晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『鬼平犯科帳 特別長編 雲竜剣』

2014-09-03 | 日本人作家 あ
「鬼平」シリーズは、当ブログで4巻までの感想を書きましたが、
じつは今、19巻を読んでいます。もう今さら5巻から引っ張り出して
短編のタイトル見て「この話どんなんだったっけ・・・」と思い返す
のも面倒なので、シリーズ15巻の特別長編まで飛ばします。

火付盗賊改方の同心、片山慶次郎が、何者かに殺害されます。
片山は、長谷川平蔵の知る中でもかなりの腕利きなのに、殺した相手は
さらに凄腕のよう。

片山殺害のちょっと前のこと、平蔵は別件でお世話になっている旗本屋敷に
顔を出した帰り、覆面をした謎の男に斬りかかられます。

さすがの平蔵も「やられる」と思ってしまったほどの相手。さあ殺るか
殺られるか、という時に、男数人がこちらへやって来て、謎の男は逃げ
ます。

そんなこともあって、平蔵は、剣の師匠であった高杉銀平の言葉を思い出す
のです。

「わしもこれまでにいくたびか真剣の立会いをしたことがあるが、その相手
の中でいま尚、忘れられない剣客がある」

その相手とは、常陸(今の茨城県)牛久沼のほとりで勝負をしたそうで、
とにかく”ふしぎな”剣法で、師の高杉の教えてくれたことを思い返して
いるうちに、片山の斬られた跡と、平蔵に襲い掛かってきた謎の男の剣さばき
に似ている、と。

さらに高杉は、その剣客の名前は「堀本伯道」という医者のような名前で、
剣法は、自分の考案した「雲竜剣」だと・・・

そんな中、元盗賊で”情報屋”の平野屋源助が、鍵師の助治郎という男から、
大きな盗みの話を聞きます。なんでもその首領は、常陸の藤代へ向かっている、
というのです。

ここで平蔵、片山殺害の男がもし自分を襲った男と同じで師の高杉の話して
いた「雲竜剣」の使い手なら、高杉と勝負した牛久沼と源助から聞いた藤代とは
2里ほどしか離れておらず、これは何か関係がある、と勘がはたらいた様子。

そこで、平蔵は、高杉道場の仲間だった、今でも親交のある岸井左馬之助を呼び、
常陸まで行って「堀本伯道」と、藤代へ向かった盗人?について調べてきてくれ、
と頼みます。

ところが、またもや、同心の金子清五郎が殺害され・・・

犯人は、あきらかに火付盗賊改方に挑戦をしてきている様子。ではいったい何者
なのか。常陸に着いた岸井の聞いた「堀本伯道」とは。

読み終わって、はじめに思ったのは「ああ面白かった」でした。この一言につきます。
とにかく、一流のミステリー。

「鍵師の助治郎」という男は、ある”盗み”の計画で、侵入する家に「引き込み」
と呼ばれる仲間を女中か下男として働きに入り込ませ、密かに金蔵の錠前の蝋型を
取らせ、それで合鍵を作ることを仕事としていて、その儲けた金で、方々に”報謝宿”
という、いわば無料宿泊所を作っています。

盗賊の手伝いをして、かたや慈善事業もしている、これには平蔵も「金と申すものは
おもしろいものよ。善悪二様のはたらきをする」としみじみ。


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