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特別版セイネンキゼロ/ポリシー(8)

2017-06-03 10:05:16 | 特別版セイネンキ・ゼロ/ポリシー
直也の胸の中で囁きながら、この2ラウンドは相手の『パンチ力』、ボクサーとしての『癖』を知る事と『体力』を奪う策略だった。
『ヤスシ』は『プロ』としての策略を、直也に話していたのだ。
中学生で初心者ができる策略ではなかったが、初心者でも直也なら出来ると『ヤスシ』は認め始めていた。
『直也!直也!直也!・・・』
『ジャブ、ジャブ、ボディ、ボディ、ボディだー』
『応援団のサポーター達』以外の応援する観客達は、打たれ続ける直也の応援を始めていた。
これも『ヤスシ』の『策略』の1つだった。
この声援を聞けば、相手の選手は焦る事もあり『ノックアウト』を狙いにくる。
しかし、そう簡単に策略にはまる選手ではなかった。
ずっと、打たれ続ける姿を見れば、何かがあると考えるだろう。
しかし、目的の為なら直也は冷静に打たれ続けた。
相手がパンチを出さなければ、隙を突きながら、軽いパンチを相手に当てる事の繰り返しだった。
相手の選手は、冷静にパンチを出す直也に、まんまと徐々に策略にはまっていく。
しかし、この策略は、直也にとっても『大きなリスク』があったのだ。
直也の体力は保持されるが、身体のどこかを痛める可能性があった。
中学生の直也には、そんな事はどうでも良かったのだ、ただ・・・。
『勝ちたい、優勝したい・・・』
直也は、この思いだけで『観客達』や『応援団のサポーター達』に、直也は打たれ強いタイプと見せる事こそ『最善の策』だった。
なぜか?それは、前回優勝者に勝ち『優勝ベルト』と『トロフィー』を由子に渡したい思いが強くあった。
直也が、この2ラウンドで何を求めていたのかと言えば、最終の4回戦、決勝戦での優勝であったのだ。
この思いが『闘争心』に変わり、直也に力を与えていたが、この思いは、直也の奥深くの心にある『怒り』を想い起してしまうとは直也自身は気づく事はなかった。
『直也!直也!直也!・・・』
『久美子』のような『由子の声援』が、直也を石に変え、いや岩となり、サンドバックのように殴られ続けていたのだ。
2ラウンド2分を過ぎると、直也の姿勢に変化が起きた。
初心者の直也にとって、リスクが大きかった。
耐えられると思っていたが、直也の姿勢は、『ガード』やや下に下がりぎみになり、『腕』と『グローブ』で『ガード』も下がりつつ甘くなっていった。
『まずいか!』
リンサイドにいる『コーチ』は、次の試合の決勝戦は無くなると思い始める。
『コーチ』は『会長』の顔を見ながら、『会長』も頷いていた。
2ラウンドは、もう数十秒で終わる為、直也の様子を静かに見守っていた。。
3ラウンドで、もし直也の姿勢が崩れる事あれば『コーチ』に『タオル』を投げる指示を『会長』は出していた。
あと十秒、九秒、八秒、七秒、六秒、五秒、四秒、三秒、二秒、一秒・・・。
『十、九、八、七、六、五・・・・・』と、『観客達』や『応援団のサポーター達』が『タイムカウント』を口ずさむ。
『観客達』や『応援団のサポーター達』は興奮した応援のあまり叫び始めたのだろう。
直也が、立っていられるかどうか?と、そして・・・
『カーン!』
2ラウンド終了のゴングが鳴った。

2ラウンドの『ゴング』が鳴り、直也はリングコーナーの椅子へ戻ろうとするが、直也の足運びと歩く『平衡感覚』に変化が見られた。
直也の身体は左に傾き、やや疲れた感じでリングの床を見ながらリングコーナーの椅子に座った。
『どうした、直也?』と『コーチ』が直也に声をかけをすると『会長』や『訓練生達』と『由子』は黙って見つめていた。
『え?なにが?』と、直也は何事もなかったように振舞っていた。
『お前まさか、左腕を見せてみろ』と『コーチ』が直也に声をかける。
『はい』と直也は答える。
『直也お前、左腕を痛めたな』と『コーチ』が再び直也に声をかける。
相手のパンチを打たれ続けた事で、腕は赤くなり、左腕はしびれ、直也は息を荒くしていた。
相手の選手は、直也と同じ右利き、それだけに左腕にパンチが集中していた。
ノックアウト、KO勝ちを相手の選手は狙っていたのは間違いない。
『勝利』の為の左腕を痛めた直也に『コーチ』は、次の3ラウンドで動きが止まれば『タオル』を投げると直也に告げていた。
しかし、直也は・・・。
『コーチ、タオルを投げるのは次の試合にしてください』と、直也はコーチに伝える。
『お前の身体の事、考えるのがトレーナーの仕事だぞ!』と、コーチは少し大きめの声で直也に声をかける。
『わかってますよ、でも俺は勝ちたいんです』と、直也は『コーチ』の眼を見ながら答える。
『このままだと、次のラウンドはもたないぞ、いいのか?』と、コーチは直也に問いかける。
『俺は、必ず勝ちます、大丈夫です』と、直也が言うと『コーチ』は黙ったままになった。
『コーチ』と直也の会話を聞いていた『ヤスシ』は直也の持つ『潜在的能力』を考えていた。
『潜在的能力』とは、ボクシングジムで『ヤスシ』とスパーリングをしている時、直也は痛みに耐え抜き倒れる事はなく、あえて『ヤスシ』は初心者の直也に『アッパーカット』で倒していた。
『ヤスシ』は『会長』から直也が『倒れるまで続けろ』と告げられていたのだ。
しかし直也は『意地』なのか、決して『クリンチ』する事や倒れそうになっても倒れようとはしなかった。
『痛み』に対して直也は『一時の間』に『痛み』を感じるような体ではなくなっていたというべきか。
それは、毎日の『減量』や『スパーリング』の『トレーニング』が徐々に厳しくなっていく『スケジュールプラン』が直也の筋肉質の体の変化に関わっていたのかもしれない。
『ヤスシ』と『ユウコ』は、直也の姿を見つめながら考えていた。
『まさか、会長とコーチは直也の潜在能力を知ってプランを作ったのか?』
由子の隣で『ヤスシ』は小さな声で呟やき、『コーチ』と直也との会話を聞いていた。
『直也、右腕はどうだ?』と、今度は『会長』が直也に声をかける。
『右腕は、全く問題ないです』と、直也は『会長』に言った。
『なら、相手は体力をかなり消耗してる、見てみろアイツを』と、会長は直也に相手を見るよう誘導する。
『苦しそうな感じですね』と、下向き加減の直也は相手選手の方を見ながら言った。
『そんな時は、左ストレートをフェイントして、ボディだけを狙え、いいか、ボディのみだぞ』と『会長』は『トレーナー』としてアドバイスをした。
『コーチ』の頭の中には『トレーナー』の1人として『タオル』を投げる姿が浮かんでいたようだった。
『コーチ』とは正反対に『会長』と『ヤスシ』は直也の気持ちを優先させた。
『コーチ、トレーナーとして3対1だ、これからは直也の思うようにして様子を見ようか』と『コーチ』に話す。
プロテスト前の『ヤスシ』は『勝利』と言うものを考えるのは当たり前の事だと思っていた。
『あの・・・会長、何で3対1なんですか?』と、直也は首を振りながら会長に聞いた。
『お前はアホか、ユーコの姿を良く見ろ、ユーコもトレーナーの1人だろ』と、『会長』は直也に言った。
直也の気持ちを良く理解していた由子は直也の傍に行き、眼を薄赤くして汗を流し笑う。
『直也なら勝てるよ、絶対に勝てるから』と、由子は汗を拭きながら直也に言った。
由子の言葉は、直也の心に強く響くものがあった。
会長やコーチは1分の間、3人の間での会話を聞いていて直也なら勝てるか?そんな思いを持つようになる。
『直也、勝ちたいのなら、ヤスシの言う通り、ボディだ』と、『会長』は直也にサポートする言葉をかける
『もう、勝ちに行くしかないぞ、判定では相手が有利だ』と『ヤスシ』もサポートする言葉をかける。
『そうですね、相手もその事を充分理解してるはずですから』と『コーチ』も考え方を変えサポートする言葉をかけた。
『わかりました、やってみます』と直也は声かけで何かが変わったようだった。
『よーし、いって来い!』と、『ヤスシ』が言った後だった。
いよいよ3ラウンドのゴングが鳴る。
『カーン!』

両者ともに勢い良く走り、リングの中央で両者のグローブとグローブが軽く当たり戦いは始まった。
両者ともに必死に戦いが始まり、負け劣らずパンチを出し合う。
ジャブ、ジャブ、ジャブ、フック、ボディー!
ジャブ、ジャブ、ジャブ、フック、ボディー!
ジャブ、ジャブ、ジャブ、フック、ボディー!
繰り返されるパンチの連打、10秒が過ぎた頃、直也の右ボディが偶然か必然かわからないが炸裂する。
相手の選手は、一瞬、嫌な顔をし後ろに下がり、足を動かし直也から離れるようになった。
『直也のボディが確実に効いたぞ!よし!』と『ヤスシ』が言った。
『直也!ボディ・ボディ・ボディ!』と、早口の『ヤスシ』の大きな声に合わせて『ボディ』の連打になる。
直也のリングサイド下からリングを叩く音と大きな声が聞こえる。
『応援団のサポーター達』や『観客達』は全く関係なく、皆立ち上がり、リング上の2人の選手を見つめていた。
この試合では誰もが直也と相手の選手を応援し始め、体育館の中一面が一体になったようだ。
しかし声援は一瞬だけ消え去り、しばらくすると、大きな声援が始まった。
直也は相手を追い詰めていく、どこまでも・・・。
『チャンス到来か?・・・』と、直也の脳裏に、この言葉がよぎった。
『いける、いける、いける!・・・』
直也が近づくと、相手はすぐに『クリンチ』をするようになった。
『ヤスシ』の思惑通りになり、そして、相手の『クリンチ』が多くなっていく。
直也は『クリンチ』をする相手を冷静に良く見ていた。
相手の選手の『クリンチ』の瞬間を、直也は見逃す事はなかった。
徐々に『クリンチ』をしてくる間隔があいてきた時だった。
直也は相手を追い詰めていく。
『足なら、大丈夫か』と、直也は思い描いていた。
リスクを負った直也だったが軽いフットワークで、どこまでも・・・。
このクリンチはムエタイではクリンチ状態から、頭、首を制して肘打ちや膝蹴りを放つ技術であるが、ボクシングでは相手に抱きつき動きを止める行為である。
相手が『クリンチ』する瞬間、直也のボディが炸裂する。
相手の選手は『ボディ』を打たれても『クリンチ』で逃れようとする。
直也はクリンチされる時、相手の息づかいを聞き、3ラウンド、2分が経過した後、直也は相手に対しクリンチをさせず、ボディボディボディ!の連打。
『ボディボディボディ!ボディボディボディ!』
リングサイドからも、ボディ・ボディ・ボディ!の声ばかりが聞こえる。
ボディボディボディ!の声援で、直也は右アッパーのように、必死に『ボディ』を狙い打つ。
直也のボディが炸裂すると相手の選手は、無防備状態になり、ボディ・ボディ・ボディの連打によって相手の選手はリング床に膝をついた。
『ダウン・ダウン・ダウン・ダウン・ダウンだ!』
直也はダウンを奪い、カウントダウンだ。
『ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス・・・』
相手の選手は首を振り、『マウスピース』を吐き出し、相手のリングコーナーからはタオルが投げられた。

この3回戦、3ラウンド、激戦の末、直也の腕が上げられた。
直也の3回戦目の『勝利』、手が上げられた時、直也の瞳には涙が浮かぶようだった。
リングサイドに戻ろうと向かう直也は、もうろうとしながら歩き何があったのか殆ど覚えてはいない状態。
『やばいかな俺、限界かな・・・』と、もうろうとして弱気になる直也だった。
こんな思いにかられながらリング下に降りる。
3回戦から4回戦目までの、休憩は10分だけのはずだった。
しかし、レフリーやリングしたの『ジャッチ』審判員達は、何かを話し合い、主催者側と協議を行っていた。
直也がリング下の椅子に座った時だった。
直也の前には少し離れて『ドクター』と『会長』『コーチ』『ヤスシ』が小さな声で話し合いをしている。
試合会場は静かになり『何?何?どうしたの?』とリングを見ながらの声があった。
そして・・・しばらくして・・・。
『=4回戦について、優勝決定戦は30分後に行います=4回戦について、優勝決定戦は30分後に行います=』
体育館のボクシング試合会場の中で2回の放送が流れた。
『どういうことだ?』と、誰もが思っただろう。

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