Nice One!! @goo

観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

【TIFF_2012】『メイジーの知ったこと』 (2012) / アメリカ

2012-10-27 | 洋画(ま行)


原題: What Maisie Knew
監督: スコット・マクギー、デヴィッド・シーゲル 
出演: ジュリアン・ムーア 、アレキサンダー・スカルスガルド 、オナタ・アプリール 、ジョアンナ・ヴァンダーハム 、スティーヴ・クーガン

第25回東京国際映画祭『メイジーの知ったこと』ページはこちら。

映画『メイジーの瞳』公式サイトはこちら。 (2014年1月公開)





原作は1897年発表の、Henry Jamesの小説。19世紀の小説を21世紀風に映画化できてしまうというところも非常に驚くのだけど、その昔から離婚が大きな問題となっていて、原作はイギリスで描かれたものだが中身としてはアメリカでも大いに語れる。子どもが夫婦の危機に際して、問題の要になっている部分は古今東西変わらないようだ。そういう意味では最早離婚は普遍的な問題と言えるだろう。

今更言うまでもなく離婚は子どもたち、特に年齢が低ければ低いほど大きな影を投げかける。
養育のために別れた元両親の間を行ったり来たりさせられる。いくら子はかすがい、両親がそれぞれ"I love you"とキスをしたとしても、都合が悪くなれば途端に邪魔者扱いとなる現実。本作は親の立場から見ることが多い離婚を、徹底的に子の視点から描写している。

そのメイジーが、何も悪くない彼女が、大人の都合だけに振り回されていってしまう。父も母も、会えばいつも必ず「愛している」と言う癖に、それはうわべだけ。都合が悪くなるとお迎えや保護をキャンセルする「保護者たち」は、誰も彼女のことなんて本気で向き合おうとしない。
メイジーは恐らくもっと小さい頃から「生き残るための術」を探していたように思えてならない。誰についていけばいいのか、誰なら一緒にいてもいいのか。彼女は自分を世話してくれる人全てにすぐになついて愛らしくふるまっているが、実はそれが処世術であり、その中から敏感に、一体誰が本当に自分の味方なのかを探っているように見える。

映画を見ていれば一目瞭然だが、実の両親よりも、後からお目付け役になったりベビーシッターになったりした人物の方が、メイジーにとっては有益だというのも大変な皮肉である。子どもは作れど、常に自分の予定しか考えておらず、そこからはみだしたものは例え家族であっても除外したり他人任せにするのが実の親とは。
それこそメイジーに言わせれば、「私の面倒をちゃんと見てよ!私のことを愛してよ!」しかない訳で、親の都合なんて「そんなの知ったことか!」(なのでこの邦題は傑作。)と言いたくなるほどの無責任ぶりである。自分ではそれでも精一杯面倒を見ているつもりが、傍から見れば「それでも親か」としか認識されない「親業」というのは多いんだろうし、ますますこれからも増える一方かと思いながら観賞する。

振り回されているメイジーが、本当に自分が心地よい場所を求めて、側にいる人たちを観察したり共に時間を共有したりして確かめていく過程は、小さいながらも、いたいけながらも懸命に手探りで行われる。そこに人間としての生きる本能を見る思いがする。彼女が自分の人生を選び、しっかりと意思表示した瞬間から、たとえ幼くても人生は変わっていくし、変えられるんだという希望が見えてくる。そして同時にそれは身勝手な大人たちへの警鐘としても訴えかけている。





上映後にスコット・マクギー、デヴィッド・シーゲルの両監督を迎えてのQ&A。



とにかく何と言ってもこのメイジーちゃんが可愛い!という理由で本作をTIFFでの観賞に選んだ人も多いのではないだろうか。メイジー役のオナタ・アプリールちゃんに出会ったことがたぶんこの映画の全てだったように思える。彼女についてスコット・マクギー、デヴィッド・シーゲルの両監督は、
「メイジー役の選定については割と普通のキャスティングを行った。『シックスセンス』の子役を探したディレクターが選んだ。
何百人という候補者の中から、いい子が見つかったという知らせがあり、撮影開始3週間前に決まる。
当時オナタちゃんは6歳で、毎日撮影があるけどどこまでできるかと思っていたが、期待以上に一生懸命応えてくれた。彼女はこの映画に関わる人全てに愛されるキャラクターだった」と語っている。

オナタちゃんはもちろん素晴らしいけど、頽廃的なロックシンガー役のジュリアン・ムーアもチャレンジングだし、アレキサンダー・スカルスガルドってこんなにキュートな俳優なのかっていうくらい、真面目に役をこなしてたのが好印象。いい作品でした。


★★★★☆ 4.5/5点




『映画』 ジャンルのランキング
Comments (3)   Trackbacks (11)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 【TIFF_2012】『もうひとりの息... | TOP | 【TIFF_2012】『天と地の間のど... »
最近の画像もっと見る

3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
オナタ・アプリールちゃん (とらねこ)
2014-02-26 07:57:21
彼女の何気ない佇まいが、ほんとにカワイイんですよねー。大人が喧嘩ばっかりしていて気持ちがカサカサした時にも、彼女の姿を見れば気持ちが動いてしまうの分かります。

確かにジュリアン・ムーアの演じたあの母親役はとても自分勝手ではありましたが、忙しいお母さんや仕事の関係上子育てに時間を取れない人も居ますよね。ナニー(子守)の役の方は確かに母親としては素晴らしい素質なんですけど、子供に全てを捧げてしまう古風なお母さんはアメリカでは珍しそう。
そうした相反するティピカルキャラクターを描きながら、それぞれの人が少しづつ当てはまるなと、感情移入していくことが出来るドラマに描けていたと思います。
とらねこさん (rose_chocolat)
2014-03-02 10:41:12
オナタちゃん可愛かったですねー。もうこの映画撮ってからだいぶ経つと思うんで、今はもう少し大人になってるんだとは思いますが。。 
それでも可愛いオーラ全開でこっちが癒されました。

忙しい母親っていうのはまあ仕方ないとして、放置はだめですね。
私は少なくとも子育てに全ては捧げないけど、ここまで放置はしてないつもり。でも子どもよりも追いかけたいものが目の前にあったらそうなっちゃうんだろうね。


大概 (sakurai)
2014-06-05 12:28:03
変な邦題になってしまうことが多いですが、この場合はよかったですね。
なんとも不安げな目から、子供らしい目に、さびしそうな目、そしてうれしそうな幸せそうな目。
いやいや、女の子に尽きました。

いい保護者に巡り合えてよかったですが、ンなことは現実にはあるはずもなく、これから養子縁組とか、結婚しなくちゃならんだろうし、余計なことも考えてしまった。
100年前だったら、簡単だったでしょうが。

post a comment


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

Related Topics

11 Trackbacks

Trackback  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
メイジーの瞳 (映画祭タイトル:メイジーの知ったこと) 〜東京国際映画祭より〜 (とりあえず、コメントです)
1897年の小説をもとに、現代のアメリカの物語として創り上げた人間ドラマです。 オリジナルは未読ですけど、写真の“メイジー”がとても可愛い女の子だったので観てみたい!と チャレンジしてみました。 とても気遣いが出来て大人しいメイジーを中心にして、自己中の大人...
映画『メイジーの瞳』を観て (kintyre's Diary 新館)
14-18.メイジーの瞳■原題:What Maisie Knew■製作年、国:2013年、アメリカ■上映時間:99分■料金:1、800円■観賞日:2月16日、TOHOシネマズシャンテ □監督:スコット・マクギー、デヴィッド・シーゲル◆ジュリアン・ムーア◆アレキサンダー・スカル...
『メイジーの瞳』 (京の昼寝〜♪)
□作品オフィシャルサイト 「メイジーの瞳」□監督 スコット・マクギー、デビッド・シーゲル□脚本 ナンシー・ドイン、キャロル・カートライト□原作 ヘンリー・ジェームズ□キャスト ジュリアン・ムーア、オナタ・アプリール、アレクサンダー・スカルスガルド、...
「メイジーの瞳」 (ヨーロッパ映画を観よう!)
「What Maisie Knew」 2012 USA スザンナに「クロエ/2009」のジュリアン・ムーア。 リンカーンに「メランコリア/2011」「ザ・イースト/2013」のアレキサンダー・スカルスガルド。 ビールに「マリー・アントワネット/2006」「ルビー・スパークス/2012」のスティ...
「メイジーの瞳」 (ここなつ映画レビュー)
粗筋の紹介も何もなく、ただ感情の発露としての感想を。メイジーという幼い少女が両親の離婚によって翻弄される日々を描いた作品であり、あらゆる人が感じるように、メイジーの目線で見た大人の身勝手さにメイジーに愛しさと切なさを感じる。それを否定するものでは全くな...
『メイジーの瞳』(映画)(2013)ー正解のないファミリーアイデンティティ、可愛いメイジーの面倒を見るのは誰? (マンガデシネ)
 『メイジーの瞳』を観てまいりました。ジュリアン・ムーアが出ていることくらいしか分からなかったが、劇場予告編で流れるたびに、何かしらそそられるものがあった。 いや、 ...
メイジーの瞳 ★★★ (パピとママ映画のblog)
両親の離婚に翻弄(ほんろう)される少女の視点で家族とは何かを、『キッズ・オールライト』の製作スタッフが描くヒューマンドラマ。19世紀末のヘンリー・ジェームズの原作の舞台を現代に置き換え、多忙な両親に顧みられない少女が新しく両親のパートナーとなった男女との...
その瞳に映るもの (笑う社会人の生活)
4日のことですが、映画「メイジーの瞳」を鑑賞しました。 母スザンナと父ビールが離婚し、共同親権を持つ両親の家を行き来することになった6歳の少女メイジー それぞれ仕事に忙しいスザンナとビールはメイジーのことをそれぞれの再婚相手に任せっぱなしで・・・ 離婚に...
メイジーの瞳 (いやいやえん)
【概略】 両親が離婚してふたつの家を10日ごとに行き来することになった6歳の女の子・メイジー。それぞれの新しいパートナーともすぐに打ち解けた彼女だったが…。 ドラマ 両親が離婚し、共同親権を持つふたりの家を10日おきに行き来することになった、6歳の少...
「メイジーの瞳」 (或る日の出来事)
子どもにとっての両親は、やっぱり、こっちがいいよな〜と見ていて思いますね。
映画・メイジーの瞳 (読書と映画とガーデニング)
原題 WHAT MAISIE KNEW2012年 アメリカ 美術商の父・ビール(スティーヴ・クーガン)とロックシンガーの母・スザンナ(ジュリアン・ムーア)が離婚共同親権を持つ両親の家を行き来することになった6歳の少女メイジー(オナタ・アプリール)の日々を描きます ....