Tokyo Diary

~よく食べて飲んで、旅に出ます~

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南房総の食文化体験、そして想いはめぐる

2009年09月23日 | 


千倉の海を望む高台の上にある「高家(たかべ)神社」は、日本で唯一料理の祖神を祀る神社です。
全国から「料理」にまつわる方々が参拝に訪れるのだとか。

最初は、房総半島の南端にある小さな神社が料理の神様というのも不思議な感じがしましたが、思えば千倉は海の幸も山の幸も豊富な土地。料理の神様が棲みたくなるのもうなずけます。


境内の絵馬には、「料理のコンクールに入賞しますように」「料理上手になれますように」…と、お料理にちなんだ願い事がズラリ。
中には、「将来パン屋さんになれますように」と子供の字で書かれたかわいらしいものもあったりして。


拝殿の左右には、こんな「庖丁塚」もありました。
毎月17日には庖丁供養祭が行われ、調理師など料理に関わる方々が供養に訪れるのだそうです。

拝殿にパンパンと手を合わせて振り返れば、千倉の町の向こうに広がる太平洋がキラキラと輝いていました。

今回は、ここで「庖丁式」という珍しい神事を見せていただくことができました。
これは、平安時代に新しい調理法を儀式として定め、さらに犠牲となった生き物を供養し、霊を鎮めるという思いもこめて完成されたものだそうです。


庖丁とまな箸だけで食材に触れることなく魚をさばく様は、見事の一言。
式はいくつかのパートに分かれているのですが、印象に残ったのは菊の花をまな板の上に供える「献花」という鎮魂の儀式。
目の前の海で魚が獲れてあたりまえのこの地においても、こういう精神が礎にあるのですね。
飽食の時代にあって、「生き物への感謝」の気持ちを忘れてはいけないなぁと感慨深く式を見ていました。


そしてさばかれた魚は、お花の模様に並べられたところで式は完結します。
この庖丁式は春と秋に行われるのですが、春は「梅」を模って花びらの数は5枚、秋は「菊」を模って7枚になるのだそうです。
このきめ細やかさは、さすが花処・千倉らしいこだわりですね。

■高家神社
千葉県南房総市千倉町南朝夷164
<祭礼>
・5月17日 春の例大祭・庖丁式奉納
・10月17日 秋の例大祭・庖丁式奉納
・11月23日 新穀感謝祭・庖丁式奉納
・毎月17日 月次祭・庖丁供養祭

そして、次はお食事です。
今回は、地元でお店や宿を営むご主人達が私達のために郷土料理の「なめろう」や「さんが焼き」を振舞って下さいました。

なめろうは、船の上で食べる漁師料理として生まれたのが始まりですが、内房・外房でそれぞれ素材や食べ方にも違いがあるのだそう。
内房のアジは丸みがあって、なめろうにはアジのみを使うのに対して、外房のアジは細長く、なめろうにはいわしやとびうおなども混ぜるのだそうです。
今回は、サザエ、イカ、アジ、カツオ、イナダなど、地元で獲れる新鮮な魚介類を使った、さまざまな種類のなめろうを食べ比べることが出来ました。

なんと言っても食材のお魚が新鮮!
あっさりしたシンプルなアジのなめろうも良し、サザエの食感と風味が生きたのも良し、珍しいかつおのなめろうも濃厚な味わいがあっておいしかったです。
なめろうを焼いたのが「さんが焼き」なのですが、火を通すとまた違う風味が現れます。

また、アサリやサバ、カツオの汁物が、自然のダシがしっかり出ていてとてもおいしかった!
たくさんのお料理をご用意いただき、温かなおもてなしに大変感激しました。

     


お食事の後は、「鯨の町」和田浦へ。


和田浦は、全国で4ヶ所しかない捕鯨基地のひとつで、6月末~8月の鯨漁の時期には26頭という限られた数の「ツチクジラ」が捕獲されます。


既に漁の季節は終わった後ですが、珍しい鯨の解体場を見せていただきました。
さすが、大きな鯨を扱う場所だけに広々!実際の場は迫力があるでしょうね。

鯨の食文化が息づいた和田浦には、鯨料理のお店もたくさんあるそうです。
今回は、夕暮れの和田浦の浜辺で行われた「月見の会」というイベントで鯨料理をいただきました。
ここでも鯨カツや鯨汁など、たくさんのお料理がいただけました。
鯨もいろんな調理法があるのですね。
和田浦の町が守り続けてきた鯨の食文化の一端が垣間見れるイベントでした。
それにしても和田浦は海がキレイで気持ちいいっ!
のんびりビールを飲みながら浜辺を眺めているだけで癒されます。
前記事のTOP画像も和田浦海水浴場です)

 


盛りだくさんの南房総日帰りの旅でしたが、今回は南房総の食文化を体験し、観光振興として役立てていくための意見交換という趣旨で行われました。
ご一緒させていただいた方々は、さかなクン級に魚通な築地ブロガーの方が勢ぞろいでしたので、なめろうや鯨など食材に関するご意見はおまかせするとして…。

なめろうはおいしかった!という前提の上で、単なる旅好き目線から、あえて率直な感想を述べさせていただくと、郷土料理の食文化を守ることと、観光の目玉にするということは分けて考えた方が良いようにも感じました。
つきじろうさんも記事に書かれているように、やはり魚のおいしい町なら、新鮮な地魚寿司が一番わかりやすくて惹かれるかも。

房総は高速道路の開通やアクアラインの値下げが進んだことで、気軽に遊びに行ける距離感になり、実際日帰り客が増えているのだそうです。
日帰りだと主となる食事はランチになります。また、車でアクセスする人が多いということを考えるとお酒は飲めないので、つまみではなくメインで地元のものを食べたい…そう考えると、やっぱり惹かれるのは「お寿司」かなと思うんですよね。

ただ、「なめろう」自体の認知は高いので、ランチに寄ったお寿司屋さんでメニューがあれば「房総に来たらなめろうだね」って、注文する方は多いのではないかと。(⇒館山では何度か経験あり)。

「なめろうを食べに房総へ」という行動は成立しにくいけど、「新鮮な地魚寿司を食べに房総へ」という行動をする人が、「やっぱり房総に来たからにはなめろうだよね」ってお寿司を食べながらつまむ光景は十分想像できるのではないかと思います。
更に、「ネギトロ」みたいにお寿司のネタになると楽しいですね。

なめろうは手間がかかるため、お寿司屋さんでも必ず食べられるわけではないそうなので、少なくとも魚好きな観光客が寄りそうなお店や、道の駅のレストランでは食べられるようになると良いと思います。
主役を張るのは難しいかもしれないけど、観光客が通うお寿司屋さんなど通して郷土料理「なめろう」の文化を守り育てる目的は十分果たせるのではないかと。

また、若干飛躍しますが、たとえば「伊豆」との印象の比較では…、伊豆は温泉が目的でもあるので宿泊は旅館が多くなり、必然的に食事は和食となるため「和」のイメージが強いんです。
それに対して南房総は、お花畑や館山の赤瓦のイメージがあるからか、「洋」の印象が強い。
館山はそこを目指して南欧イメージを醸成してきたのでしょうけど、「南欧料理を食べに館山に行こう」という動機になるまでには突き抜けていないようにも感じます。

首都圏近郊では、軽井沢や日光、箱根など、洋食文化の高い観光地は数ありますが、「南欧風」は温暖な海辺の町だからこそ実現できる特権。
日本中でも、海の幸、山の幸、お花畑と三拍子揃った土地はそうそう無いし、館山市と南房総市が協同してもっと「洋」を磨いたら、他には無い素敵な観光地になると勝手に妄想してしまいます。
それは、全てを「洋」に振るということではなくて、それを食べるためにわざわざ東京から出掛ける動機になるような突き抜けた「洋」があるということ。

今回の食のプロジェクトでも、山形アル・ケッチァーノの奥田シェフがアドバイザーに入っていらっしゃるそうですが、獲りたての地魚を使ったおいしいイタリアンが食べられたりするとすごく魅力ですねー。
進化したイタリアンなめろうも食べてみたいです。
そうなったらどっぷりワインなので日帰りじゃなくて泊まらないとだなぁ(笑)。

妄想止まらずですが…、ついでにもうひとつ。
ロケーションの素晴らしさを「食」にもフルに生かすとよいと思いました。
南房総では日常当たり前のオーシャンビューと一面の花畑も、東京で暮らす私達にとっては贅沢な環境。「海や花畑を眺めながら…」というロケーションだけでも、行ってみたいという動機につながります。
前の記事にも書きましたが、10月から道の駅で行われるJRびゅうの企画「新米おにぎりと秋刀魚バーベキューのランチがいただける日帰りプラン」もナイスイベント!
ぜひ、南房総の素晴らしい自然を感じながら食事も楽しめるようなイベントを今後も企画していただけたら嬉しいです。

最後になりましたが、お世話になりました南房総市の皆様、地域活性化伝道師の中島さん、そしてお誘いくださったB-1グランプリを運営する愛Bリーグ東京事務局長のぶれいぶさんに深く感謝申し上げます。

また遊びに行きます!

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6 コメント

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Unknown (つきじろう)
2009-09-24 22:01:53
興味シンシンで食欲満点(笑)、じつに楽しいイベント
でしたね!
お天気にも恵まれ、絶好のお出かけ日和で気分最高☆

庖丁式と沿岸捕鯨とで、ご当地の歴史と文化に感嘆。
そして地元を代表する「なめろう&さんが焼き」、まさに
今から新時代のスタート!・・・と感じさせる現場に
立ち会えて感無量ですっ♪
Unknown (Yone)
2009-09-25 12:29:54
海がいいですねえ。
房総って若い頃は何度か行ったんですが、もう十何年も行ってないです。
シーワールドとかマザー牧場とか、どうしても子供向けという印象がありまして・・・
伊豆より道が混まなそうですし、高速道路が整備されて、これから成長する観光地かもしれませんね。
ありがとうございました (みずみず)
2009-09-25 13:22:27
先日は南房総まで足を運んでいただきましてありがとうございました。現地で対応していた者の一人です。

ブロガーの皆様から貴重なアドバイスをたくさんいただきましたので、さらにパワーアップした「なめろう」「さんが焼き」料理を地元の方々と一緒に仕上げていきたいと思います。

特に洋食テイストの漁師メシ、ぜひ開発していきたいです。実はすでに「なめろうとパン」で食事に出されている旅館もあるんです。南房総地域に深く入り込むと、まだまだ新しい発見があると思います。

また、機会がありましたらどうぞ足をお運びください。お待ちしております。
☆つきじろうさん (romy)
2009-09-25 22:21:08
ほんと、天気の良い日の海は最高でしたね!

食文化の奥深さを学んだ旅でした。
地域に根ざした郷土料理も守りつつ、「なめろう&さんが焼き」の次なる進化も楽しみですね♪
☆Yoneさん (romy)
2009-09-25 22:41:22
房総はホントに近くて行きやすくなってますよー。
私も今回いろいろ調べて初めて知ったのですが、房総は温泉や美術館など、大人が楽しめるスポットもいろいろあるようです。
ぜひ、10年ぶりに行ってみてください☆
☆みずみずさん (romy)
2009-09-25 22:50:21
こちらこそ、庖丁式や試食会など、私達のためにご用意いただき、本当にありがとうございました。
南房総にはまだまだ知らないことがいっぱいで、とても興味津々です。

「なめろうとパン」で、さらに妄想が膨らんでしまったのですが…、さんが焼きでハンバーガーを作って、ご当地バーガーとして道の駅で売り出すのも良いかも!
鄙の里の人気のハンバーガー屋さんで扱ってくれるとなお良いですね(笑)。

洋テイストの漁師メシも楽しみにしています!
また遊びに行きます☆

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