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『小さいおうち』 (2014) / 日本

2014-01-30 | 邦画(た行・な行)


監督・脚本: 山田洋次
原作: 中島京子
出演: 松たか子 、黒木華 、片岡孝太郎 、吉岡秀隆 、妻夫木聡 、倍賞千恵子

公式サイトはこちら。


昭和11年、田舎から出てきた純真な娘・布宮タキは、東京郊外に建つモダンな赤い三角屋根の小さな家で女中として働き始める。家の主人で玩具会社に勤める平井雅樹、その妻・時子、2人の5歳になる息子の恭一とともに穏やかな日々を送っていたある日、雅樹の部下で板倉正治という青年が現れ、時子の心が板倉へと傾いていく。それから60数年後、晩年のタキが大学ノートにつづった自叙伝を読んだタキの親類・荒井健史は、それまで秘められていた真実を知る。(映画.comより)


正直山田監督作品ってあまりツボに来たものがないのですが、これは予告篇がどうにもよさげだったので早く観たかった。
松たか子さんの予告の表情が何とも言えない感情を表してて、ここだけ観ただけでもこの続きが気になってしょうがない。そして松さんは「昭和顔」とでも言えばいいのか、今の若手の女優で昭和を演じさせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないかと思う。顔の表情の細かい部分や、所作の1つ1つ、着こなし、そういったものが実に見事にマッチしている。今は失われた「旧きよきもの」を体現させたらこのようになるという見本を見せてもらったような気がする作品が多い。

満州事変、日中戦争、太平洋戦争へと続く時代の中でも、それなりに華やぎがあった東京の様子を描き、いかにも楽観的な日本人気質が当時あったことを描く。まるで今の日本と状況は同じようにも感じなくもない。前作『東京家族』でも割と強く「反戦」をセリフに載せて打ち出していた記憶もあり、そして本作にも『東京家族』と同じキャストが、似たような立ち位置で登場しており、見方を変えれば『東京家族』と本作は続きもののようなスタンスなのだろう。もっとも時代が前後しているので続けて観るなら『小さいおうち』→『東京家族』かもしれないが。
役者のセリフに乗せて、これでもか的なテンポで主張を挟む様子はいささか演劇的でもある。それがかなりの違和感だった『東京家族』に比べると、『小さいおうち』では時代が戦前の昭和ということもあってしっくり来る。松たか子、黒木華、吉岡秀隆なども昭和風な感じが合っているのでこれはよかった。中には「吉岡くんじゃなくてもっとイケメン俳優の方がよかった」とかいう声もあるのだけど、そこにこだわってどうするんだとも思うけど(苦笑)少しおどおどして自信なさげだからこの話に合ってるんじゃないかと。

板倉と時子の面会が次第に熱を帯びていく様子を示す部分はよかった。ナレーションと着付けの音だけで行間を表す、そこに乗る松たか子の表情も苦しげ。松さんは根っから昭和が似合うというか、慎みがある中にもどこか一途だったり、堪え難い胸中なんかをさせたら彼女の右に出る女優は日本じゃいないんじゃないだろうか。
この2人の運命を握ってしまったタキ役の黒木華もこれまた昭和顔なのもあるけど、物静かな外見とは裏腹に、実は底意地が悪かったり、欲しいものは絶対に譲らない、曲げない強情さものぞかせる。
クライマックスで真相が明かされはするけれど、実は映画には描かれてはない部分で、もっと赤裸々な真相もあったようにも思わせる。荒井健史が過去を訪ね歩く部分で、老いた恭一が何もかもわかっていたかのように悟りだすのも何となく妙でもある。もしかしたら恭一は時子と板倉のことを何らかの形で知っていたのではないだろうか。それから戦後の板倉とタキの様子は殆ど描かれてはいないが、ここにも長い戦後の間に何もなかったとも言い切れないものを感じなくもない。

いずれにしても、『永遠の0』と共通しているのは「子孫が太平洋戦争中に遡って過去を訪ね歩く」ということ。ただし作品を通じて現状の日本に向かうスタンスは正反対で、2つの映画でつばぜり合いをしている的な報道もあるが。前者は訪ね歩くこと自体に条件つけてるみたいで実に不自然に感じたが、こちらの訪ね歩きはそれなりに話としては繋がってはいる。過去を掘り起こしていろいろなことが出てくる場合もあるだろうが、そこに更に劇的なドラマや能書きをくっつける必要もなく、普通に過去を悔やむくらいでちょうどいいのではないだろうか。恐らく『永遠の0』と本作とは対極をなす作品なのだろうけど、『永遠の0』の構成を知ってから敢えて過去旅シーンを付加した訳でもないとは思うのだけど、ここに何となく奇妙なシンメトリーも感じた。


★★★☆ 3.5/5点






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6 Comments

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昭和顔〜^^ (kira)
2014-02-08 12:29:07
そうなんですよね(笑)
過去のキャスト全員、そういう意味では嵌っていました。
まさかイロケが足りないとされる吉岡クンが、そこだけでキャスティングされたわけでもないでしょうが(笑)

>前者は訪ね歩くこと自体に条件つけてるみたいで実に不自然に感じたが、こちらの訪ね歩きはそれなりに話としては繋がってはいる
鑑賞日も近かったせいか、殆ど同じ感想を持ちましたね〜。
ただ、山田監督、クドさを感じさせないのは流石でしたし、
松さんの気品、黒木さんの初々しい田舎娘の引き出し方もヨカッタです。
こんばんは (ノラネコ)
2014-02-08 19:48:40
昭和顔ww
確かに出てくる人たち皆昭和顔。
吉岡秀隆は三丁目の夕日の茶川さんとかぶって困ったり。
あの映画の監督は山崎さんだから、そんなところも永遠の0とシンメトリー。
TBありがとうございました (真紅)
2014-02-09 18:09:14
rose_chocolatさん、こんにちは。昨夜は大変でしたね、、お疲れ様でした。

私これ初日に観たのですが、翌日地上波で『東京家族』観て、キャストのかぶりにビックリでした。
黒木華ちゃんは蒼井優のドッペルゲンガー?ってくらい似てるし(笑)。
確かに、構成もゼロに似てますよね。
あちらの映画は、rose_chocolatさんの感想が全部書いて下さってる、と思いました。
私は、あの映画が今年の一本目でした。よりによって(爆)。
kiraさん (rose_chocolat)
2014-02-15 14:59:27
みんな昭和顔でしたよねー。見事に。
松さんはこういうのをさせると本当にはまってますよ。
ノラネコさん (rose_chocolat)
2014-02-15 15:10:47
>茶川さんとかぶって
ですよね。彼は20世紀なキャラが合ってるんじゃないかと。

>あの映画の監督は山崎さんだから、そんなところも永遠の0とシンメトリー
あんまりこのことを書いてる人って少ないんですよね。
実際にこの2つの映画で論戦も起きてるみたいですけど。
真紅さん (rose_chocolat)
2014-02-15 15:12:44
>『東京家族』観て、キャストのかぶりに
ほぼ同じじゃなかったですか?役柄とかも。
わざとそうしたのかなあ。

>確かに、構成もゼロに似てますよね
原作は読んでないんだけど、敢えてぶつけたのかもしれませんよね。

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