老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

日米が互いに利用した北朝鮮カード

2008-06-27 08:26:41 | 政治
6月26日、北朝鮮が核計画の申告書を中国に提出したのに伴い、昨夜9時前のニュースでブッシュ大統領は北朝鮮のテロ支援国家指定の解除を議会に提出することを正式に表明した。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080626AT1C2600R26062008.html

しかしこの動きは今年になってから米政府高官から節目節目で流され、日本国民もニュースで知らされてきた既定路線であり、後は北朝鮮の対応待ちの状態だったと言える。またその事は、ある日突然の指定解除に日本国民が驚かないようにとの、日米両政府のシナリオであったと見ることもできる。ある時は日本政府も解除反対を強く米国に迫って見せ、米国も日本の拉致問題は決して忘れてはいないと呼応し、両政府の意気のあった芝居を見せられていたようである。

そして昨日、北朝鮮の新たな動きでついに来るべき時が来たが、拉致被害者家族には米国への失望、一般国民には政府の北朝鮮への強硬策の限界と米国のテロ指定頼みの外交失敗への不信が高まったように思う。だが、そもそも米国は北朝鮮の核開発阻止のために、テロ支援国家指定に加え日本の拉致問題を利用し、日本は拉致解決のために、独自の経済封鎖に加え米国のテロ支援国家指定を利用し、両国ははじめから同床異夢を見ていたのである。

自分の見たかった夢が先に叶えば他国の夢の実現は二の次で良い。仮に日本の拉致解決の夢が先に叶えば、日本政府もそうなったであろう。そのような意味では、今回の北朝鮮の核計画報告は、米国の国家戦略に沿ったものであり、米国のテロ支援国家指定の解除は予定のコースではなかろうか。後に残された課題はブッシュ大統領の功の焦りから中途半端な処置を北朝鮮に許さないことである。

一方日本は、米国のテロ支援国家指定解除によって、今後自分の褌で北朝鮮と対峙することになった。しかしもともと他人の褌で北朝鮮が相撲を取らしてくれるはずがない。あの外交のしたたかさは日本のアメリカ頼りの外交とは誰が観てもレベルが違う。

それでは日本の拉致問題解決のカードは何か。それは植民地時代の戦後補償のはずである。来年2010年は日本が朝鮮を35年間植民地にして100年目にあたるが、日本の植民地政策も当時の国家戦略で行われたことであり、北朝鮮の日本人拉致も国家戦略で行われた行為である。どちらも相手に痛みを与えた行為であり、この二つの問題を各々国家の過ちとして交渉することが両国の真の外交カードのはずである。どちらの痛みと被害がより大きかったかは、推して知るべしである。

拉致被害者家族も、拉致問題解決に戦後補償問題解決のカードを使うよう日本政府に求めれば、協力して貰えないとの不安があったと思う。確かに頼りにしてきた自民党の対北朝鮮強硬派には嫌がられるであろう。しかしもう遠慮する必要はない。強硬派の北朝鮮対策では対話の糸口は見えなかったばかりか、今回の米国のテロ支援国家指定解除で、更に北朝鮮には相手にされなくなることは明白である。

テロ指定解除で北朝鮮と米国・韓国との関係が進展すればするほど、今後日本も対話重視の外交が重要になる。今や完全に潮目が変わりつつあるのである。

「護憲+BBS」「 アメリカの動きに注目する」より
厚顔の美少年

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自衛隊のバス「自賠責なぜ適... | トップ | 農水省は開門して即刻実験せ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治」カテゴリの最新記事