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『複製された男』 (2013) / カナダ・スペイン

2014-07-23 | 洋画(は行)


原題: Enemy
監督: ドゥニ・ビルヌーブ
出演: ジェイク・ギレンホール 、メラニー・ロラン 、サラ・ガドン 、イザベラ・ロッセリーニ
鑑賞劇場: TOHOシネマズシャンテ

公式サイトはこちら。


ポルトガル唯一のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説を映画化。自分と瓜二つの人物の存在を知ってしまったことから、アイデンティティーが失われていく男の姿を描いたミステリー。大学の歴史講師アダムは、DVDでなにげなく鑑賞した映画の中に自分とそっくりの端役の俳優を発見する。驚いたアダムは、取り憑かれたようにその俳優アンソニーの居場所を突き止め、気づかれないよう監視するが、その後2人は対面し、顔、声、体格に加え生年月日も同じ、更には後天的にできた傷までもが同じ位置にあることを知る。(映画.comより)


ドゥニ・ビルヌーブ監督作品は『灼熱の魂』『プリズナーズ』(→短文感想)と見てきていて、私的には断然『灼熱の魂』に軍配をあげちゃう訳なんですけど、今回の最新作はテイスト的には『灼熱の魂』に近いですね。色味を極力排除した画面、謎解きな展開、苦境に落ちていくストーリーなど共通点も多い。ジェイク・ギレンホールを2作連続で起用ということで彼のいろんな一面も見れます。『プリズナーズ』はどちらかというとアメリカ映画寄りな作りで、オチもちゃんとこれがこうでああで・・・って何となくくどかった(ごめんね)んだけど、本作はかなり判断を観客にお任せって感じでしたね。私はこのタイプの方が好みなんで、そういう部分で評価分かれるとは思いますが。

「自分と似た人が世の中には3人いる」って俗に言いますが、もし実際に出会ってしまったら人はどんな行動を取るのか。ある意味実験的なストーリーでもあります。
全く関係ないとして通り過ぎる人、とりあえず興味だけ示す人、相手のことを調べ上げてしまう人、さらには相手とコンタクトを取ってしまう人。さすがに自分に似た人にいきなり連絡取るの?とも思うんだけど、このネット時代、ちょっとした手がかりだけでも簡単にその人の素性がわかってしまうのでそれも可能ですね。

自分に似た人間を突き止めてみたら意味深な行動を取っていて、それが自分に迷惑が掛かってくることもある。そして自分の存在に気が付いた相手も勝手に自分の領域に入り込んでくる。互いに関係ないはずだった存在が関わった時から、踏み込まれたくない秘密にまで知られる危険を冒してまでも相手のことを知りたい理由は何か。それは「知られざる自分自身への興味」に他ならない。別の角度から見た自分ならどう生きるのか、別の人生があったなら何をしているのか。興味本位の好奇心の裏に隠れているのは、無意識の自分に対しての関心である。でも完全に自分に似きった相手は、"Enemy"というタイトルの通り、「敵」となる。相手に対して優位に立ちたいという無意識の中の意識がそこには働くからだ。

冒頭のシーンが一見脈絡なく見えたかもしれないが、実はこれが重要な伏線となっている。観客がまだ完全に映画に没入する前の冒頭に最重要の伏線を持ってくる、ドゥニ・ビルヌーブ監督は『灼熱の魂』でもこの手法をつかってましたね。伏線の間は意味が分からないのでそのまま眺めているけど、後になってこれが強烈に生きてくる。後述される、アンソニーになりすましているアダムと、マンション管理人との会話で、冒頭のシーンを観客は思い出すようになっている(というか、思い出せなければこの映画はわからないまま終わる)。ですので本作もそうですが、ドゥニ・ビルヌーブ監督作品には常に細心の注意力が必要とされる所以です。

アンソニーと対峙したアダムは互いの共通点を問われる。だがたった1つだけアダムがアンソニーに明かさなかったことがある。それが本作の混乱の原因でもあるのだろう。
「何故こんなに似ているのか?」
「一体2人はどんな存在なのか?」
実母(がどうしてイザベラ・ロッセリーニになってしまうのか、ここだけは違和感あったけど。)に問うても「あなたは私のたった一人の息子だから」で終わる。でももしそれが本当の答えだとしたら・・・? この母の言葉もまた伏線となってくる。

大学に勤める堅実なアダムは、インモラルな行為はいけないと知りつつもヘレンに接触する。そしてアンソニーはメアリーに露骨に計算して近づく。どちらも本当の「自分」であり、一方が社会的に評価されている姿なのだとしたらもう一方は強烈な欲求を反映した姿。それが人というものでしょう?という計算が満ちていて、この監督、恐らくですが「1+1=1」をいろんなパターンで描いてみたいんでしょうね。観終わってしばらく経ってからはたと気が付く部分もあったりして、なるほどーと今回も唸らされました。抑えた色味、不気味な音楽もサスペンス効果出してます。綿密に組まれたこの作品、複数回鑑賞して謎解きを再度してみても面白そうです。


★★★★ 4/5点




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6 Comments

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こんばんは ()
2014-07-29 20:55:05
イザベラ・ロッセリーニで連想するのはデヴィッド・リンチですが、デヴィッド・クローネンバーグの匂いがするし、そこがまた好きです。

本当に綿密に組まれていますね。もっとも「プリズナーズ」とどっちが好きと言われると迷いますが。
雄さん (rose_chocolat)
2014-07-30 07:47:04
ロッセリーニはそういう連想なんですね。
ジェイクとは顔がかなり違うんで、そこだけ見てたんですけどね。

>「プリズナーズ」とどっちが好きと言われると迷いますが。
私はこちらの方が断然よかったんですよー。
Unknown (mig)
2014-08-04 23:03:35
不気味音楽と、不穏な雰囲気そしてキャストが良かったです

>『プリズナーズ』はどちらかというとアメリカ映画寄りな作り

でしたね~
あちら好きですけどいたぶりがしょうしょうしつこかったね、
今回は好き嫌い激しくわかれるところ。
まぁ嫌いじゃないけど似た感じでは ジェシーの「ダブル分身」の方が好きー
あれ公開決まって良かったです。
灼熱の魂はDVDではじまって5分で寝ちゃって結局返却でした 笑
migちゃん (rose_chocolat)
2014-08-10 09:05:42
>ジェシーの「ダブル分身」の方が好き
そうなんだー。
私はあれは実は普通だったかも。もっかい観たら感想変わるかもだけど。

>灼熱の魂はDVDではじまって5分で寝ちゃって結局返却
あははー 確かに重たい話だから
疲れてる時だとキツいかもね。
私はこれはシャンテで観てすごいよかったです。これでこの監督が好きになったよ。

 (とらねこ)
2014-09-02 20:34:41
あ、本当だ解釈に違いがありますね。
ただ正直言うと、私ずっとまえからこのオチがあんまり好きじゃないんです。
おかげでこの描かれ方をされると、片っ端から評価を下げてしまう。
でも『嗤う分身』は楽しみにしてますよー。あ、roseさんはもうご覧になったんでしたっけ。
とらねこさん (rose_chocolat)
2014-09-05 06:13:45
>このオチがあんまり好きじゃない
他の作品でもよく出てきちゃってますからねー。
私の場合は、こういう雰囲気が好きなのかもだけど。。

『ザ・ダブル』だよね。
あれ、去年のTIFFじゃ朝早かったんで、うとうとしちゃったところもあって、ちゃんともう1回観るかも(苦笑)

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