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新国立劇場 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

2005-09-24 | オペラの感想
昨日、新国立劇場のマイスタージンガーを観てきました。

<日時>2005年9月23日(金)
<場所>新国立劇場
<曲目>ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』
<演奏、歌手>
ザックス : ペーター・ウェーバー
ポーグナー : ハンス・チャマー
ヴァルター : リチャード・ブルナー
ベックメッサー : マーティン・ガントナー
ダーヴィット : 吉田浩之
エーファ : アニヤ・ハルテロス
マグダレーネ : 小山由美
夜警 : 志村文彦

シュテファン・アントン・レック 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
新国立劇場合唱団

<演出> ベルント・ヴァイクル


ワーグナーのオペラを観るのは、今回のマイスタージンガーで3回目です。
バレンボイム&ベルリン国立歌劇場の「ワルキューレ」、ティーレマン&ベルリンドイツオペラの「タンホイザー」、そして今回の新国立劇場の「マイスタージンガー」ということになります。
結論から言います。素晴らしかった。ほんと素晴らしかった。
一部で酷評されていたので若干の不安を感じながら新国立劇場へ行ったのですが、まったく長さを感じさせない素晴らしいできばえ。これだけの舞台を見せてもらえば私は大変満足です。

第1幕の有名な前奏曲が少し速めのテンポで始まりました。またこの曲の最後は少しテンポを落として壮大な雰囲気にすることが多いのですが、逆に少しテンポをあげてエンディング。その効果もあって、次の礼拝堂のシーンにとてもスムーズに繫がっていました。
第1幕で感心したのは、ダーヴィット役の吉田さん。この人上手いですねぇ。ヴァルターに歌の規則を教えるところなんか本当に見事。また、ポーグナー役のハンス・チャマーも深いバスで、マイスターのまたエーファの父親としての威厳を感じさせてくれました。

第2幕は、まず、ザックスのモノローグがとても素晴らしかった。また今回ピットに入っている東フィルの音がとても柔らかくて、ぴったりザックスに寄り添っていました。その後のベックペッサーとザックスの掛け合いは、お腹をかかえて笑わせてくれます。このときベックペッサーの邪魔をするザックスの「靴屋の歌」がとても素敵。私の大好きな歌です。それから、ベックメッサー役のガントナーは本当に芸達者ですね。歌も上手いけどオペラグラスからみる表情がもう素晴らしい。2幕終了直前の大騒動で、ひとり傷だらけになってとぼとぼ歩く姿なんか、笑いの中に涙ありみたいな感じで感銘深かったです。

第3幕は、神秘感に満たされた素晴らしい前奏曲で始まりました。先にも書きましたが、昨日の東京フィルの弦は本当に素敵。その後はなんと言ってもザックスです。レヴァイン指揮のメトで演じたモリスも素晴らしいザックスでしたが、今回のウェーバーのザックスも実に良かった。
ヨハネ祭前日のことを回想するシーン、ヴァルターに真摯にアドバイスするシーン、いずれも感動的な歌唱でしたが、その後エーファが登場ししばらくやり取りした後一瞬珍しく激昂する場面がでてきますが、その直後トリスタンのフレーズが現われ「私はマルケ王じゃない(=いくら愛していても、イゾルデのような年の離れた妻はもらわないの意)」といいながら、自分の気持ちに懸命に区切りをつけようとするところに、私はもっとも感動しました。
最近、歳のせいかめっきり涙腺が弱くなってしまい、第3幕の途中ザックスの独白あたりからずっと目が潤んできて、ほんとひと苦労。だめですねぇ。

そのほかの歌手では、まずエーファ役のハルテロス。彼女は美人で持ち前の強い声を活かし一途な女性を演じてくれました。ただ私のエーファ像からいうと、もう少し柔らかで透明感のある声の歌手でも良かったかなぁ。また、急にピンチヒッターで登場したヴァルターも、まずは無難な歌を聴かせてくれました。(このヴァルターでは、カラヤンの全曲盤で歌っているルネ・コロがあまりに素晴らしかったので、私にとってちょっと別の意味でトラウマになっています)
それから、マグダレーナ役の小山さんも常に安定した歌唱でしたし、登場場面は少なかったけど、夜警役の志村さんが素晴らしくいい声だったのでびっくりしました。

ということで、予想以上に水準の高い舞台で、大変満足した一日でした。
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21 コメント

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Unknown (ご~けん)
2005-09-24 19:30:23
romaniさん、先日はご訪問ありがとうございました。マイスター・ジンガーは私も29日のバイエルンに行きます。本日はメトの映像で予習をしていました。

新国立は素晴らしかったようですね、ヴァイクルの演出ですか・・、ご本人にも登場してほしかったのではないでしょうか。それと吉田浩之さん、この方は本当に惚れぼれする歌声を持っています。小山由美さんも飯守さんのローエングリンで聴きましたが、こんな方が日本にもいるんだと驚きました。

さあ、残る第3幕の予習が終わったら、本番の公演に胸を膨らませたいと思います。
ご訪問いただきありがとうございます (romani)
2005-09-24 21:30:52
ごーけん様

こんばんは。ご訪問ありがとうございます。

新国立のマイスタージンガー、素晴らしかったです。

>ヴァイクルの演出ですか・・、ご本人にも登場してほしかったのではないでしょうか

まさにそう思いました。吉田さん、小山さんはじめ日本人の歌手もみんな頑張ってました。それとコーラスもとても良かったですよ。

29日のミュンヘンオペラ楽しみですね。(私も出張でなければ行きたかったのですが・・・)

素敵な舞台であることをお祈りしております。

本文と関係ないのですが (よし)
2005-09-25 09:59:25
コメントありがとうございました。

ニュルンベルグとはぜんぜん関係ありませんが、私が毎日見ているblogをご紹介します。



http://torao.tblog.jp/



素敵なブログですね! (romani)
2005-09-25 11:27:17
よしさん

おはようございます。

このブログは良いですね。これから毎日見ます。

ありがとうございました。
素晴らしさが伝わります (stonez)
2005-09-25 11:45:10
こんにちは、素晴らしいオペラの様子がよく伝わってきます。圧倒的な声量をもった歌手の歌声、しぐさ、表情、そして豪華なセット!想像しただけでも鳥肌ものですね。

私はワーグナーものは一部の序曲しか聴いていないので(しかも録音のみです)、ワーグナーの本当の面白さにはまだ触れていないのですが、ぜひ見に行ってみたいと思わずにはいられませんね。
素敵な舞台でした (romani)
2005-09-25 18:19:36
stonezさま

いつもありがとうございます。

予想以上の素晴らしい舞台で、とてもラッキーでした。オペラはある意味で「非日常」的なところが気に入っています。

その舞台に立ち会っている間だけは、現実の世界と完全に切り離せるので、とても貴重な瞬間に思えるんです。

是非stonezさんにもワーグナーのオペラを一度観ていただきたいと思います。きっとはまりますよ・・・。
トリスタン (josquin)
2005-09-25 21:58:23
romaniさんTBありがとうございます。



第3幕のトリスタンのフレーズが流れるところ、私も涙腺が決壊寸前でした。なんとかこらえることが出来ましたが・・・(笑)。
第3幕良かったですよね。 (romani)
2005-09-25 22:51:50
josquinさま

こんばんは。

第3幕良かったですよね。記事にも書きましたが、ザックスのモノローグ以降はずっとうるうるで、何か自分と置き換えて観ていました。

特にトリスタンのテーマは印象的でしたね。

ありがとうございました。
Unknown (千葉さとし)
2005-09-26 15:39:05
romaniさま

こんにちは。コメント&TBありがとうございます。

千葉もこの9/23の新国立劇場公演を聴きました。

その後9/25にはバイエルンも神奈川県民で聴くという、

ほとんど荒行のような(笑)日々をすごしました・・・

新国立の公演は、非常に人間的なハンス・ザックスを創りあげていてとても好感が持てました。歌合戦から先、とめどなくザックス賛美へとつながってしまう作品の中、ひとりの人間として過分な賞賛に迷い、戸惑い、受け入れる姿が素晴らしいと思います。

自分のブログでももう少しまとめてから思うところを書きたいと思います。荒行の反動でしょうか、取り留めなくてすみません。
ザックスとエーファのやり取り (神木)
2005-09-26 22:14:16
romaniさん

TBありがとうございました。

私も、ザックスの「マルケ王ではない」と言うところはかなり良かったと思います。

その少し前のエーファとのやり取りからうまく続いたのではないでしょうか。

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