老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

『世界「最終」戦争論』を読む(2)

2017-02-02 15:08:48 | アメリカ
トランプ大統領の過激な言動に振り回されている日本のメディア状況ですが、去年の6月に刊行された本書(姜尚中氏と内田樹氏の対談書『世界「最終」戦争論』)でもトランプ候補の誕生の可能性を指摘していました。前回に続き、今日のコラムはそのあたりから紹介します。

本書の第1章は「液状化する国民国家とテロリズム」となっているが、最初の見出しは「アメリカにも出現した極右大統領候補」となっていて、(姜)「明らかに世界は『右傾化』しつつある。この状況を内田さんはどう見ますか。」(内田)「これは『極右勢力の伸長』というよりは『国民国家の解体』という事態であるという指摘です」という。

次の見出しは「アメリカとフランスはなぜテロの標的に」となっており、その大きな原因として、この両国がいずれも建国の理念が原理主義的であり、他の国のようなあいまいさやいい加減さがみられず両極端に走る傾向があるという。

アメリカの場合でも、国内的にフランスのような原理主義的な対立がなさそうに見えるが、(内田)「やっぱりありますね」として、「あの国には内戦(南北戦争)の傷(トラウマ)があって。他国との戦いでは負けていないが国内には11の州の『敗戦国民』を抱えている。同国民なのに、有形無形の差別を受け続けている。僕がそれを強く感じるのはハリウッド映画を通じてですね」という。

内田氏はここでハリウッド映画を評して、そこには北軍サイドしかなく、『南部的なもの』がないと言って、ハリウッドが南部を市場としていないので、南部を平然と差別すると指摘している。そして、一例としてトビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』(1974年)を取り上げ、この原題が「テキサスのチェーンソー虐殺」と地名名指しなのであると説明する。もし日本で『青森のカワハギ男』なんていうタイトルの映画を作ったら、青森では絶対上映禁止になるという。

(内田)「アメリカの場合は国内に南北の深い対立を抱えている。・・・、だから、今回トランプが登場して、ある意味で原理主義的な発言をするとたちまち熱狂的な支持者が出てくる。」と指摘する。

次の見出しは「両者にある敗戦の屈託・ルサンチマン」。(姜)「すると今まで我々が描いていたアメリカの独立戦争とフランス革命も、深層と表層のナショナルがあって、そこに抱え込んでいた屈託、葛藤がテロを呼び込んでいるということでしょうか」と聞くと、内田氏はアメリカの世界戦略に触れて、そこには病的な固執があり、例として「西漸(ゴー・ウエスト)」というのはアメリカ国民に取りついた神話だという。

1840年代末に国内のフロンティアが消滅すると、次は日本にペリーを送り、米西戦争でフィリピン、グアムを獲り、ハワイを併合して、日本も占領し、朝鮮半島を焼き払い、ベトナムを焼き払い、アフガニスタン、イラク、シリアに向かった、とする。

(その後の対話で)(内田)「フロンティア開拓というのは、要するに自然を破壊し、森を切り開いて、人工的な環境を作り出すこと」だ。「トクヴィルも言うように、この開拓民たちの自然破壊への情熱は『病気』であり、「ゴー・ウエスト」も病気だし、TPPもアメリカの病気の一種だと思う。」

そして、内田氏はTPPに関連して、「アメリカの独立」も不当な課税に対する抵抗運動だったのであり、日本の満州国の建国に対しても、その侵略的な意図を問題にするのではなく、アメリカの抗議の中心は日本が満州の市場を独占して自由貿易ができないことだったという。そして、自由貿易というのは、多分国是のようなものだとして、TPPもごり押しする(大統領候補は二人とも反対しているが)。

「でもアメリカは超覇権国家なので、自分の病気を『健全さの世界標準』として他国に押し付け、そしてそういうアメリカの病的妄想を本気で『世界標準』だと信じ込んで、それに追随する属国の政治家たちもいる。」と指摘する。

そして内田氏は、アメリカの場合、ネイティブ・アメリカンを虐殺し、その土地を奪った建国時点での『原罪』を認めて国民的規模で謝罪しない限り、『病気は治らない』という。(内田)「入院患者が病院の医師をやっているようなものだ。」(姜)「それゆえにテロリストたちのターゲットにされる。他者の方が病に罹っている人はよく見えますから」と結ぶ。

(本書は情報量が多く、続きは別途投稿予定。)

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
『政治』 ジャンルのランキング
コメント (1)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« トランプ革命の序章 | トップ | 悪いヤツは、お白洲へ »
最近の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ピストルが命の次に大切な国 (ローマ人)
2017-02-07 18:23:04
アメリカがネイテブアメリカに謝罪することはないと思う。またアメリカが広島、長崎に原爆を投下して30万の日本人を殺したことも謝罪しないと思う。広島に原爆を投下した飛行機のパイロットの息子にあったことがある。彼は日本の新聞記者から原爆投下に謝罪しますかと質問されたことがあった。彼の答はNOであった。世代が違い、直接的な責任はないにもかかわらず、また日本は平和であるにもかかわらず、彼の中では、精神的に戦争とか戦闘が続いて居る様であった。
ある時、私は彼に謝罪する必要はないと断言した。かれがもし日本人なら、安心するか、安堵するかしたであろう。所が、彼の態度は屈辱を受けたという感じであった。
アメリカの大学で小グループの討論があった。月に上陸するメンバーに選ばれたら、ナップザックに必要なもの10点をあげよという問いがった。東洋人は私一人であった。他はアメリカ人とアラブ人であった。私以外は全員がピストルを第一にあげていた。私は10点の中にピストルをあげていなかった。
一度戦争になると、憎しみが燎原の火のように広がり、人々の心の深いところまで達するようである。
言葉では人の感情は理解できない。あくまで表情で察することしかできない。何百年かかろうが、人の善意を伝えていかなければ、平和は達成できない。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

2 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
「×」 こんなのが我が国の総理だとは、恥ずかしすぎる。 (今日の「○」と「×」)
「×」 安倍首相、「訂正でんでん」と誤読? 参院代表質問答弁 朝日新聞デジタル 1/25(水) 21:45配信  「訂正云々(うんぬん)」を「訂正でんでん」と誤読?――。安倍晋三首相......
2/3: 2号機 格納容器で530シーベルト 下に堆積物・大穴 &1号機の内部調査へ、...... (今日のトピックス Blog)
 ◎今日のトピックス Blog: 今日のトピックス ブログ 外枠(フレーム) 2017年~ 「護憲+」ブログ: 「護憲+」は第十四期を迎えました 8/1 (笹井明子) ○『政治......