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特別版セイネンキゼロ/ポリシー(7)

2017-05-31 10:32:45 | 特別版セイネンキ・ゼロ/ポリシー
直也はボクシングトーナメント試合で、言葉では表せない何か見つけていた。
次は3回戦目、しかし直也には、『緊張感』は殆どなくなり『分析力』と『集中力』で深呼吸を繰り返しながら息を荒くしていた。
直也の頭の中にあるのは、もう『優勝』しか考える事はなかった。
それが直也の『緊張の元』になるが、しかし、この『緊張感』は『マイナス思考』ではなく『プラス思考』が体に働きながら直也を変えていく。
由子は、直也が『久美子』や『春樹』『真一』との別れから、『怒り』と『悲しみ』を抱き囚われた思いから『逃れたい』と思っている事も知っている。
由子は、そっと直也の傍に寄り添い水とタオルを渡した。
そんな由子の顔を見て、直也は頭をかきながら笑う。
由子も直也と同じように笑うと、まるで『恋人同士』のようだった。
直也の通うジムの会長やコーチ、他に通う『訓練生達』は、きっと周囲から見えば2人を見ていた人達は『彼氏と彼女』と恋人同士と思っていたに違いない。
近くで見ていた観客の中で、由子に声をかけてくる人達がいたが、
『話しかけないでください!』と、由子は、なぜか涙目で言葉を返した。
『お前、そんな事言うな』と、由子は直也に言われる。
『ごめんなさい、でもね、直也の為に言ったの』と、由子は答えた。
『どうして?』と、直也は静かな声で聞いた。
『優勝するんでしょ、邪魔な事は、私が許さない』と、由子は直也の本当の思いを感じていたのかもしれない。
直也は、保育園入園してから幼き頃からの『友』として、由子の思いや気持ちは知っていた。
『まるで、お前は久美子みたいだな』と、直也は由子を見ず下向き加減で小さな声で呟く。
『えっ?今なんて言った?』と、由子は直也に聞いた。
『なんでもないよ、お前は馬鹿だ、昔から大馬鹿だよ』と、直也は自分の裏顔の気持ちで答える。
『馬鹿でけっこう、直也の為になるなら、どんな事でもするから』と、直也に言う由子は強気だった。
2人の関係は、由子の片思いかもしれないが、直也の心は由子の思いに揺れ動いていた。
直也自身の心が動くとは思う事はなかった直也は、言葉では言い表せない思いから、リング上のボクシングに目を向ける。
3回戦目となると、更に強い優勝をした事のある選手との戦いだった。
『強いなーそれでも俺は勝つしかないんだよな由子!』
直也は由子に声をかけると・・・。

『絶対に勝ってよね、直也がどんな人間なのか思い知らせてよね』
由子は、まるで、自分がボクシングをしている気持ちで、直也に答えていた。
いよいよ、直也の3回戦目、準決勝が始まろうとしていた。
直也は軽く体を動かし、リング上の勝者を見つめている。
まだ、勝者が決まっていないというのに、直也は勝者を決めていた。
『前回優勝者はアイツだ、この3回戦、絶対に勝つ!』
直也は前回優勝者が勝つと言葉にはせず、自分に『渇』をいれてプラス思考になる新たな思いを胸の内で叫んでいた。
3回戦目の前回優勝者は、3ラウンドまで行われ、判定によって勝者になった。
『アイツはかなり体力を消耗しているはず・・・』
いよいよ直也の3回戦目だ。
この試合を勝ち抜けば、あとは前回優勝者との戦いになる。
直也は、前回優勝者との戦いばかりを考えるようになっていた。
優勝は目の前だ、直也には心の高鳴りによって再び『緊張感』がうまれていたが、その半面には賢い『冷静さ』があった。
直也は過去の事は成長していく過程の過去として考えられ『緊張感』と『冷静さ』の『バランス』を整えていたのだろう。
『さてと、どうするか?アイツには隙がなさすぎる、どうする俺・・・』
緊張感の中、直也は3回戦目で戦うに当たり、『最善の策』というものは無くなっていた。
ただ、前回優勝者は体力の消耗が激しく、椅子に座る姿を見て、直也は、この3回戦は体力を消耗させないようにと自身で考えていた。
その姿をコーチは気づいていたのか?わからないが・・・。
『直也、やれるだけやればいいからな、きっとお前なら勝てるよ、この3回戦もな・・・』
このコーチの一行の言葉で、ふと直也から不思議と緊張感が消える。
それは直也が『素の状態』で『素直』になり『目的』や『動機』を持つ事が出来たからかもしれない。

会長から言われた言葉で『重要なのは1試合ずつ全身全霊で向かい合い試合に勝って行く事』だった。
直也は、会長から常に言われていた言葉をトーナメント試合で忘れていた。
自分自身の状態がどういうものであるのか『緊張感』と『冷静さ』の『バランス』が取れている事に気づくと1回だけ深い深呼吸をする。
直也は体育館の天井を見て、スパーリング中の『ヤスシ』の『アッパー』で気を失った事を思い出していた。
前回優勝者の3回戦目リング上では、前回優勝者の手が上げられた時、3回戦目の相手の姿を見つめていると、相手も直也を見つめていた。
3回戦目の相手は、まるで『闘争心』というか何か『オーラ』というものを直也は感じていた。
直也にはない、何かを持っているかのような選手だった。
3回戦目の相手選手は、身長差はほとんどなく、パンチ力のある選手だった。
リング下に試合を終えた選手と交代で、直也は静かに観客達を見回しながらリングに上がっていく。
『直也!直也!直也!・・・』『大島!直也!大島!直也!・・・』
直也の声援が多くなっている、由子の大声援の声も聞こえないくらいになる。
リングコーナーでは、プロテスト前の『ヤスシ』と『コーチ』は、直也に声をかける事はない。
会長は腕を組み、ただ、直也の顔を見つめているだけだった。
直也にアドバイスをするトレーナー役は、この時は誰もいない、直也自身に任せる事にした。
由子の大声援の声も聞こえないくらいになると、由子は今度はタオルを振り回し始める。

そして『カーン!』
3回戦目1ラウンドのゴングが鳴った。
相手選手のフットワークの速さは、直也とほぼ同じ、今までの選手の眼つきとは違った。
直也は、とにかく勝つ事、自分を信じて相手の動きにあわせていくが、直也のフットワークよりも速くなっていく。
『なんだ!コイツ、コイツ強いぞ、それに素速い』
直也は相手の選手から、距離を測りながら心の中で思っていた。
『どうするか、どうする、俺、大島直也!』
直也は、そう焦る事はなく冷静さを保ちながら、身体を揺さぶっていく。
直也は相手の隙を伺いながら、相手よりも先に、ジャブ!
『入った!これならいける』と直也は、身体で感じるものがあった。
見た目ばかりを見ていた直也は、軽いジャブが入る事に、相手の懐へ入ると、ジャブ!そしてすぐに後ろに下がる。
この繰り返しが、1ラウンド続けられ、相手は嫌な顔を見せたが、直也はこのラウンドで鋭い集中力で体力を消耗していた。
『チャンスがきた!』と思った時だった。
『カーン!』
3回戦目、1ラウンドの終了のゴングが鳴った。
チャンスを逃してしまった直也は、息を荒くしていた。
手ごたえを感じた直也は、コーナーの椅子に座ると相手を見ながら笑っているが、体力の消耗に気づく事はなかった。
『勝てる』とそればかり直也は考えていた。
会長やコーチが教えていない事を、この試合で直也は自分自身で学んでいく。
同じジムに通う訓練生達は、直也の戦いに首を振りながら、信じられないと思っていた事だろう。
これが直也の持つ強さでもあり弱さでもあったのだ。
見た目は強く感じるが、落胆した時、直也のもろい刃の様な心は立ち直る事に時間がかかる。
人間はある程度に強さと弱さを持っているが、直也の場合は、完璧さを求める為に、ある程度では済ます事ができないのだ。
やり遂げる為には、どんな事を考え、どういう行動を起こせばいいのか。
直也は、自然と身についている産まれつきの素質の1つだった。

しかし『会長』と『コーチ』だけは、その素質は強いものでもあり、直也自身を壊してしまう事もある素質でもある事に気づいていた。
プライドを持つ事は良いが、そのプライドの使い方によっては、人を傷つけ、自分をも傷つけてしまう事もある。
直也にはプライドだけではなく、他の何かが必要だった。
直也が持つプライドを、コントロールできるのだろうか?
直也優先に動いているが、この3回戦は厳しい戦いになると、『会長やコーチ』は思っていた。
直也に、声をかけようか迷う『会長やコーチ』だった。
しかし、プロテスト前の『ヤスシ』は、リングサイドで直也に耳打ちしていた。
何を伝えているのか、それは『直也』と『ヤスシ』にしかわからない。
何を伝えたのか、それは2ラウンドの結果に出てくるのだ。
『直也!思い通りにやってこい!』
『はい、先輩!』
ジムでは敬遠の中であった『ヤスシ』は、直也の何かに気づいたようで、直也と顔を合わせ笑っていた。
『カーン!』
2ラウンド目のゴングが鳴ると直也がとった行動は『ヤスシ』に言われた通り、相手にパンチを出来る限り打たせるという行動だった。
あえて隙を見せ、ガードを深く、ガードによって、パンチ力を見ると同時に、相手のボクサーとしての癖を見つけていくのだ。
まさかここまでとは・・・。
中学生では恐怖を感じるところだが、直也は相手のパンチを『グローブ』と『腕』でガードをする中で、相手を見つめながら笑っていた。
『来い!来い!来い!来い!来い!・・・』

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