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【TIFF_2013】『トム・アット・ザ・ファーム』 (2013) / カナダ・フランス

2013-10-20 | 洋画(た行)


原題: Tom at the Farm [ Tom à la ferme ]
監督/エグゼクティブ・プロデューサー/製作/脚本/編集: グザヴィエ・ドラン
出演: グザヴィエ・ドラン 、ピエール=イヴ・カルディナル 、リズ・ロワ 、エヴリーヌ・ブロシュ

第26回東京国際映画祭『トム・アット・ザ・ファーム』ページはこちら。

映画『トム・アット・ザ・ファーム』 公式サイトはこちら。(2014年10月公開)




亡き友人の実家の農場を訪れたトムは、彼を歓迎しない友人の兄によって危険な状態に追い込まれ、事態は思わぬ方向へ進んでいく…。(TIFF公式サイトより)


『わたしはロランス』がこの9月に日本公開され、その卓越した内容が話題になっている24歳の新進気鋭のグザヴィエ・ドラン監督。早速東京国際映画祭で新作を拝見できるとは大変有難い。しかも『わたしはロランス』とは打って変わって心理物を持ってきた。そのルックスだけでもかなりな人気、加えて作る映画もクリエイティヴな内容で完成度も高い。次回作かあ・・・と思っていたら全くジャンルが異なるもの、そしてこれまた唸らせられる完成度で、彼の奥深さを改めて見せて貰う結果となったのでした。

トムは亡き友人ギョーム(この役がケイレブ・ランドリー・ジョーンズくんだったと思うんだけど、一瞬で終わってしまったのであんまりよく覚えてない)の実家の農場を訪れるが、そこで迎えた友人の兄・フランシスと母親の奇妙な言動に戸惑う。
ここでポイントなのは、トムとギョームがただの友人じゃなかったってこと。つまりloverとしての関係だったってことですね。ドラン監督自身がゲイを公言してるし、『わたしはロランス』も性同一性障害がテーマになっていたし、これまでも今後も彼はセクシャル・マイノリティを主たるテーマとして映画を作って行くんだとは思いますが。

フランシスのバックグラウンドがこと細かに描かれている訳ではなかったが、彼の行動は明らかにトムを拘束するものだった。
それは「母親を喜ばせたいがために、亡き弟が充実した人生を送っていたことを証明するトムが必要だった」という、非常に何層にもねじくれた発想から来るものであった。
これは母親に対しての畏怖の念と、母親からの愛を勝ち取りたい念の両方が混じり、故にその証拠となるトムをさらに取り込まなくてはいけないという観念に取りつかれてくる。しかしながらフランシスは母親を全面的に愛している訳でもなく、逆に母親の世話のために縛られている鬱屈さも感じさせる。さらにトムを手元に置く理由として、フランシスの暴力性を受け皿にさせる者が欲しかったのと同時に、彼の歪んだ性質を漏らさないためもある。こうなってくると殆ど誰かを監禁するのと変わらない訳で、よく長年に渡って誰かを監禁している事件が明るみに出ることがあるが、そんな心理に近いものも感じてしまった。

最初は抵抗するトムだったが、次第に催眠にかけられたかのように農場にいることが自分の天職だと思いこんで行くあたりの描写は上手い。反発し服従させられ、そこからまた変化する彼の内面を目で演じ切る。そして外界から閉鎖された空間の恐怖も改めて思う。その洗脳状態から抜け出すためのキーパーソンや、きっかけとなる出来事との出会い方や、ラストシーンからエンドロール(エンドロールの最後までが大事なんで席を立たないで!)に至るまでの一連のドラマの作り方も天才的というか、これが24歳の構成力とは思えないくらいの完成度になっている。
流れ的にもそうなんだけど、モチーフとして捉えた時の1つ1つの場面も魅力的で、「収穫機が終わったトウモロコシ畑はナイフのよう」というセリフは格言にもなりそう。フランシスとその母親の病理にも似た深層心理の出し方、それによって観客が感じる恐怖心も見事だった。日本公開されてほしいんですけど、公開された時の驚きと称賛も予測できそうな出来栄えである。


★★★★☆ 4.5/5点




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トム・アット・ザ・ファーム (ここなつ)
2014-01-06 16:12:50
こんにちは!だいぶ遅いコメントになってしまい、申し訳ありませんが、私はこの「トム・アット・ザ・ファーム」が、今回の東京国際映画祭の中でも出色の作品だったと思っているので、トラックバックしていただいて、すごくすごく嬉しいです。この監督のひりひりとするような作品、印象が強いですよね…。又よろしくお願いします。
ここなつさん (rose_chocolat)
2014-01-07 09:40:44
いつもTBばかりで失礼してます。コメントありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。

これはたぶん今年公開じゃなかったかな?楽しみですね。
とにかくいろんな意味で凄い作品でした。
Unknown (mig)
2014-11-17 00:20:47
こんばんは~
遅くなっちゃった、
何か事件が起きるかと思えばそんなこともなく
なんか淡々としていました~
わたしはロランスは知ってたけど惹かれなかったのでみなかったんだけど、
ナルはいって作り込みが感じられちゃうの、わたしにはあまり合わない監督かも。。。
migちゃん (rose_chocolat)
2014-11-20 10:16:30
ドランは自分が追いかけてるテーマがあるし、
ほぼ全ての作品にそれを入れてきちゃってるんで、
強く感じるかもしれないですね。だから好き嫌いあるかも。

トウモロコシ畑の描写とか好きです。
ロランスよりこっちのほうが好みかも。
予測当たってましたね! (latifa)
2016-01-02 15:33:40
roseさん、こちらにも。
随分前にご覧になられているのよね、ドラン作品。
話題になる前に、まっさらな状態で、観られたroseさんが、羨ましいわー!

>日本公開されてほしいんですけど、公開された時の驚きと称賛も予測できそうな出来栄えである。

公開されましたねー!そして、あっという間に、注目の的になっちゃった。

トウモロコシ畑といえば、私の中では、フィールド・オブ・ドリームスだっけ?あれだったのだけれど、この映画で印象が変わったわー。
latifaさん (rose_chocolat)
2016-02-13 05:56:06
これが一番好きなんですよね。
ドラン作品の中で。
音とかもよく考えられてましたよね。

とうもろこし畑、こっちの印象が強くなっちゃいました。

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