ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

スクロヴァチェフスキ&読響/ブルックナー:交響曲第2番ほか

2008-04-06 | コンサートの感想
2008年度最初の読響マチネーを聴いてきました。

<日時>2008年4月5日(土) 午後2時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■スクロヴァチェフスキ : 左手のためのピアノ協奏曲「コンチェルト・ニコロ」
■ブルックナー : 交響曲第2番ハ短調
<演奏>
■ピアノ:ゲリー・グラフマン
■指 揮:スタニスラフ・ スクロヴァチェフスキ
■管弦楽:読売日本交響楽団

前半は、マエストロ自作のピアノ協奏曲。
この日のソリスト、ゲイリー・グラフマンのために5年前に書かれた作品です。
グラフマンといえば、私はセルと組んだプロコフィエフのコンチェルトが今も忘れられません。それは本当に素晴らしい演奏だった・・・。
しかし、グラフマンは51歳の時に右手の薬指を故障したため、その後通常のレパートリーを弾くことができなくなります。
そんな彼のために、親友スクロヴァチェフスキが左手だけの作品として書いたのが、この「コンチェルト ニコロ」。
このニコロは、ニコロ・パガニーニのことで、有名なカプリス第24番のテーマが曲全体のモチーフとして使われています。
曲は4楽章から成り立っていますが、決して難解な作品ではありません。
音楽の描写が自然で、目をつぶって聴いていると、いろいろな情景が思い浮かびます。
森、海、山、朝、真夜中、ふくろう、鳥の声・・・。
素敵な作品だと思いました。

後半は、ブルックナーの2番。
冒頭のブルックナー開始から、すでに「霧のように、自然に・・・」始まるだけではなく、しっかりリズムを感じさせてくれるところがスクロヴァ流。
それぞれの主題の表情も明快に描かれていて、何よりも見透しがすこぶるいいので、いつものことながら、安心してブルックナーの音楽を堪能できます。
ところで、昨日私は演奏を聴きながら、「なぜ、こんなに良い曲なのに、ウィーンで理解されなかったんだろう」と考えていました。
私たちは、その後の作品、とくに7番以降の偉大な交響曲をすでに知っています。その圧倒的なスケール感、時間的には確かに長いかもしれないけど、少し立ち止まってみれば曲のあちらこちらで発見できる可憐な美しさ、聴き終わった後の何物にも代えがたい充実感を知っているのです。
だから、この2番のような(彼にとっては)比較的初期の作品を聴いても、後期の作品の成功体験を通して、その魅力を十分感じることができるのかもしれません。
この曲だけを注釈なしに聴かされたら、確かに戸惑ったかも。

さて、この日の演奏に戻します。
第2楽章の敬虔な美しさは、この日の白眉でした。
それにしても、この日の読響の弦は、本当に綺麗だったなぁ。
最後のソロヴァイオリン(藤原浜雄さん)とフルートのデュエットは、今でもはっきりと思い出すことができます。
第3楽章から終楽章にかけては、そのテンポの素晴らしさと見透しのよさが光っていました。
圧倒的な迫力で迫ってくるのに、絶対音が団子にならないのです。響きが決して無機的にならないのも大きな特徴です。
こんなブルックナーを聴かせてくれる指揮者は、現在数えるほどしかいないでしょう。
この大曲を、この日暗譜で指揮したスクロヴァさん。
とても85歳とは思えないお元気さですが、一日でも長く指揮台に登ってくれることを願うばかりです。

P.S
お元気といえば、昨年退団された菅原淳さんが、この日ティンパニを叩いていらっしゃいました。
まさに扇の要といった風情で、その存在感はまったく以前のままでした。
なにやら、とても懐かしく感じた次第です。
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2 コメント

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第2番 実演に接してみたい! (ナオG)
2008-04-07 12:29:30
こんにちは。
ぼくもブルックナーの初期シンフォニー大好きで、第2番は第1・2楽章が傑作だと思っています。関西に住んでいる頃は、朝比奈さんをよく聴きましたが、第2番は実演に接したことがありません。スクロウ゛ァチェフスキとは羨ましいですね。アルテ・ノウ゛ァのCDはよく練られた美しい演奏で、第2楽章のカットもないので、今でも時々取り出して聴くことがあります。
>ナオGさま (romani)
2008-04-08 06:17:16
おはようございます。

ブルックナーの2番って、良い曲なのになかなか実演で聴けないですよね。

>第2番は第1・2楽章が傑作だと思っています。
同感です。第1楽章冒頭の主題がまず魅力的で、7番の雰囲気を感じさせてくれます。

スクロヴァチェフスキのブルックナーは、見通しがよくって、響きそのものが温かいので、私も大好きです。
来年3月には、同じ読響マチネで、ブルックナーの1番が聴けるので、今から楽しみです。
ありがとうございました。

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