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特別版セイネンキゼロ/ポリシー(9)

2017-06-09 18:49:19 | 特別版セイネンキ・ゼロ/ポリシー
優勝決定戦には『ジャッジ』審判員達と協議会委員達の結果、充分ではないが30分の休憩時間を延長した。
これまでにはない試合が行われ、直也を『ドクター』に診てもらう事だった。
『審判員達』と『ドクター』は、このまま直也が試合を続けられるかどうか、気にかけていたのだ。
直也達は控室に行き『ドクター』の診察を受ける事になる。
『君は、なぜ、あそこまで・・・こんなになるまで』と『ドクター』は直也に話しかけた。
『先生、俺は勝たなきゃならないんです』と、直也は答える。
『なぜ無理をするんだ?君の思いを教えてもらえないか?』と『ドクター』は直也の真意を聞いた。
『ただ勝つ為だけに、ボクシングはしてないんです』と、直也は『ドクター』に告げる。
直也は、それ以上の話はする事はなかった。
直也は、『ドクター』と話をしながら診察を受ける。
『ドクター』が言うには、3ラウンドは無理だと、棄権するよう会長に話した。
しかし、会長は・・・。
『ドクター、私は直也の心の問題と考え、試合に出場させたんですよ」と、『会長』は直也の真意を伝える。
『しかし、もしもの事があったら、だれが責任を・・・』と、『ドクター』に言った。
『私が責任をとり、ボクシングジムを閉鎖します』と、『会長』は迷わずに答える。
『会長!』と『コーチ』は会長を呼び振り向かせ、『ドクター』との会話を中断させた。
コーチは、時間を考えての事だった。
『なあ、直也、お前の気持ちは充分感じたぞ、まだやれるのか?」と、『ヤスシ』は直也に聞いていた。
『んー・・・はい、できます』と、直也は少し考えながら答える。

『ドクター』は、しばらく考え直也の左腕に鎮痛剤の痛み止めの注射をしてテーピングを巻いたが『ドクター』からは条件が付けられた。
もしも、左腕が下がり『ガード』もできない状況になった時、タオルを投げるよう、『ドクター』は指示を出したのだ。
鎮痛剤の注射によって痛みは無くなるが、相手は左腕を狙ってくる事で、痛み止めの効果は薄まるとの事だった。
その指示に会長達は従うという事で、試合続行が認められた。
直也は筋肉質の身体だが、誰が見ても、左腕の赤い腫れは見てわかる。
相手の選手は、必ず直也の左腕を見ながら戦うだろう。
優勝決定戦では、どんなに策をこうじても、左腕が動かなくなれば勝利はない。
『俺は、必ず勝ちます、どんな事をしても勝ちたい!』と直也は会長に伝える。
『なぜ、そこまでして勝つ事に拘る?』と、会長直也に問いかける。
『この試合の勝利は、俺自身の勝利なんです』と、直也は答える。
『自分自身に勝ちたいという意味か?』と、会長は直也の眼をみつめ頷きながら言った。
『ドクター』と『会長達』の会話を聞いていた由子は、タオルを投げようとした時、タオルを奪う事を考えていた。
『優勝』を約束した直也と由子だった。
直也の為にも絶対にタオルを投げさせるわけにはいかなかった。
直也の心深くにおいていた友の死と転勤での別れによって、抱いてはならないものがあった。
怒りと憎しみ、憎しみが憎悪となる事が直也は自分の心を分析してたようで少し畏怖していた。
思春期の直也は、自分の心と向き合う事が怖かったのだ。
囚われた感情から、逃れたい、逃れたいといつも思っていた。
仲間がいても直也の抱いた思いは、仲間達には判らない。
ただ漠然と感じるだけの仲間達、それだけに直也は『孤独』だった。
ボクシングを学ぶようになり、直也は知った事があった。
『ヤスシ』との『スパーリング』で『アッパー』一発で倒され、意識を失った時の涙が、直也のありのままの心だった。
涙を流す事で負けを認めると、直也の抱き持つ感情を大きくしてしまう。
しかし直也は、決して負ける事を心の中で認めるわけにはいかなかった。
そして、直也は強い自分を由子に見せたかったのだ。
由子が直也に対する思いは伝わっていたものの、友との別れと久美子の死が由子への思いを打ち消してしまう。
由子は直也の本当の心の内を誰よりも知っていた。
直也と由子の関係は、幼なじみであり由子の片思いである。
由子は久美子に渡された、大切なアクセサリーを直也がリング上で戦っている時『ドリームキャッチャー』を強く握りしめていた。
直也はリング上で戦い、由子はリング下で自分の片思いの気持ちと戦っていたのだ。
由子の直也への思いは、12年もの間、変わってはいなかった。

『時間だ、そろそろ行くぞ、直也』と、ヤスシは直也の声をかける
『絶対に勝つって、約束してよね、直也』と、由子は直也と見つめあいながら言った。
『え?由子・・・』と、直也は頷くだけだった。
由子の思いは、直也を思うだけでなく、勝利への導きでもあった。
由子は直也に目的の為なら『鬼』になってもいいとも思っていた。
由子の思いを受け入れる事のできない直也にとって、この試合だけは由子の思う希望通り『優勝』しかないと思う直也だった。
控室を出て廊下を歩きながら、直也は自分に何ができるか、と考えていた。
『これまでの3回戦で、何を学んできたのか?・・・』
直也には、試合で学んだ事を生かせる事ができれば、必ず勝てる自身があったが、それは後々の直也に襲いかかるものでもあった。
直也は1回戦目からをさかのぼって考えていた。
それは、パンチを繰り出す時のバランスとパンチ後の引き際である。
このタイミングを逃すと、相手の策略にはまる。
決勝戦の相手は、前回プロ並みの選手、そして優勝を勝ちとった相手だ。
直也と相手の選手の身長差や腕のリーチ幅に大差はなく、試合を見る限り『パンチ力』は俺以上だ。
直也は引き際のタイミングだけで、頭の中で考えながら勝負を挑む事を考えていた。
『あのフットワーク、どう引いたらいいのか・・・』
直也が引き際の事を考えていると『ヤスシ』は、直也に何かを察知したのだろう。
『直也、引き際の時、パンチを受けながら弾く事ができるか?』と、ヤスシは直也に聞いた。
『先輩、どういうことですか?』と、直也は問いかける
『相手のパンチを受けている事が相手にとって不安材料にもなるんだ』と、ヤスシは自分が体験した事を直也に伝える。
『不安材料って?何』と、直也には良く解からなかった。
『そうだ、相手はパンチが当たってると思い始めるはず、しかし相手はパンチ力に自信を持っているんだ、それを逆手にとれば勝てるかもしれない』
直也は『ヤスシ』の言葉を信じてみようと思った。
しかし、どうしたらそんな事ができるのか?直也はボクシングを始めて、まだ約4カ月の素人と一緒だ。
『試合の中で、学ぶしかないか?・・・』
直也は、不安と若干のプレッシャーの中、試合会場へと向かった。
直也と前回優勝者の相手が会場へ入ると、観客席から声援と拍手が湧いた。
直也は周囲の観客達を見つめると、なぜか『ファイト』が沸いてきた。
左腕の痛みは、鎮静剤の注射と観客達の声援と拍手によって消え去っていく。
『なんなんだ、これってなんなんだ・・・』
直也は声援によって不安もプレッシャーも消え去る事は初めて体験する事だった。
思春期の直也は、それが何故なのか気づく事も何もわからなかった。
思いもよらぬ感情に囚われていた感情が全て消えていく事が信じられなかった。
試合開始まで、あと5分、椅子に座り何度も深呼吸をする直也。
その直也の肩や首をマッサージする『コーチ』だった。
由子は、強く強く、ドリームキャッチャーを握りしめ、直也の勝利を祈る。
『久美ちゃん、直也に力を与えてね』と祈る由子だった。
直也は軽く体を動かしながら、リングの上の椅子に座った。
そして『ヤスシ』は直也の耳元で同じ事を囁く。
『引き際のタイミング、相手のパンチ力を弱くしろ・・・』と、何度もヤスシは繰り返す事で頭に残る事を過去の自分の体験で知っていた。
直也は、『ヤスシ』の声にうなずきながら、時計を見るとあと1分後、直也の口の中に『マウスピース』がはめられた。
そして、あと15秒後。
『両者、リングの中央に・・・』
『レフリー』からの言葉により、リング中央に歩き出す2人の選手。
直也と相手の選手は、見つめ合い首を縦に振り挨拶を交わす。
4回戦目、決勝戦の始まりだ。
『カーン!』
最終戦、決勝戦の『ゴング』が鳴った。

『ゴング』と同時に、両者ともに軽いフットワークで距離を測りはじめた。
そして、直也の左腕を気にしながら、相手の選手はジャプを打ち始める。
そのジャブは軽いもので、相手の選手は何かしらの策を講じていると、直也は思い、その策略にのってみようとする。
右利き同士の対戦だ、直也のリングコーナー下のトレーナーからは、言葉ではなく手で合図する動けの指示がでた。
直也は、その指示を無視し相手に向かっていく。
『直也って?変わり者か?リスクがありすぎるのに・・・』   
試合会場にいる観客席で誰もが思った事だろう。
それもそのはず『ハンディ』のある直也はフットワークで相手を追い詰めているが、追い詰められる相手は嫌な顔も見せず、左ジャブで距離を測り続ける。
『来いよ!来い、来い!』
優勝経験のある相手は、余裕で直也に腕を振りながら小さな声をかける。
1ラウンド2分を過ぎた時、相手の右ボディ、直也は痛めた左腕で受ける。
相手選手の右ボディの連打、直也は左腕でカバーを続ける。
コーナーサイドでは、
『やばいか、まずいぞ、直也!離れろ!右に動け右だ右だ』
この相手の選手のボディの瞬間、直也は左腕で受けながら右に動いた。
『軽い、軽いぞ、パンチが軽い、このタイミングか?』
直也は一瞬の瞬発力で、相手のパンチ力を弱める事を知った。
相手の選手は、この1ラウンドで『ダウンを』を奪おうと考えていたようだった。
しかし『ダウン』を奪う事ができない事で相手の選手の胸の内に直也は何かを植え付けていた。
『次は、顔面か?それとも、ジャブ、フック、ボディか?まさかアッパーか・・・』
直也の頭の中では試合の事しか考える事が出来なくなっていく。
しかし直也は左腕に軽いパンチを受けて続けていたが、あえて左腕を下げ、次のパンチはどんなものかを試す。
直也が左腕を下げると、相手は右フックを直也の頬に打ってきた。
まともに受けてしまった直也は、よろけるが『ロープ』に助けられ『ダウン』と見られる事はなかった。
一瞬の隙で、相手の右フックの強さを感じる直也であった。
『まともに受けるのは、まずいな、やば・・・』
直也は、ロープに助けられた時、相手のパンチ力の強さを知った。
『どうする? どうする? 俺・・・』

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