老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

天皇の退位、「基本的人権」に照らして議論を!

2016-12-10 14:54:19 | 憲法
天皇陛下が高齢による退位の意思を示されたのは8月8日だったと思う。その後各層各界から賛否両論が出されたことは様々なメディアが伝えているとおりである。

早速安倍内閣も、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」と称する会合を設置して有識者を選定した。しかしそもそも上記の会議の名称が妥当であろうか。この名称からはせっかくの有識者の有識が制約され、幅の狭い議論になりかねない気がする。そして12月7日の朝日新聞は有識者会議の議論を次のように報じている。
http://www.asahi.com/articles/ASJD734Z5JD7UTFK002.html

『天皇陛下退位、論点整理取りまとめ始まる 有識者会議

天皇陛下の退位をめぐり、政府が設けた「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長=今井敬・経団連名誉会長)は7日午前、首相官邸で会合を開き、論点整理の取りまとめに入った。これまでに行った憲法や皇室問題などの専門家16人へのヒアリングで出た意見をもとに、8項目の論点ごとに大まかな方向性を整理した。

会合後に記者会見した座長代理の御厨貴(みくりやたかし)・東大名誉教授によると、8項目のうち4項目で専門家の意見が共通していたことを確認したという。公務のあり方に関して「(被災地訪問などの)公的行為は各天皇が自らの考えでその程度と内容を決めればよく、各天皇、各時代により異なるべきだ」という方向性で一致。高齢に伴う負担軽減は「皇族による分担や公務の見直しで軽減を図るべきだ」との認識を共有したという。

一方、退位を認めるかどうか、退位を認める場合の法整備は恒久的な制度とするか今の天皇陛下に限った特例法とするかなど、4項目については意見が割れていることを確認した。

御厨氏は「(論点整理に向けた)相場観づくりの第一歩となった」と語った。有識者会議は次回14日に会合を開き、さらに論点整理を進める方針だ。』

予測どおりこの記事を読む限り、会議の名称に制約され根本問題は遠ざけられているように見える。

ここで国民が留意すべきは、天皇陛下が高齢による退位について語りかけられたのは、メディアや一部の学者や有識者ではなく、あくまで主権者である国民に対してであったはずである。それは憲法第1条に〔天皇の地位と主権在民〕が規定されていることからも当然で、新聞に記載された天皇陛下のお言葉を読んでも明らかであろう。

・憲法第1条:天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

そこで一般国民が一番知りたいことは、天皇には国民同様に憲法で保障されている基本的人権はあるのだろうかと言うことである。会議の名称が上記のように規定されては、有識者もこの問題には触れたくとも触れられないであろう。また今の皇室典範を読んでも、天皇の進退は自ら決定できるとも、できないとも書かれていない。皇室会議(皇室典範に規定)での審議事項でもなさそうである。
・皇室典範
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO003.html

しかし今回の天皇陛下のお言葉からは、国民同様の人権は無いような印象を受けた。天皇も一人の人間であり、日本人であれば憲法で規定された基本的人権を享受して、その上で天皇と言う地位とある種の制約を世襲しているのではないのか。昭和天皇は終戦後の昭和21年1月1日の年頭の詔書で、「人間宣言」をしたというのが定説(下記url)であり、一方一般国民はどんな立場、地位にあろうとも自分の意思で進退を決められるし、三権の長でも然りであるのに不合理ではないだろうか。
http://tamutamu2011.kuronowish.com/ninngennsenngenn.htm

それ故天皇陛下は国民に向けて談話を発表されたのではないかと想像される。

一方、有識者会議は今後論点整理をすると述べているが、国民が知りたいことは上記のとおり、天皇に基本的人権はあるのかないのかと言うことである。憲法第1条の、「・・、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」の「この地位」には基本的人権を認めていないのか、認めていないとすれば何故か、またいつどのような形で、「認めない」という国民の総意が示されたのか。メディアによれば、今回の天皇陛下の談話に賛同する国民は多数のようである。有識者会議は内閣ではなく国民に目を向けて、憲法に疎い国民に分かりやすく説明して欲しいものである。

天皇に基本的人権があれば、進退の意思表示は自由なはずであり、わざわざ有識者を集めて天皇の退位の是非を議論する必要はないであろう。議論はいつどのように退位されるかを皇室典範に規定されている皇室会議ですれば済むのではなかろうか。

日本と英国では王室制度は違っても、基本的人権に相違はないと思う。1920年代に英国国王エドワード8世はシンプソン夫人との恋を優先し王位を捨てたことは有名であるが、王位より人権優先の象徴であろう。さすがにマグナカルタを承認した英国王室である。余談であるが、エドワード8世の退位がなければ、今のエリザベス女王の誕生はなかったと言われている(エドワード8世で検索可能)。

以上のように、英国王室では恋のためでも、国王自ら退位が認められるのに、日本では天皇に高齢による退位の自由もないのか。有識者会議は政府が示した、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の名称に捕らわれずに、広く憲法の基本的人権にも照らして、議論して欲しいものである。

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