インド洋の島嶼国モルディブが14日までに、中国と無償軍事援助に関する協定を締結したと発表しました。中東からアジアを結ぶ海上交通路(シーレーン)の要衝であるモルディブの親中化が進んでいます。

《詳細》

モルディブが中国と結んだ無償軍事援助の内容については、詳細は明かされていないものの、殺傷能力のない装備品の供与や訓練での協力などが盛り込まれていると見られています。

中国軍の代表団は今月4日からモルディブ、スリランカ、ネパールを訪問しており、その目的は中国と各国による二国間の防衛協力強化でした。今回の協定は一連の流れのなかで締結されたものです。

中国とインドはモルディブをめぐり、これまでその影響力を競い合ってきました。両国がモルディブを重要視するのは、モルディブがインドの南、スリランカの西に位置し、その地政学上、アジアと中東を結ぶ海上輸送の要衝、および軍事的に重要な拠点となるからです。そのためモルディブをめぐる勢力争いは、間接的に日本にも影響を及ぼします。

近年のモルディブ大統領は親中派と親インド派が立て続けに入れ替わっており、国が揺れ動いている状況でした。現大統領のムイズ氏は昨年11月、強烈な親中路線を掲げて当選。今年1月には初の公式訪問先に中国を選び、親中姿勢を内外に示しました。大統領の初の公式訪問先はインドとするのが慣例であったため、その親中ぶりは大きな話題となりました。

さらにムイズ氏はモルディブに駐留するインド軍の撤収を要請。これまで80人超のインド軍関係者が駐留し、レーダーやヘリコプター、航空機の運用・維持や周辺海域の巡回を行ってきましたが、すでに一部兵士の帰国が始まったと報じられています。この方針をめぐっては、中国がモルディブのインフラなどへの巨額融資の条件としてインド軍撤退を要求した可能性が指摘されています。続きは2ページ目へ(有料記事)