「世界初ロボットキャリアとして挑んだ1年目、そして2年目に向けて」 DMM.make ROBOTS 岡本康広氏

2016-03-14 16:27:19 | コラム・インタビュー


昨年4月に世界初のロボットキャリア「DMM.make ROBOTS」をスタートさせた株式会社DMM.com。DMMのロボット業界への参入は大きな話題となり、ソフトバンクの「Pepper」とともに、2015年のロボット業界を牽引しました。

DMM.make ROBOTSでは、昨年1年間で、人工知能を搭載したコミュニケーションロボット「Palmi」をはじめ、家族を繋ぐコミュニケーションロボット「BOCCO」、ダンスロボットの「プリメイドAI」、教育機関でも採用されているPLENシリーズの「PLEN.D」、そしてデアゴスティーニジャパンから販売され人気を博した週刊「ロビ」の ”完成版” のあわせて5つのラインナップの販売を開始。ロボットキャリアとしての実績を着実に積み重ねてきました。

今回のインタビューでは「DMM.make ROBOTS」の仕掛け人である、株式会社DMM.com ロボット事業部 事業部長の岡本康広氏に、この1年を振り返って抱いたロボット業界への印象や、DMM.make ROBOTSの今後の展開について伺いました。




- 昨年4月に「DMM.make ROBOTS」が開始されましたが、DMMがロボット事業へ参入するに至った経緯を教えて頂けますか?

岡本氏「当時、DMMでは、”ものづくり”というテーマを掲げて「DMM.make AKIBA」という場所を作り、ものづくりハードウェアスタートアップを支援していこう、そして新しいハードウェアやガジェットなどを作り上げていこうという動きをしていました。また、DMMの販売チャネルを駆使して、海外から仕入れたものを販売していくということも始めました。作るだけでなく、お客様に届けるところまでやるというのがDMMの考えです。」

岡本氏「家電やガジェット製作など支援している中で、同時にロボット市場の盛り上がりも感じていました。ソフトバンクさんがPepperを発表し、世間の注目度も高い時期だったかと思います。「DMM.make AKIBA」の中でも、ロボットを作っている方々を見かけるようになりました。そこで、弊社でもロボットを事業として検討してみよう、と。」



- DMM.makeの中の事業として始まったんですね

岡本氏「そうなんです。事業を始めるにあたり、まずはサービスロボットメーカー各社を回りながら調査を始めました。その時、想像していた以上にものづくりは進んでいて、各社が素晴らしい技術を持たれていることを知ったのです。ただ、「販売のことはあまり考えられていないのではないか」という感想を持ちました。作ることへのモチベーションはものすごく高いにもかかわらず、販売のことはあまり考えていないように見受けられたんです。そこで、仮にDMMが販売に特化してサポートしていけば、ロボットは家庭に普及する可能性があるんじゃないかと考えるようになりました。」

岡本氏「私たちが構想したのは「ロボットキャリア」という立ち位置です。携帯電話のキャリア事業のように、販売を一手に引き受け、プロモーションも行い、お客様の一次サポートをしながら製品をより良いものにしていく。メーカーと消費者の間に入り、様々なラインナップを販売していくことで、お客様に選択肢を与えて最適なロボットをご提案していく。そういった、携帯電話ではすでに成り立っているモデルをロボットでやっていこうという考えで、「DMM.make」の中のロボットキャリア事業として「DMM.make ROBOTS」がスタートしました。」



- DMM.make ROBOTSでは、1年間の間に5種類のロボットの販売を開始されましたね。それらのラインナップはどのような基準で選定されたのでしょうか。

岡本氏「基準は特に設けていませんでした。ただし、二つのキーワードだけは決めていたんです。一つ目は「消費者に楽しんでもらえるもの」、そして二つ目は「役に立つもの」です。」

岡本氏「例えば「Palmi」であれば会話をすることによって高齢者や単身者の方の役に立つことができます。一方ダンスロボットのプリメイドAIは、エンターテイメントを提供する存在として、多くの方々を楽しませることができるでしょう。そのように、役立つロボット、楽しませるロボットという2つのキーワードを決めて、ラインナップに入るかどうかを検討しました。また、今の段階ではラインナップの中でなるべく似たようなものが被らないようにという点は考慮しています。お客様のニーズやベネフィットに合致したものが複数あった時に、選択が途端に難しくなってしまうので、現段階ではその辺りは慎重に選定していますね。」




- 昨年1年間はロボット業界にとっても怒涛の一年間だったように感じています。振り返ってみて、ロボットという市場にはどのような印象を持たれましたか?

岡本氏「ソフトバンクさんの「Pepper」のお陰もあり、ロボットに未来感があるというのは一定層には伝わったのではないかと思います。ただ、ロボット市場を拡大していく上でとても重要になってくる、真のユーザーである高齢者の方々への認知度はまだまだ低く、私たちのロボットだけでなく他のロボットに関しても「名前すら知られていない」という現実があります。ロボット業界として、高齢者の方々にロボットの良さを理解してもらう必要があるんじゃないかと感じています。」


- 普及に向けてはどのような施策が必要でしょうか?

岡本氏「ロボットを普及させていくためには、認知・関心・行動というステップを段階的に踏む必要がありますが、昨年はその中の特に ”関心を高めていくステップ” が不十分だったのではないかと反省しています。」

岡本氏「ロボットというのは、テレビのように、分かりやすい機能を訴求できるものではありません。例えばテレビは、電源をつければニュースやお笑い番組が見れたりと、機能がシンプルで分かりやすいですよね。一方でロボットは、機能単体で訴求できるものでありません。「ロボットがいることでどんな風に役に立つか」であったり、「ロボットがいることでどんな楽しさがあるのか」であったり。今年は「ロボットと暮らす本当の意味でのメリット」をきちんと打ち出していく必要があると考えています。」

岡本氏「また、1年間DMM.make ROBOTSを運営する中で「ロボットを買うまでに一定の期間を要する可能性が高い」ということが判ってきました。ある程度高額な製品なので、「買う」「買わない」という判断をすぐに行うのではなく、様々な情報を見比べて、比較検討の末に購入を決められているようです。」

岡本氏「なので、今後は、実際にロボットに触って頂く機会を増やしたり、ロボットが生活に入ることでどのように生活が変わっていくかというような、スペックとは違った情報もしっかりと届けていきたいと考えています。」



- DMM.make ROBOTSで販売中のロボットはどこで触ることができますか?

岡本氏「今後はイオンさんの常設店舗が増えてくるのと、東急ハンズさんや百貨店さんなどでも取り扱いが開始されるなど、買い物のついでにロボットと触れ合うことができるようになります。特に高齢者の方もご覧いただけるような場所、しっかり説明員が説明してくださるような場所で公開していきたいです。」




- 2020年にはオリンピックが開催されますね。そこに向けて、DMM.make ROBOTSとして何か考えている展開はありますか?

岡本氏「2020年には、世界各国の観光客が日本に訪れる中で、ロボットがあらゆる言語で案内をできるようになっていると思います。ホテルや観光地にはロボットが設置されるでしょう。そういった施設に向けてDMMが適切なロボットを提供できるように、これからもラインナップを増やしていきたいです。今年は据え置き型のロボットが複数台出る可能性が高いので、そのようなロボットを低価格で提供していきつつ、市場に浸透させていきたいと考えています。」


- 最後に、今年目標としている販売台数を教えていただけますか?

岡本氏「数字を申し上げることはできませんが、ただ、昨年一年間とは一桁違う程度の台数を販売していきたいです。そのためには、ロボットと組み合わせるソリューションが大切なので、今年は各社との提携を強化していきながら、着実に成果を上げていきたいと考えています。」
« Android Bazaa... 仙台放送&フ... »


【最新の記事】


【オススメのロボット記事】