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『東京家族』 (2012) / 日本

2012-12-19 | 邦画(た行・な行)


監督: 山田洋次
出演: 橋爪功 、吉行和子 、西村雅彦 、夏川結衣 、中嶋朋子 、九代目林家正蔵 、妻夫木聡 、蒼井優
試写会場: スペースFS汐留

公式サイトはこちら。


トーキョー女子映画部さんから当選しました。ありがとうございます。
この日は女性限定試写会。綺麗な会場でゆったり観られて嬉しいです。


 



小津安二郎監督の『東京物語』に捧げた本作は、山田監督の監督生活50周年の作品として節目ともなった。『東京物語』は未見だが、観た人によるとあらすじやら話し方などがそっくりらしい。
話は、1つの家族内の移り変わりを、4組の夫婦(カップル)が繰り広げるそれぞれのエピソードに乗せて描く。4組とは言えきっちりとしたオムニバスではなく、メインは橋爪功・吉行和子の親世代から、末っ子の妻夫木聡・蒼井優のカップルへと続くストリームである。

優等生タイプの医者の長男・幸一、しっかり者の長女・滋子に比べると、かなりいい加減に見えて頼りない次男・昌次。しかし父・周吉に最も似ており生き方を継承していくのはまぎれもなくこの昌次だろう。型に捉われるのが嫌いで思うがままに生き、ちゃんと欲しいものを手に入れる。周吉の若い頃は恐らくこんな感じだったのではないか。

予告がかなり早くから映画館で流れてしまっているので、朝焼けの屋上のシーンで橋爪功と妻夫木聡の会話を聞いた人なら、劇中で何があるかはわかるはず(ここは予告編で見せなくてもよかったように思う)。
やりたい放題だった昌次が、図らずもとみこにすることとなった親孝行のエピソード。これも『東京物語』にあるのかはちょっとわかりかねるが、本作のポイントとなる部分だろう。多くの観客はここで共感を得られる部分。

山田監督の『おとうと』も、それを撮影した市川崑監督に捧げるものとなっていたが、本作もまた小津安二郎監督へ捧げたため、劇中の人物たちの言い回しなどは恐らく各監督作品に似せているのだろう。しかし『おとうと』と同様に、平成も25年となる現代からしてみればそのセリフ回しはいささか古めかし過ぎる。時代設定が昭和40年代くらいであればまだギリギリ合っているのだろうが、そうではなく舞台は平成、しかも最近である。丁寧な言葉遣いをする人でもその話し方はしないだろうなというセリフが妙に浮く。
それでも敢えてその言葉を使うことで、今や廃れ果ててしまった心遣いや、血脈を継承するという事実を思い起こさせるのが目的なのだろうか。ドライに傾きがちな血縁関係の中、一番若い昌次と紀子だけが私利を脇に置いた行動を取っているのも、これからの日本の若者に見てほしいという想いがあるのだろう。世代の移り変わりにも負けない家族の絆こそが、結局は家族を、国を継承させていく。刻々と移り行く国際情勢に翻弄されている日本の行く末を真剣に案じる山田監督の想いもまた、そこに感じ取れるのである。

ほんの少しではあるが、12月に突然逝去された、広く親しまれたあの役者さんの舞台が劇中に登場する。これが今となっては図らずも時の流れ、世代の移り変わりを象徴するようなシーンとなってしまった。舞台に生涯をささげた当のご本人も、こうして死後も現在形で語られることに、もしかしたら草葉の陰からお喜びなのではとも思われるほど、あまりにもタイムリーな登場だった。


★★☆ 2.5/5点




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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
勘三郎さん (こに)
2012-12-29 15:37:25
舞台の模様が流れた時には驚きました。
山田洋次監督が引き寄せたものなのでしょうか。
こにさん (rose_chocolat)
2012-12-31 15:34:00
あの舞台も、まさかこんなことになるとは思わなかったのでしょうね。
しかしながらあまりにもタイミングとしてぴったり過ぎてしまって。
勘三郎さんの心の叫びのようなものを感じました。
予告編で (masala)
2013-01-15 14:12:26
あのシーンを流しては駄目ですね。
私はいつもどおりに予備知識無しで見たので、あのシーンは泣けましたし、その後の展開もひたすら涙でした。
自分が山田洋次作品が好きなことを再確認する作品でした。
masalaさん (rose_chocolat)
2013-01-19 16:52:45
これは山田監督ファンじゃないと厳しいかも。
時代が錯綜しちゃってたよね。
予告にあれ持ってくるのはちょっと反則?

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