六花の舞。

「六花の舞」、Ⅰ・Ⅱともに完結しました。最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございましたm(_ _)m

ダイヤモンド・エッジ<第二部>-【62】-

2017年04月21日 | 六花の舞Ⅱ.
「浅田真央♥リカちゃん人形セット(記念フレーム切手セット付)」


 なんですか、これ!?めっちゃ欲しいんですけど!!

 というか、えるたそ。は予約してるね。絶対してるね……それも二人。ひとりは完全潔癖保存用、もうひとりは一人遊び用とか、きっとそんな感じ(笑)


 Lたん:「何か文句ありますか?」

 ―-いえ、ありません。。。



 それにしても引退特需かあ。

 もちろん、あれだけ凄い選手だったのですから当然と思うのですけど、羽生選手が引退する時のことを思ってみるとさらに怖いかもしれないなあ、なんて(^^;)

 というかわたし、羽生選手の真央ちゃん引退に対するコメントに一番感動しました



 >>「トリプルアクセルも、複雑なステップも、伸びやかなスケーティングも浅田選手にしかできない演技をどんな状況でも、どんなときでも挑戦する姿を見てこられて幸せでした。フィギュアスケートが大好きな浅田選手のスケートが大好きです。これからもずっと私の憧れの人です。たくさんの夢をありがとうございました。また会えることを楽しみにしています。本当にお疲れ様でした」

 他に、「(引退を知って)心の底から落ち込んで一日中寝られない状態だった。僕にとっては、挑戦の象徴のように感じている。ずっと憧れで、トリプルアクセルを跳べるようになったのも浅田選手のおかげ。これからもずっと自分がジャンプを跳ぶたびに浅田選手が心の中で生きていると思う」、「僕にとっては挑戦の象徴。どれだけ難しいスピン、ステップ、ジャンプをやっていても難しさを感じさせないところが素晴らしく、憧れている」……羽生選手、ほんとに真央ちゃんのことが大好きなんだなって思いました♪

 そんでもって、真央ちゃんの「理想の結婚相手」として某アンケートによると、1位がたかーしだいすけさん、2位がはにうゆづる選手みたいですね(笑)そして第3位が日ハムのおーたにしょーへいさんなんだとか。

 いえ、自分的にはにう選手の理想の結婚相手としても真央ちゃんって1位か2位くらいに来る気がするんですけど……やっぱりなんていうか、すごく似てる気がするんですよね。フィギュアスケートに打ち込む姿勢とか、人としての礼儀正しさとか気配りや気遣いがすごく出来る優しいところとか……「ふたりとも、結婚しちゃえ!」っていうイラストとか見たことあるんですけど、ほんと、わたしも最高にお似合いのカップルだなって思います♪(^^)

 とかいう、はにう選手・真央ちゃん双方の熱烈なファンの方から石投げられること書いてるのがなんでかっていうと、いやあ、もう話のほうも終わりに近くって、他に書くことなかったりしてねえ

 今回、↓の文章も、わたし、実はイマイチ気に入ってませんで。。。

 あと、四回転トゥに入る前のステップの書き方とかこれでいいのかどうかもよくわかってないという

 なんにしても、主人公のオリンピックにおける演技なんですから、ここが一番盛り上がらなくちゃいけないのに、割とあっさりした感じで通りすぎていってます(^^;)

 というか、わたし今ちょっと他に夢中になって書いてる小説があって、なんかこっちの文章読み返してる時間があったら早くそっちの続きを書きたかったりもするという、何やら微妙な状態に。。。

 いえ、そんな大した話でもないんですけど、この連載、やっぱりあんまり長すぎました

 なので、それが面白いとか面白くないとか関係なく、一回書いたものを読み返してするよりも、新しく文章をダーッと書いていったほうが、なんか脳が喜んでる感じなんですよ(^^;)

 もちろん、次が金愛榮の演技なので、そこで決着がついてあとは後日談があって終わるまでにはあと本当にもう少しなんですけど……七十何回かくらいで終わると思ってるので、まあ地道にちまちま☆更新していこうと思ってますm(_ _)m

 それではまた~!!


 P.S.↑の文章は、きのうの国別対抗戦見る前に書いたものなんですけど……羽生選手がまさかの Σ(゚ロ゚;)……ということになって、鷲に心臓を掴まれた方は多かったのではないでしょうか。そして今日も頭上高く鷲が旋回してるわけですけど(ファンの方の心臓を狙って・笑)、はにう選手が一番落ち込んでそうですよね。。。そもそも、殿下のあの曲ってもともとが滑りずらい曲だと思うので、それに四回転ループと4S-3Tをのせるとか、その試み自体が曲名通りクレイジーすぎる(笑)来季はいよいよオリンピックシーズンなので、もっと曲の流れに沿って跳べる感じの曲選びをと願ってますワールドの時以上の演技を求められるとか……聞いてるだけでほんと、心臓痛い三週間くらい前に一度ピークが来てるので、それを同じように持って来るっていうのは難しいことだと思うし、そんなに気負わなくていいんだよ、楽しんでいこうよ!って思う方のほうがきっと絶対多いはずですよね(もちろん気持ちわかるけど)。。。そして宇野魔人は今回も落ち着いてました!!いえ、今シーズンの後半はほんと、試合がコンスタントに詰まってる状態だったと思うので……何故そう毎回いいパフォーマンスが出来るのかと、そっちのほうがおばはん謎よ!とか思ってしまいましたなんにしても今回も百点越えおめでとうございます、しょーま先生!!あと、ネイサン魔人は……足の調子が悪いということで、構成を落としたっていうことだったんですけど、やっぱりこう調子が悪いのかな??って感じさせるような演技だった気がしますそうじゃなかったら、もっとイケたんだけどね、というような。そしてあの眼鏡は……チェンくんの髪型に似合いすぎだから!!(爆☆)そしてこんなところも楽しい国別対抗戦ですが、クリス・リード&カナちゃんカップルの演技も素晴らしく、新葉ちゃん&まいたんもノーミスの最高の演技が見られて本当に良かったです♪(^^)でもほんと、楽しい反面、選手全員がいつもずっと応援して楽しく盛り上げなきゃなんないって……たまにちょっとつらくなったりしないかなって思ったりもしますソチ五輪の時はほんと……個人競技の前にこれが来てて、一体何考えてんのかなって思ったものでした。ほんと、そっちが終わってから精神的にもその他色んな意味で解放された状態で楽しむべきものですよね、国別対抗戦って。。。ピョンチャン五輪ではそういうことが絶対ないように願ってます。なんにしても、今日は久しぶりにドリフを見る気分で8時にテレビの前に全員集合でしょうか♪(^^)



     ダイヤモンド・エッジ<第二部>-【62】-

 ザグレブオリンピック、女子シングルフリースケーティング、最終グループ第五滑走者は灰島蘭だった。

 同じ東洋人というせいもあってか、蘭と最終滑走者の金愛榮とは何かと比べられがちだが、フリースケーティングの順位がドローで決まって以降は、ますます報道でその傾向が強まっていた。ふたりのジャンプエレメンツを比べたり、これまでの戦績から見てどちらが優位かということを論じあったり――韓国以外のメディアでは灰島蘭が優位と見る報道が多かったとはいえ、それでもやはりそれは「彼女が四回転トゥループを成功させ、他のエレメンツもノーミスで決めた場合に限る」という条件付きであり、四回転を失敗し、そこで崩れたとすれば金愛榮が灰島蘭の上を行くだろう……というのが、多くのマスメディアが伝えたふたりの対決についての予想である。

 蘭もまた、最終滑走である金愛榮のことを強く意識していたとはいえ、それはフリーへと向かう前段階でのことだった。

 リンクサイドに立った蘭は、すでにいつもの精神集中の段階に入っており、イヤホンを外した瞬間にキャシーの演技に対する大歓声が耳をつんざいても――動揺することはなかった。それは間違いなくノーミスだった選手に対する大きな声援であり拍手でもあったわけだが、少なくともそれが金愛榮に対するものでなかっただけでも――蘭にとってはかなりのところマシだったといえる。

(そっか。恭一郎の話じゃあ、わたしが前にいることのほうが金愛榮にはプレッシャーだろうっていうことだったけど、本当にそうなのかもしれない)

 本当にそうなのかどうかというのは蘭には確かめようがないにしても、この時の蘭にとって重要だったのは何より、そんなふうにいいほうに自分の精神を切り替えられたということだったろう。いわゆる「コップに水が半分しかないと思うのか、それともまだ半分も水があると思うのか」というのにも似た精神状態の違いである。

「蘭、ジャンプの調子はいいみたいだな。四回転は失敗すると体力の消耗が激しいから、本番の一発でビシッと決めろ。わかったな!?」

「うん。わかってるってば!四回転が成功したあと、気が緩んで次の三回転-三回転をミスするっていうのもなし。これまで、どっちかでミスするってことあったからね……気を引き締めていく」

「ああ。あと、プログラムの休みどころと呼吸法を忘れるなよ」

「うん。休むなんて言っても、もともと休むところなんかほとんどないプログラムだけどね。でもここで少し抜いとかないと、次のジャンプに向かうのに気を溜められないとか、そういうのがあるから……呼吸法のほうも今じゃ失敗して混乱した時にも無意識に出来るようになってきたし。塩もなめたしね」

「そうか」

 蘭に気持ちの面で若干余裕があるような気がして、恭一郎は少しだけほっとする。

 何分恭一郎はリュドミラの演技もキャシーの演技も見ているため、実をいうと気が気でない部分があったのだが、コーチとしてそんなことを選手に気取られるようなことだけは絶対にない。ただ、五年前に蘭のことを選手として、また一人の娘として引き受けることに決めてから……随分長い時が流れたようにこの時感じていた。

 そして、その五年間の積み上げの集大成としての演技が、蘭にとってのこの<白鳥の湖>である。もし、オリンピックで四回転トゥループを決めることが出来たとすれば、オリンピックで初めて四回転を跳んだ女子選手として、蘭の名前はギネスブックにのることになるだろう。いや、それより何より恭一郎はそうした記録的なことよりも、蘭にこのザグレブオリンピックで悔いのない演技をさせたかった。ドバイオリンピックの時のようなことだけは、絶対に起きて欲しくない。

 もちろん、あの時には深山智子が亡くなるという例外的な事態があったわけだが、オリンピックの最終グループでは、いわゆる「オリンピックの魔」に選手が呑まれる、足を掬われるといった事態が一度か二度は起きるものだ。けれど、エリカ・バーミンガム、リュドミラ・ペトロワ、キャシー・アーヴィングと、ほぼノーミスの素晴らしい演技が続いているだけに……オリンピックの魔物とやらが蘭に照準を合わせて襲いかかるのではないかと、そんなことが恭一郎には心配で、気が気ではないのだった。

「蘭、俺はおまえに言うことはもう何もない。納豆のネバネバ話も、すっかり耳にタコといったところだろうしな。あとはもう、おまえの一ファンとして演技のほうを最後まで見守るしかないといったところだ」

「えっ。恭一郎ってわたしのファンだっけ?」

 蘭はスポーツドリンクとアラン特製の果汁ジュースを飲むと、この時少し笑った。

「僕だって蘭のファンだったよ、ずっと」

 そう言って恭一郎の隣でアランもまた優しく微笑む。

「へー。それは知らなかった……」

 ここで、「ラン・カイジマ!」と名前をコールされ、蘭は「じゃあ行くね!」という気軽さで、リンクの中央へ飛び出していく。

「精神的に、いい意味で抜けてるみたいで良かったね。もしかしたら蘭、このまま行くかもしれないよ」

「だといいんだが……」

 恭一郎が何故心配そうに眉根を寄せているのか、その理由はアランにもよくわかっている。いわゆる「オリンピックに棲む魔物」とやらが蘭に襲いかかったらと、そんなことが心配なのだろう。

 これがもし試合時でなかったとしたら、アランも『すっかり父親みたいな顔してるね、恭一郎。これで蘭が光の元にお嫁さんに行ったりしたら大変だ』とでもからかっていたことだろう。そしてアランにしても、やはり何かが少し不思議だった。四年前のドバイオリンピックの時には、一体誰が蘭と光が恋人同士になるなどと想像できただろうか?そう考えると、人生や運命とはなんと不思議なものだろうという気がしてしまうのだ。

(そして四年前も一年前も、光がオリンピックで金メダルを取ることになるだなんて、僕は想像していなかった。そして蘭は金メダルにもっとも近い、金メダルにもっとも相応しい選手と目されているけれど……オリンピックでの金メダルを最有力視されていながら逃した選手などたくさんいるということが、恭一郎には漠然と不安に感じられるんだろう)

 けれど、恭一郎以上に一歩引いたところから選手を眺められるアランは、客観的に見て今の蘭にはすべてのパーツが揃ったというような印象しか持つことが出来なかった。時や運や実力――それらすべてが揃い、蘭に味方しているのではないかという気さえした。

(頑張ってくれ、蘭……!恭一郎や光や、他のみんなのためにも……!!)

 蘭はこの時、観客席の声援に応えるように手を振ってみせてから、氷の感触を確かめつつ一周し、ゆっくりスターティングポジションに着いた。最初のポーズを取り、音楽のかかる瞬間をじっと待つ。やがて誰もが聴いたことのある耳馴染み深いあの旋律が流れて来、蘭は手の甲と甲をつけていたポーズをほどく。一度ターンしてアラベスクの姿勢をとり、見事なポール・ド・ブラ(腕の動き)によって白鳥の震えとおののきを表現していく。ツィズルやトゥステップによって氷上を移動すると、そこからぐんと一気に加速していき、蘭は最初のジャンプである四回転トウループへ向かう。

(見てて、智子さん……!!)

 ドバイオリンピック後、フリーで崩れた自分を見て、天国の深山智子が誰より悲しんだのではないかと、蘭はそう思っていた。『自分のせいであんなことになって可哀想に……』と彼女が自分に語る夢まで見たこともある。けれど、そんな後悔も今日この日で終わる――いや、絶対に終えてみせるという、そんな強い気持ちで蘭は四回転トウループへ果敢に挑んでいった。

 スリーターン、モホーク、スリーターンと入れてから……四回転トウループ!!!

(完璧に決まった!!)と、蘭が思うと同時に、耳元でバサリという鳥の羽音に似た音がする。着地のランディングに乗った蘭の視界に、頭につけていたオデットの羽飾りがリンクに落ちているのが見える。おそらくこれで、間違いなく減点1点だ。

 けれど、蘭はそんなことに集中を乱されることなく、演技を続けていった。というより、四回転の成功によって気が抜けてしまったことにより、次の三回転-三回転が決まらないことのほうをこそ蘭は恐れた。(スピードが落ちて、三回転が二回転になるっていうのもなし!!)そう強く念じつつ、蘭は三回転ルッツ-三回転トゥループも見事成功させる。続く三回転フリップも、エッジエラーを取られないためには蘭にとって気の抜けないジャンプだ。

 ここまで、一回ジャンプが決まるごと、観客席は拍手と歓声に沸いていた。バタフライからのフライングキャメルスピンを回ったのち、ここから怒涛の四連続ジャンプ。演技の繋ぎとして白鳥の優雅な羽ばたきを入れつつ、2アクセル-3トウループ、トリプルサルコウ、三回転ルッツ-2ループ-2ループ、トリプルループ……蘭がひとつジャンプを決めるごと、観客席は熱狂で溢れ返っていく。

 さらに、コンビネーションスピンとレイバックスピンのあとの、ステップシークエンスとコレオシークエンスは、まさに圧巻だった。演じられるのは、王子の裏切りを知ったあとのオデットの嘆きと赦し、そして絶望である。蘭は最後、瀕死の白鳥として非業の死を遂げる。

(やったよ、智子さん……!!)

 五十以上ものフットワークを繋げたステップシークエンスで蘭は、毎回死にそうになる。だが、そのつらさや苦しさが蘭の演技をよりリアルで深みのあるものにさせていたに違いない。そして、嗚呼、本当にもう限界だと感じるところで、蘭の演技は毎回幕を閉じるのである。

 この時、蘭はすべてやり切ったという達成感に包まれながら、四回転を着氷した時に落とした、頭の羽飾りを拾いに戻った。普通に考えたとすれば、この時の-1点の減点がどう響くかとその点を誰もが心配したに違いない。だが、蘭の考え方はむしろ逆だった。そのくらいの点差で敗れるくらいなら、最初から自分の準備不足だったのだとしか思えない。

 そしてそんなことよりも、さらに大切なことが蘭にはあった。この時、白い頭の羽飾りを拾い上げたその瞬間――奇跡が起きたのだ。時間にしておそらくそれは、十秒にも満たない瞬間のことだったろう。(ぱしゃっ!!)という白鳥が湖に着水する音が耳元でしたと感じるのと同時……ずっと失われていた記憶の破片を蘭は取り戻していた。

 あれは一体いつのことだったろう、おそらく蘭が七歳とか八歳とか、そのくらいの頃のことだ。智子に白鳥が飛来して来るという湖へ連れていってもらったことがある。ところが、まだ白鳥が一羽もやって来ておらず、蘭ががっかりしていると、雲ひとつない青空の向こうから一羽だけ白鳥が飛来してきたのだ。すると、次の瞬間には蘭と智子の目の前で「ぱしゃっ!!」という音とともに着水した。そしてその白鳥は着水した時の勢いそのままに、すい~っと湖の奥のほうまで進んでいった。

 この時の野生の白鳥から感じた、いわく言い難い神聖さのことと、そのあと智子と手を繋いで帰った時の彼女の手のぬくもりのことが思いだされ、蘭は瞬時にして胸が熱くなった。だが、どうにか涙のほうは堪え、白鳥の髪飾りを高く翳げ、観客席に向かい何度もお辞儀を繰り返す。

 そのあとのリンクの状態はといえば、宙を花束やぬいぐるみが乱れ舞い、口笛がいつまでたっても鳴りやまぬほどだった。スタンディングオべーションとウェーブが起きたのちに、あちこちの座席からどっと笑い声が沸き起こる。

 蘭はリンクゲートに戻って来る途中、腕や肩をぬいぐるみが掠め飛んできて笑ってしまったが、あえて何も拾わずにリンクサイドまで真っ直ぐ戻って来ていた。

「よくやったぞ、蘭……!!」

 アランから受けとったエッジカバーを蘭がブレードに嵌めるなり、恭一郎が蘭のことをしっかり抱きとめる。

「く、苦しいよ、恭一郎っ。こっちはまだ息が上がってるんだからさ、ますます呼吸困難になるってば……」

 蘭はアランからジャパンチームのジャージを受け取って着ると、顔や首から吹きだしてくる汗をタオルで拭いた。そしてそうしながらアランと恭一郎に挟まれる形でキス&クライへ向かう。

「ふたりとも、変だよ。そんな、ぎゅうぎゅうに締めるみたいにして……演技内容はグランプリファイナルの時とそんなに変わりなかったでしょ?」

「まあ、そう言うな。というより蘭、これがオリンピックだっておまえ本当にわかってるか!?」

「うん……でも、演技が終わった途端、今この瞬間を智子さんに見てもらいたかったなあって思ったら……なんかね、こう、うまく言葉じゃ言えない気持ちになってきちゃって……」

 そう言った途端、蘭は突然ぽろっと涙が出てきて、自分でも困った。

「あれ?なんだろ、これ……」

 この時、タオルで目頭を覆った蘭のことを恭一郎が自分のほうに引き寄せていると、蘭の得点が出た。


 技術点=81.33、演技構成点=76.35、ディダクション=-1、合計=156.68、ショートの得点=78.99、総合得点=235.67ポイント。


 観客席のほうではあまりの高得点に、大きなどよめきまで沸き起こっている。口笛があちこちから吹き渡り、再び歓声と拍手の嵐となる。蘭は自分の高得点に驚くのと同時、目頭の涙を押さえると、画面が切り替わるのを待った。というのも、二位や三位の選手が誰で、どのくらい点差がついているのかと、そんなことが気になったからだ。

 そして二位がリュドミラ、三位がキャシーであることを確認すると、ある程度自分の予想通りだと思った。

(あとは最終滑走の金愛榮か……リンクサイドに戻ってくる時にちらっと見たら、すごく落ち着いて見えたっけ。まあ、金愛榮はいつも無表情で顔の表情が変わらないから、本当はどうなのかって全然わかんないんだけど……)

 蘭はこのまま金愛榮の演技を見守りたい気持ちがありつつも、当然そういうわけにもいかず、アランに促されてキス&クライを下りた。自分で思っていた以上に体が疲労感に包まれており、三段ある階段のところで、ふらつく蘭を恭一郎が横から支える。

「大丈夫か、蘭?」

「あー、うん。なんか足がもつれちゃって……変なの。なんか安心したら急にどっと疲れが……」

 恭一郎としてはこのまま少し休ませてやりたかったが、何分インタビューがある。さらに、この時点で最低でも蘭は銀メダルが確定していることから――フラワーセレモニーやそのあとの記者会見など……すべてから解放されるのは日付が変わる少し前ということになるかもわからない。

(まあ、俺の時はな……メダルを取れたあとっていうのは、まずはそれだけで興奮して、あとのことなんかどうとでもなるというくらいな感じだったが、蘭の場合はあとからじわじわ喜びがやって来るのかもしれんな)

 ベストの演技が出来たとすれば、蘭がもっとはしゃいで喜ぶものと思っていた恭一郎は、彼女が妙に落ち着いて見えるのが不思議だった。だがもちろん、恭一郎にはわからなかったろう。彼女がこの時、もし金メダルを取れたとしたら、氷室光のプロポーズを受けようと考えていたということなどは……。



 >>続く。




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