飛騨の山猿@飛騨MAVERICKマーベリック新聞

(野党共闘で政権奪取+安保法制破棄+法務官僚腐敗と政官財マスコミの癒着腐敗構造を糾弾+国連中心主義と常時駐留なき安保)

◆第1回「日本会議」は政権を牛耳る黒幕なのか?菅野 完/古谷 経衡(転載)

2017年02月09日 10時06分58秒 | 政治・時事問題

■実体は弱小団体だが侮ってはいけない理由
古谷 菅野さんの『日本会議の研究』、大変おもしろく読みました。今日はお話しするのをとても楽しみにしていました。よろしくお願いします。 日本会議(*1)は、僕の中では老人ホームみたいな印象の存在だったんですよ。僕は数年前まで「日本文化チャンネル桜」(*2)に出入りしていましたが、当時そこから見ていると、彼らはネットが使えなくて携帯すら持っておらず、「YouTubeって何?」という人ばかりだった。使うのは、基本はハガキでせいぜいファックスまで。まるで火縄銃で戦っているようなイメージでした。僕だけでなく、チャンネル桜の中では、みんな(日本会議を)バカにしてましたね。「これからのネット時代はチャンネル桜が切り開く。日本会議は近代化できていない未開の部族だ」、的な印象があった。ずっとそんなイメージがあったので、最近になって、「日本会議こそ安倍政権を牛耳っている黒幕だ」などと注目されるようになったことには、少し違和感がありました。菅野さんも、『日本会議の研究』(扶桑社新書)の「むすびにかえて」で、最初は巨大組織というイメージを持って調べていったら、実は小さい団体だったと書いています。そこが、世間が誤解しているところでしょうね。
*1 日本会議――日本最大と言われる、保守系の市民団体。1997年設立。
*2 日本文化チャンネル桜――保守系の、テレビ番組制作・動画配信運営会社
菅野 日本会議を饅頭(まんじゅう)にたとえたら、いまは「皮」の部分が発酵して大きくなっているだけで、「あんこ」の部分はずっと変わらず、すごく小さいです。
 ただ、だからといって侮ってはいけない。テクノロジーの部分で、僕は古谷さんと逆の評価をしてるんです。たとえば、日本会議の実務を担っているのは日本青年協議会という団体なのですが、そこが最初にホームページを開設したのは1996年でした。
古谷 それはむちゃくちゃ早いですね。
菅野 ええ。その一方で、日本会議はいまでも、「こんなこと電子化すればいいじゃん」と思うようなことを延々と「紙」でやっています。それは、あえてそうしているような気がするんです。というのも、お年寄り相手の情報伝達には紙を使うのがいちばん確実ですし、集会に動員をかけるようなオペレーションでも紙が強い。もちろん、いまの時代にSNSやYouTubeを使って空中戦を展開しない手はありません。でも、たとえば武道館で憲法改正を訴える1万人規模の集会を開くといったような場合、武道館の狭い駐車場で地方組織から動員された多くのバスをさばいたり、駅から参加者を誘導したり、物販コーナーを設営したりといった、地上戦で役に立つノウハウは、すべてアナログの世界。駅前の街宣活動でのビラ配りもそうです。渋谷のハチ公前で、ティッシュ配りのアルバイトは受け取ってもらえなくて苦労しているのに、日本青年協議会の活動員が配るビラだけがどんどん受け取られる光景も見たことがありますよ。こういうときにモノを言うのは、主張の内容でなく、ビラを受け取ってもらうノウハウなんです。彼らには、そういうノウハウの蓄積がある。
 昔は左翼にもそれがありましたが、ノウハウを持つ人たちが高齢化して、次世代に受け継がれていません。しかし日本会議はそれができている。日本会議の実体は弱小なものですが、そういう足腰の部分が彼らの強さでもあります。
古谷 それは重要なご指摘ですね。たしかに、2014年1月の東京都知事選で、チャンネル桜やネット右翼(以下ネトウヨ)勢力が支持した田母神俊雄氏が勝てなかったのも、そういう基礎がなかったことが一因かもしれません。実はチャンネル桜も、2004年の創業当初は、日本会議の有形無形の人脈に頼らざるを得なかった部分があるわけですよ。あるいは保守運動の「先輩格」として遠慮している部分もあったのかもしれない。でも2009年に民主党政権が誕生し、「民主党政権へのアンチ」という形でインターネットを使って自力で輝けるようになったことで、日本会議を超克できる存在だと自覚するに至った。しかし一方、日本会議ほどの歴史や「格式」、そして組織力がないことも自覚しているから、後ろめたさもあって、日本会議を「時代遅れ」とバカにするようになったんでしょう。……って、こんな話は世間一般には何のことかわからないかもしれませんね。日本会議もチャンネル桜も、ふつうの人から見れば同じ「右の人たち」でしょうから(笑)。アマゾンの原生林で発見された新種のイモリやカエルみたいなものです。研究者にとっては驚きの新種でも、ふつうの人にとっては同じイモリやカエルにしか見えない。
菅野 その微妙な違いが重要なわけです(笑)
■保守とホシュと右翼とネトウヨ
菅野 ある右翼団体の集会に呼ばれたとき、日本会議の問題点は何かと聞かれたので「ミソジニー(*)ですかね」と答えたら、その団体の女性が「そうなんですよ! 日本会議の集会に行くと決まって『女は黙ってろ』と言われるんです。だから彼らとは一緒にやれない」と言っていたのが印象的でした。
*ミソジニー 女性蔑視、女性軽視
古谷 日本会議は、10年ほど前から自分たちのことを「真正保守」と呼ぶようになりました。「ネトウヨ」と一緒にすると、すごく怒りますよね。
菅野 僕から見れば、日本会議もネトウヨも漢字の「保守」ではなく、カタカナの「ホシュ」ですけどね。ここでちょっと「右」と「左」について整理しておきましょう。そもそも近代社会で最初に世の中を言語と理論で把握した「○○イズム」はマルキシズムだったので、「左翼か右翼か」は、マルクス主義に対する立ち位置で決まるんです。日本では唯一、マルクス主義を掲げて結党された日本共産党だけが、現存する狭義の左翼でしょう。日本共産党より左は「極左」、日本共産党より少し右になると日本では「リベラル」と呼ばれる。ここまでが広義の左翼。固有の主義主張があるわけでなく、そういう広義の左翼に対するアンチテーゼしかないのが、カタカナの「ホシュ」。そのホシュの中で、ネットで活発に発言するのが「ネトウヨ」です。
古谷 まさにそうですね。「ホシュ」は単に「アンチ左」というだけ。
菅野 一方で漢字の「右翼」や「保守」にも2通りありますね。日本共産党や共産諸国に党派として闘争心を持っているのが「反共右翼」。かつての赤尾敏さんが典型です。それに対して、僕自身の思想的本籍地である、「右翼」もしくは「保守」という立場は、日本共産党という政党に対する敵愾心(てきがいしん)はないけれど、共産主義を含むあらゆる革命思想への拒否感があります。
古谷 西部邁さんや佐伯啓思さんらの雑誌『表現者』グループも、アンチ革命の「原義の保守」ですよね。これを戦後の時系列でざっくり見ると、まず産経新聞や雑誌『正論』などの「親米保守」勢力、新新宗教である統一協会系の政治団体・勝共連合、それから街宣車で軍歌を流して活動する、いわゆる「街宣右翼」の3つが、右派勢力の中心だったように思います。でも、勝共連合は冷戦終結と統一協会の起こした社会問題があり、街宣右翼は暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の影響もあって、いまは大幅に勢力が縮小した。その代わりに台頭してきたのが、ネトウヨこと「ネット右翼」ですよね。そこから派生したのが「チャンネル桜」とか「在特会」(在日特権を許さない市民の会)など中小の団体。日本会議は、産経・正論人脈と密接に関係していますが、その核となっているのは、新宗教・生長の家にルーツを持つ右派勢力です。僕自身はと言えば、チャンネル桜とは喧嘩別れしましたし、どこが本籍地ということはありません。
菅野 古谷さんはどうしてチャンネル桜に行ったんですか? 思想的な部分に共鳴したんじゃないとしたら、「ここなら儲かりそう」と思ったとか?
差別主義と陰謀論しかない「ホシュ」の世界
古谷 僕がチャンネル桜で発言するようになったのは2010年頃からですが、当時は自営業で稼いでいたので、お金の問題ではなかったですね。正直に告白すれば、承認欲求を満たせる自己表現の場を求めていたんだと思います。それは、たとえば東浩紀氏や宮台真司氏のところでもよかったのかもしれない。でも、彼らの書くものは自分にとっては難しく思えて、敷居が高かったんですよ。
大学入試で言えば偏差値68ぐらいだから、第1志望にはしづらい。それにくらべるとチャンネル桜は偏差値61ぐらいで、自分でも模試でA判定かB判定がもらえるレベルだと思ったんです(笑)。それに、僕はいわゆる「小林よしのり世代」で、架空戦記やミリタリー模型の大好きなミリオタでもあったので、当然、チャンネル桜は大きな選択肢になります。
菅野 わかります。僕は1974年生まれなんだけど、少し下の世代は中学時代に『紺碧の艦隊』などの架空戦記を読みまくった人が多いんですよ。それがやがて雑誌『SAPIO』を読み始め、さらに「新しい教科書をつくる会」(*)で運動に目覚めるのが、ネトウヨのエリートコース(笑)。
*新しい教科書をつくる会――中学・高校で使われる従来の歴史教科書を「自虐史観」と批判し、それに代わる新しい教科書の作成・普及を進める団体。1996年結成。
古谷 まさにそのエリートコースを踏みました(笑)でも、チャンネル桜に集まった人々と何年かつきあってみて、僕が彼らを過大評価してたと思い知らされました。渡部昇一さん(上智大学名誉教授)や長谷川三千子さん(埼玉大学名誉教授)をはじめ、名の通った論客が顔を揃えているから、まともな集団だと思ってたんですよ。でも実際にそこで仕事をしてみると、ファクトに基づいて議論するといった、メディアとして最低限の作法も身についていない。要するに「陰謀論」と「トンデモ」の巣窟なんです。偏差値61どころじゃない、言ってしまえば偏差値38だったんですよ。チャンネル桜の番組を観ている大半の人たちも、何も勉強していないように感じた。たとえば番組常連の西尾幹二さんなどの講演に行くと、「水戸学が云々」といった知的な話の部分ではみんな居眠りしていて、「支那はけしからんですよ!」という話になった途端にガバッと起きて「そうだそうだ!」。口を開けば「支那」「朝鮮」。在特会は「朝鮮人出ていけ!」と言います。彼らは「朝鮮人は出ていってください!」と丁寧語で言っているだけで、本質は何も変わらない。あとはコミンテルン(第3インターナショナル)(*)の陰謀がどうのとか。「これが自称保守かよ……」という幻滅の連続でした。単に差別主義者、トンデモ陰謀論好きのオッサンたちが愚痴をこぼしているだけ。最近ではユダヤ陰謀論、国際金融資本陰謀論なんてのも、もう何度目かわからないですけど、流行っているようです。到底、表現や言論の場ではありませんでしたね。
*コミンテルン(第3インターナショナル)――共産主義インターナショナル Communist Internationalの略称。1919年3月にモスクワに創設された、各国の共産主義政党の国際統一組織。1943年5月まで存続した。
菅野 「ホシュ」は間口が広くて敷居が低いのが特徴ですからね。そういうチャンネル桜的なものが、メジャーな言論の流通ルートに乗ってしまうような言論環境をつくったのが、日本会議の源流となった「一群の人々」(*)の長年にわたる運動の成果なのではないか。それが『日本会議の研究』を書いたときの、僕の仮説なんです。彼らが、言論界の敷居を下げてしまった。
 なにしろ日本会議主催の集会では、舞の海秀平氏が登壇して憲法改正を訴えるわけだから(笑)。どうして相撲取りに憲法の話をされなきゃいけないのかと思いますよ。
*「一群の人々」――ジャーナリスト・魚住昭氏は「参院のドン」と呼ばれた右派系政治家・村上正邦氏へのインタビューをもとにした著書『証言 村上正邦~我、国に裏切られようとも~』の「あとがき」で日本会議および日本青年協議会周辺の人々を「一群の人々」と称した。菅野氏の『日本会議の研究』は、日本の右傾化の淵源がこの「一群の人々」の活動にあるのではないかとして、それを検証している。
古谷 彼自身は本当に良い人ですけど、そこで登壇する意味はわからないですね(笑)。
* * *
●第2回は2月14日に掲載予定です。
★野党共闘

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