老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

憲法9条学説の問題点

2009-01-07 22:03:51 | 憲法
憲法9条の学説は大分以前に確定しており、その後の展開はそれらの延長線上にあることは間違いない。しかし、そうした憲法学説には大きな問題が生じている。なぜなら、大方の9条学説は突き詰めれば自衛権の是非をめぐって展開されており、憲法9条が国際連合憲章第51条の規定にある「国家固有の自衛権」を否定してるか否かに関する否定説と肯定説に分かれており、学説は否定説(戦争の放棄に関しての「全面放棄説」)が多数説である。

だが、こうした学説が多数かどうかは、現在の日本の軍事に関する状況を見ると観念論になっているのではないだろうか。すなわち、自衛隊が戦力に当たるか否かという争いを遥かに超えて、日本の軍事情勢はとてつもない方向につき進んでいるからである。米軍の後方支援から始まったイラクなどへの海外派兵は今後も継続するような雰囲気であるし、自衛隊の米軍との協働行動は来るところまで来ているとの分析もある。(小池政行氏による分析)

こうした状況を見ると、憲法9条の学説の問題点はそれが伝統的な解釈論に止まり9条の文理解釈に終始している点にある。確かに自衛隊の発足当時なら「伝統的解釈論」にも意味があったが、実際に米軍の後方支援の役割から米軍との協働の軍事行動にまで拡大するならば、憲法9条の存在自体も危うくなるような段階に到達しているのであり、自衛隊が「戦力」に当たるか否かという論争は依然として重要ではあるが、あまり意味を持たなくなっていると思われる。

前述した小池氏の著書「自衛隊が愛される条件」(朝日新書、2008年)は、次のような衝撃的な内容になっている。小池氏はこの本の中で「軍事は政治のコントロールから外れる」という小見出しの章で次のように述べる。

『イージス艦の整備や地対空ミサイル迎撃部隊であるパトリオット防御システム(MDS)に加わるための準備予算5000億円などが今後の具体策として挙げられている。

これらMDSはわが国を攻撃してくるものと、同盟国であるアメリカを攻撃するものとの2種類あり、「個別的自衛権」の行使である場合と、「集団的自衛権」の行使である場合の相違が生じる。さらには、このような迎撃システムには情報の共有と指揮命令の密接な統合運用が求められることになるから、日米の統合されたミサイル防衛システムが軍事的な有効性からは欠かせないものになる。』

『このようにみてくると、軍事の世界では現行憲法における「個別的自衛権」の行使は可能であるが、「集団的自衛権」の行使は不可などという政府解釈を遥かに超えて、いかに有効な防御とカウンターアッタクを日米軍事当局が行えるかの観点から物事が進んでいることが明瞭になってくる。』

『過去の歴史においても、そして現在においても、軍事は政治のコントロールから外れ、我々の運命の行く末を大きく変える。』

こうした分析から、我々は憲法9条の解釈論が文理解釈に止まっているのはおかしいと考える。文理解釈を前提にしながらも政策論的なアプローチを採る必要があると思う。つまり、自衛隊の存在自体の当否に止まるのではなく、憲法9条の解釈を通じて自衛隊の行動をコントロールしていく方向に一歩進むことなのである。

そのための戦略として、第一に違憲審査のために憲法訴訟を提起していく。そして憲法9条の政策論的解釈は、違憲審査に法的な根拠を提供していくような解釈論的展開になるであろう。その場合には9条の規定ばかりではなく、市民個人個人の基本的で基底的な権利である「平和的生存権」の援用が重要な根拠基底になるのである。また、憲法9条の伝統的な展開から9条の世界史的な意味を問う、思想的な文脈も重要な問題点となってこよう。

以上のように考えると、憲法9条の解釈論的転回(展開ではない)は根本的なパラダイムの転換が必要になってくるのである。

「護憲+コラム」より
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