ロボットとAIを両方やっているエンジニアは非常に少ない #robopf

2016-12-13 16:25:41 | イベントレビュー
ライター: アスカ



「ロボットパイオニアフォーラム009 2016WINTER」が2016年12月11日に東京・秋葉原で開催され、“ロボティクス×インターネットの可能性”のテーマで話し合われたパネルディスカッションに参加してきました。

ロボット、対話エンジン、AIの分野に明るい御三方がそれぞれの視点で語るのを聞いて、現状のロボット開発者は自分たちに何が必要なのかが見えたパネルディスカッションになったのではないでしょうか。

非常に熱の入った濃い内容となったため、ロボログではお話のなかでポイントとなった部分をご紹介したいと思います。



まずは登壇した3名のご紹介から。

AKA LLCのCSOのBrian Leeさん。人のように考えられるAndroidベースの人工知能ロボット「Musio」を開発。英語教育用のロボットとして展開し、そのあとにホームIoTロボットとして販売することに。Musioは会話モードでネイティブの先生のように英語の会話練習ができます。

株式会社NextremerのCEOの向井永浩さん。人工知能・対話エンジンの開発し、音声対話インターフェイスとチャットボットの販売を行っています。会場では人工知能対話ロボット「AI-Samurai」を展示していました。

株式会社UEIの代表取締役社長兼CEOの清水亮さん。ロボットとの関わりは学生時代の彼女がロボット研究者だったことがきっかけだったそうで、2013年に発売した「enchantMOON」がきっかけでディープラーニングを知り、現在ではAIを中心にやられています。


(左からAKAのBrian Leeさん、Nextremerの向井永浩さん、UEIの清水亮さん)



ロボットが一般消費者に受け入れられるためには


パネルディスカッションのなかでメモを取る参加者が多く見られたのが、ロボットをどう活用するか、何に使えるのかについた語られた序盤と終盤のシーン。ロボットが家庭や職場に浸透する姿が一般の消費者には見えていない現状について、それぞれの意見やアイデアが出され、非常に興味深い内容でした。

消費者に欲しいという感情を持ってもらうにはまず、これを買ったら具体的に何ができるのか、自分にとってどんなメリットがあるのかをイメージさせること。それはデジカメや化粧品などあらゆるものに共通し、使用シーンと使用による幸福を想像できるかがカギとなります。では、ロボットに対してはどうでしょうか。


ロボットの特長は明確に


Androidベースの人工知能(AI)ロボットを開発したAKA LLCのBrianさんは人間と友達として接することができるロボットを作りたかったとしながらも、先に投入したのは英会話教材のコンセプトで販売した「Musio(ミュージオ)」でした。



「Musioはネイティブの先生のように英会話の練習ができ、英会話スクールに通うよりも金銭的なメリットがある」とBrianさんは言います。消費者がお金を出してまで欲しいと思うロボットは何でもできるロボットよりも何ができるかを具体的にイメージできるロボットである、と確信したからです。

例えば、家庭用ゲーム機は「いろいろできるゲーム機」とアピールするよりも「Blu-rayもネット動画も見られるゲーム機」と具体的にできることをアピールする方が消費者に伝わりやすいということ。

AKA LLCではこの英会話機能を備えつつ、ホームIoTロボットとしての「Musio X」を2017年春に出荷する予定です。


ロボットエンジニアはAIも併せて勉強するべき


清水さんは「日本はロボットとAIを組み合わせることで世界一になれる」と言い、海外で本格的な日本料理レストランを展開したいときに今まではわざわざ日本の料理人が海外へ行く必要がありましたが、料理人の技術を学習させたロボットを開発すれば日本料理をやりたい海外企業向けにロボットを輸出できるといった例を挙げました。



パネルディスカッション中に会場の参加者に挙手によるアンケートを取ると、“ロボットの開発に携わりつつAIもやっている”参加者は1割もいない実態が浮き彫りになりました。

「日本には素晴らしい匠の技術がたくさんある。ロボット開発者はもっとAIを勉強し、料理屋さんの厨房やものづくりの現場に踏み込むことが必要」と、清水さんは参加者にメッセージを送りました。


自分のやりたいことができる現場なのか


また、質疑応答の時間になると、大手企業に勤めている参加者からは(製品として)ロボットのコンセプトデザインを先に決めることが多くそのためにAIや対話といった技術の追求が疎かになりつつあるといった悩みを抱えている、と相談に近い質問が。

この質問について向井さんは「大企業の中には優秀ですごいエンジニアがたくさんいる。でも、上の人にダメと言われてなかなかやりたいことができない。大手さんにはそういう人が活躍できること場を作ってほしい」と、大企業はエンジニアの持つ技術的な可能性をもっと信じてほしいという願いを発信。



「やっちゃいけないと言われたことをベンチャーでやれたから今の自分がいる」と付け加えました。自分の夢ややりたいことがその会社で実現できるのか、いま一度考えてみることもエンジニアとして大事なことでしょう。



まとめ


実は、何ができるのかを明確にしたロボットを開発することの大切さは先の回の“コンシューマー向けロボットビジネスの動向を占う”というテーマで行われたパネルディスカッションでも言われていました。何でもできる、だと一般消費者に伝わりにくい。英会話ができるとハッキリうたっている「Musio」はロボットを世の中に浸透させるためのお手本となるロボットかもしれません。

人にしかできなかった職人の技をロボットに学習させて輸出する、のも面白いなと感じました。これはもちろん国内で展開するのもいいと思います。ロボットの普及が人間の働く場所を奪うといった考え方もありますが、むしろ労働人口が減っている今こそ必要なのがロボットなのではないでしょうか。



ロボット開発にはAIもできるエンジニアが求められている点が強く心に残りました。ロボットエンジニアのやる気を向上させてくれる素晴らしいパネルディスカッションでした。

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