を甲本もわかっていたのだろう。それでも好きな女と所帯を持ったからには夢と引き換えに守らねばならない理不尽さ。この当たりを如実に描いてしまった内村の脚本は本当に罪だなと思う。

お笑いや芸人の世界を夢見て入る若者たちは後を絶たないが、そんな彼らが本作を観たら一体どう思うだろう。せっかく夢を見て入ったのにその通りになる者はほんの一握りということは解ってはいる、けれどその夢に向かいたい。「お笑いの掟」というものが存在する以上、それには絶対服従なのに。ビシッとスーツを着こなした大物芸人の裏側には、何百人何千人もの恨みつらみや屍があるはずだ。とどのつまり成功とはそういうものなのである。汚いものにまみれないと成功なんてできっこない。
この矛盾をさらりと受け止めて淡々と時系列で表した時、甲本が田中に訴えたかったこと、また田中も甲本に叫びたかったことが明らかになる。ここも実に憎いくらい上手くできている。

人生の成功者となっても、では人として一分も情けがないわけでもなく、あの頃自分たちがやり残したことがもしかしたら今の乖離の原因なのではと思う所も、どこか人間臭さがにじんでいる。芸の亡者ではない、本当は楽しくやりたかった。そんな心残りを引きずったまま組織の中で立場を得てしまった働き盛りたちや、こんなはずではなかったと後悔人生を歩んでいる人たちに本作を観ていただきたい。一体どこでどう間違ってしまったのか、間違いを直すには今から何かできないか。誰しもが抱える「後悔」が胸の中でひしひしと迫ってくると同時に、そこまで冷血ではないはずの自分に気がつくだろう。


★★★★ 4/5点




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2 Comments

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特殊でありそうで (sakurai)
2013-04-10 15:22:22
実はとっても普遍的な物語かも・・と思ってみておりました。
人生何がステップアップになるかわからない。おいなる挫折のままかもしれませんが、きっと田中も、過去を引きずってきたんでしょうね。
そのけりのつけ方がうまかったなあ。

仕事以外には話もしない・・・というよりは、今じゃ話をすることもなくなってしまった。
逆に話さなくても通じ合えるとこに甘えてた自分らっていうのもあったのかなあ~とも思ったりして。
sakuraiさん (rose_chocolat)
2013-04-12 07:16:43
>そのけりのつけ方がうまかったなあ。
おっしゃる通り、すごく普通に存在する話かもしれませんね。
共に夢を追うけどその行く先はわからない、いいことばかりじゃない、理不尽さに枕を濡らすこともあってもそこから逃げないか、あるいは現実を見つめるのか。
お笑いの世界だけじゃないですね。

>逆に話さなくても通じ合えるとこに甘えてた自分ら
マンネリ、ってやつなんでしょうね。
そこを打開していくのは本当に難しいと思います。

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