老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

被災地との距離

2011-07-13 17:04:48 | 原発
震災・津波・原発事故発生から4ヶ月。テレビや新聞から被災者の姿は影を潜め、原発事故は収束の見通しも立たないまま、「東電さんに頑張ってもらいましょう」と関心の対象から外れようとしている。また、今後の原発の扱いや日本の電力供給のあり方の議論は、政争の具と化して、私たちの間にはウンザリ感が蔓延している。

こうして、3月11日以来続いている大災害は早くも風化し始め、直接被災者とならなかった私たちの暮らしは、放射能汚染に対する不安を抱えつつも、「3.11」以前に戻ろうとしている。

かつて、スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故によって、世界的に反原発運動が繰り広げられ、日本にもその輪に加わった人たちがいた。1989年に発行された「超ウルトラ原発子ども」(伊藤書佳著・ジャパンマシニスト)は、10代の若さで原発の持つ本質的な問題を感知し、原発を止めたいと様々な活動をしてきた著者の、『原子力発電所と放射能汚染』の事実解明と『ゲンパツを止める』ための提言の書だ。

これを読むと、今回の福島原発事故以来繰り広げられてきた議論や脱原発運動の多くが、当時既に行われていたことが分かる。しかし、著者の「原発を止めたいと思ってきた自分が、原発事故汚染地域(千葉県在住)の住民になってしまった」という無念の言葉や、ある元東電社員の「従来の運動では、“反原発ブーム”が下火になった後、自分の近くには作ってほしくないが、原発は必要と言う世論が72%という結果が残った」という指摘に見るように、過去の運動では原発も原発事故も止めることはできなかった。

私自身を振り返って見ると、過去に起きた大事故は、自分にとって遠いところの不幸なできごとに過ぎなかった。周辺に住む人たちの悲劇に同情はしたものの、距離の遠さが、問題の深刻さに対する関心を薄れさせていた。何とボンヤリだったのだろうと忸怩たる思いがあるが、恐らく当時日本人の多くの反応は似たようなものだったのではないだろうか。こうして、ことの深刻さを感知した人たちの訴えは、成果を得ることなく萎んでしまったのだと思う。

それから20数年が経ち、私たちの身近なところでまさかの重大事故が起きてしまった。そして事故から4ヶ月がたった今も、事態は改善されるどころか、ことの深刻さが次々に明らかにされ続けている。「一時避難を希望する被災者」と「被災者受け入れを希望する人たち」を繋ぐいくつかの私的サイトには、このところ自主避難希望の登録が急増している。当初早期収束に望みを託して留まり続けていた原発周辺の住民たちも、ついに自分や我が子の命を守るために、やむなく故郷を離れようとし始めている。

原発事故の悲劇は終わっていない。辛すぎる現実はいつ果てるとも知れず続いている。そしてそれは、無関心に逃げ込めるような遠い地の出来事ではない。しかしそれにも拘らず、平時に戻りたがる私たちの性向とある種の無力感が、被災地との心理的距離を生み、問題の希薄化を生じさせているように見える。だが、私たちのこうした反応はある種の人たちに付け入る隙を与え、過去と同じ一過性の運動を経て、全てを元の木阿弥にしてしまう危険性を内包しているのではないだろうか。

もう過ちを繰り返すことはしたくない。今は無力感を噛み締める毎日だけれど、それでも自分達にできることとして、故郷を失い、生活の基盤を破壊され、苦しみ悲しむ人たちに寄り添っていきたい。そして、今の現実を直視しつつ、過去の運動で辿り着けなかった「経済至上主義の論理」克服=脱原発実現のために、息の長い議論と粘り強い運動を、結果を得るまで逃げることなく継続することを、未来に向かって約束したいと思う。

「護憲+コラム」より
笹井明子

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地位協定破棄その5 (通りがけ)
2011-07-13 17:44:46
以下の記事を拡散します。
>子供たちを放射能汚染から守れ…野呂さんの話(つぶやきいわぢろうさま)
>>http://blog.iwajilow.com/?eid=1071023
>確かに僕も福島に通っていたときはものすごく疲れやすかったです。福島に住んでいる人たちはもっと疲れやすいんだろうと思うと胸が痛みます。<

65年前日本列島を核の牧場におとしめた核武装アメリカ軍事覇権への奴隷隷従契約「日米地位協定」を破棄して新しく救国内閣を組織してただちに国家非常事態を宣言し、米軍への思いやり予算も基地敷地もすべて日本人の手に取り戻し全部独立国平和憲法立国日本復興のためにつぎ込みましょう。

「地位協定破棄その5」

核と地位協定はともに同じ現在地球上最悪の破廉恥きわまる人権侵害暴力テロである。
>目で見る地位協定参照>>http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51424388.html
この写真の車に轢かれて倒れた瀕死の幼女を助けようともせず腰に手を当てて傲岸不遜に見下ろしている米兵たちは、日本以外のどこの国でも現行犯逮捕され法のもとに処罰される筈の犯罪者となったが、地位協定下の日本国内では逮捕もできず訴追しても無罪放免され、米軍属というだけで日本国内で外交官特権の治外法権を傍若無人に振り回していかなる刑事民事犯罪を犯そうとまったく責任を問われないのである。そればかりかこの証拠写真を撮った女性写真家を冤罪で投獄することさえ思いのままであった。日本の冤罪製造人質司法検察のルーツが地位協定であることが証明された。

この轢かれて倒れている瀕死の幼女はまさに戦後日本の米軍植民地統治の被害者であり日米地位協定の冷酷非道な人権侵害性を全世界に明らかにした。いま地位協定堅持米国植民地統治政府によって瀕死亡国の瀬戸際まで追い込まれている震災+原発放射能人災の二重被災日本国民は、まさにこの倒れた幼女なのである。我々日本人は悪徳アメリカ手先地位協定奴隷政府がいかなる妨害を仕掛けてこようとも全てはねのけて、この傷つけられて倒れた瀕死の幼女の命を日本民衆の伝統の叡智と力を合わせて何としても救わねばならないのである。
地位協定破棄その6 (通りがけ)
2011-07-14 10:48:03
>似非l弁護士・枝野幸男の「恫喝発言」を笑え (>>http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20110713「毒蛇山荘日記」さま)

弱い犬ほどよく吠える。相手が弱いと見ればすぐに噛み付くのは、臆病で自分に自信が無い小心者の性根が腐ったゆえのヒステリーである。強き(アメリカさま)にへつらい弱き(国民ひとりひとり)を挫く枝野官房長官さまか。

「弱きを扶け強きを挫く」由緒正しい日本人にとってもっとも生理的に嫌われる恥知らずである。

ところで、あの拝金カルトテロ組織オウムにも上佑某とかいう口先八丁詐欺師が居たけどな。青山某とかいう東大卒弁護士もw


>小泉純一郎政権の頃で、政治家が次々と逮捕され、政治家たちが萎縮していた頃である。

小泉に権力を持たせたのはオウム真理教に政権をとらせたようなものだった。日本人はテレビコマーシャリズム放送で総白痴化したのである。

この際節電のために全テレビ放送を禁止せよ。NHKテレビ局解体、放送法廃止、ラジオ放送だけおこなえ。

>政治の現場で、「告訴」だの「裁判」だのと騒いだり、権力闘争でおわるべきところに「警察権力」を導入したりする風潮
永田ガセメール事件で前途有望な正義感ある党員政治家が、小泉劇場政治の詐欺性を国会で追及しようとした途端に、自党党首前原誠司の人間として不誠実きわまる詐欺的裏切りに遭って追及の梯子をはずされ、人間失格詐欺師前原(実は小泉チルドレン)の根拠無き党首権力乱用によって、国会議員という党首じゃない主権者国民が与えた身分まで辞職させられるまで叩き落とされたことは、まざまざと覚えている。

そういえば、こないだ時効は無くなったな。アメポチ民主党ウソつき菅政権下で。


ところで今日の新聞トップの、うそ菅の「脱原発再稼動容認」宣言ちゅううそ公約には笑った。ウソと膏薬はどこにでもつけるからね。

後からうそにできないのは「地位協定破棄国会決議」だけである。国際政治条項だからね。
うそつきの脱原発国内公約など無視してよろしい。どんなに嘘を累ねてもどっちみち臨界核分裂放射能テロ犯罪の国内刑事責任が消えるわけがないのだから。
地位協定破棄その7 (通りがけ)
2011-07-14 23:27:09
「地位協定破棄その7」

詐欺師は言う「人間には騙す者と騙される者の二種類しか居ない」と。
これが詐欺師の免罪符となっているが、これもまた詐欺師特有の真っ赤な嘘である。

真実は「人間には騙す者と騙さない者の二種類しか居ない」であり、騙される者と騙す者はじつは同じ「騙す者」の集合に属しているのである。

詐欺師のように「騙す者」は自分の嘘で相手と自分を同時に騙し騙されている「騙される者」となる。

日本で民間の伝統的躾が「嘘つきは泥棒の始まり」と教えているのは、倫理を保って美徳を生きる「騙さない者」に育てる徳育そのものであり、悪徳に溺れる倫理無き「騙す者=騙される者」に育てないための最上の知育でもある。

これが日本人を世界史上常に同時代最高の品格ある知性を具えた尊敬すべき「騙さない」倫理的な人々としてきた根源のチカラ、「躾」である。

応用問題:

「地位協定」は言う「日本には占領軍(支配者)と無条件降伏Jap(奴隷)しか居ない」と。

正しい答え:

人倫も知性も教養も無い下卑た拝金真理教戦争詐欺師米軍を、高い倫理と品格を具えた美しい日本国から一掃するために、ただちに国民投票で地位協定破棄しよう。
地位協定破棄その8 (通りがけ)
2011-07-15 05:44:40
「地位協定破棄その8」

原発は必ず事故を起こす不完全技術である。核分裂臨界反応のエネルギーは戦争中に無差別大量殺戮兵器としてのみ使われる原爆の爆発と同一であり、平和(非戦)時に人間が商業的にコントロールできうるものではない。すなわち、エネルギー政策問題ではない「戦争か平和か」究極の二者択一の人類の根本的生命倫理の問題である。
エネルギー問題として原発推進を唱える者はまず倫理を自らに厳しく問い直すことを怠ってはならない。

そしてドイツのように(文末参照)原発を日本国民の倫理問題として論じるためには、わが日本国が拝金米占領軍植民地統治下非独立国ではなく、ドイツのような独立国でなければ、倫理問題が議論の俎上にも上らないことは自明の理である。

よって倫理を重んじ万国共通の基本的人権を重んじる日本国民は、直ちに国民投票で地位協定を破棄し対米独立しなければならない。

参考:電力不足という東電の脅しと”大停電”の正体(政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】さま)
>>http://yamame30.blog103.fc2.com/blog-entry-125.html
>驚きは、「倫理委員会」というその名称である。
>”倫理”という言葉は、多分正確な訳語なのだろう。
>ドイツは原発問題を倫理の問題ととらえたのである。

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