職種転換してから、
出張に出ることが増えました。
9月以降は、1週間のうち3日〜4日、出張が続くことも多かった。
先週も5日間、北海道に出張にいっていました。
出張先のホテルで朝目を覚ますと、
そこから緊張が始まっている。
今日、これから初めて会う、参加者たち。
その人たちを前に、自分に、いいコースが出来るだろうか。
部屋の中には私1人で、
家具は全て自分のものではない、表情のないホテルの家具たち。
部屋は毎日掃除され、昨日の夜から自分が出したものやごみ以外、
猥雑物はほとんどない。
だから、部屋の中は、緊張と孤独が、ほぼ隙間なく充満している。
その中で、コーヒーを入れる。
最後の準備を始める。
最後の準備が終わったあと、
お風呂に入る。
他の仕事をする。
大きな山場のコースの日の朝はよく、
部屋を出る前にYouTubeで、
スティーブジョブズのスタンフォード大学でのスピーチを聴きます。
9月以降、お守りのように何度も聴いた。
聴くことで、私の孤独と緊張は和らぎ、勇気が湧いた。
私はずっと飢えていて、
いつものどが渇いて仕方なかった。
時に、この世界から零れ落ちるんじゃないかと不安に思った。
暗闇が訪れる時期があり、
闇が明けないのではないかと感じて打ちひしがれた。
30代半ばを前にして、青春が終わり、
私はようやく、
この世界から途中で零れ落ちることはないかもしれない、
と感じられるようになった。
それでも暗闇は都度、
私を訪れる。
大きな闇もあれば、小さな闇もある。
そして、私は今も、飢えたままで、時々とてものどが渇く。
ずっと、hugryで、Thurstyであり続けることが、
時に辛かった。
ジョブズは、受身ではなく積極的に、
Stay Hungry、
と聴き手に求める。
聴き手の私は、
許される。
飢えて、乾き続けていることを、
積極的に肯定されることで、
私は、その瞬間、孤独ではなくなる。
ずっと飢えていて、時々ものすごく喉が渇いて、
自分の感覚や衝動に左右され、
ときにそれを尊重したりしながら、
生き延びてきてたどり着いた、
このホテルの部屋に、
そして、これから向かうクラスで初めて会う参加者たちに、
愛情を持つことが出来るような気がする。
私は部屋をでて、
1人でクラスに向かう。
緊張は続くけれど、
静けさが自分を満たす。
クラスの朝は、参加者と私の緊張で満ちている。
でも、私はこの人たちを励まし、愛情を持つことができそうだ、と感じる。
私のほうから、好きになるよ。
だからここでは、リラックスしていいんだよ。
厳しいことも言うよ。
でも私は、あなたの今までを、好きだよ。
参加者ひとりひとりに、
できるだけそう思いたい。そしてその思いを、伝えたい。
そしてその人それぞれが、
よりその人らしくなり、
日常に帰っていってほしい。
私が、コースを通じてしたいことは、
そういうことのようだと、数ヶ月経って感じました。
何度も訪れる暗闇と孤独の中で、
ジョブズさんや、旅人君や、村上春樹さんや、
付き合っていた人や、大事な人や、
小説や、音楽から、
私は希望の光を受け取った。
希望の光が差し込むとき、
その光は暗闇の中ではとてもまぶしくて、
目が痛くなった。
それでも光は圧倒的に私に差し込み、
私の奥を温めた。
そしてしばらくすると、
また私は歩き始める。
私は37歳まで、そのように生き延びてきました。
外から差し込む光に助けられ、
慰撫され。
村上春樹さんの小説、
ねじまき鳥クロニクルに出てくる間宮中尉は、
戦争中、ノモンハンの砂漠で、井戸の中に放り込まれ、
暗闇の中で数日を過ごす。
暗闇の中ですごす数日のうち、1日1回、ほんの短い時間、
そとから太陽の光が差し込む。
その圧倒的な光を経験したあと、
間宮中尉は助け出され、戦争を生き延び、
日本に帰り、長く生き残る。
間宮中尉はいう。
「私はあの井戸の底の、一日のうちに十秒か十五秒だけ差し込んでくる強烈な光の中で、
生命の核のようなものをすっかり焼きつくしてしまったような気がするのです。」
差し込む光は、
ときに生命の核を焼き尽くすのかもしれない。
今まで、私に訪れる暗闇のあと、
差し込む光は、
私の奥を温めてくれた。
その光はでも、
いやおうなく訪れ、
私の奥に届き、
私の側に選択する余地がないという意味では、
間宮中尉を焼き尽くした光と同じかもしれない。
ただ、
今までのところ、
私は生命の核を焼き尽くさずに、生き延びてきている。
だから今は、
私があなたを、好きになりたい。
1日2日の短い時間でも、
私があなたの美しいところを知り、
それをあなたに、できるだけ正確に伝えたい。
そしてあなたがあなたの頭と手を使って学ぶことを、
促したい。
そう思える日があります。
そしてその先に、
参加者と私に、
新しい風景が訪れることがある。
私たちはそれを観て、
そしてそれぞれの日常に戻る。
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