福井利佐blog

切り絵アーティストの日々

「年末」

2010年01月12日 | 過去のBLOG記事

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

といっても軽く1週間は過ぎてしまいましたが・・・。


私は毎年、年末年始を実家で過ごす事をとても楽しみにしています。
ここ数年は、いつも私の実家と主人の実家を
だいたい1泊ずつ新幹線移動する(犬つき)というハードな年末年始でした。

今回は赤ちゃんがいるということで余裕を持った日程にしてみました。
しかし、余裕を持ったつもりがあっと言う間でした。
のんびりはできませんでしたが、快適で充実した年末年始が送れて満足しています。

まず、東京での年末です。

昨年の5月16日に88歳で亡くなられた滝平二郎さんの作品展を
日本橋の「逓信総合博物館ていぱーく」に見に行きました。


ていぱーく



さようなら滝平二郎 遺作展
「さようなら」と書いてあると本当に悲しいです・・・。
一度お会いしたかったです。

絵本などで幼少の頃から作品は拝見していましたが、現物は初めて見ました。
もともと版画家でいらした滝平さんの版画作品からはじまり、
主要な絵本の原画はほとんどあり、とても素晴らしかったです。

色合いもとても美しく、色紙の使い方や彩色に工夫があって、
とてもデザイン的才能のある方だったのだなあと改めて感じました。

所々に、いろいろなエピソードが滝平さんの生前の言葉で紹介されているのですが、
モチモチの木」の制作秘話はおもしろかったです。
お話が先にあったのではなく、滝平さんが切っておいた一本の「木」から
児童文学家の斉藤隆介さんが創作したものらしいのです。

「切り絵」という言葉は、滝平さんがいて確立した名称なのですが、
本人はもともと版画家なので「切り絵作家」と言われる事に
最初はとても抵抗があったそうです。

そうだろうなあとは思っていましたが、
版画の要素があったからこそ素晴らしい切り絵ができたのでしょうね。

版画作品はどこか哀愁漂うものがあるのに対して、
切り絵作品はデザイン的要素が強く、明朗で歯切れのいい印象をうけました。

朝日新聞で連載していた作品は、日頃なかなかみることができないので、
今回多くが展示してあり、そのどれもが素晴らしくて本当に見れて幸せでした。

紙は、退色してしまったり湿気で波打ったりと保存も難しいとは思いますが、
どの作品も非常に保存状態がよく、この先もこのままの状態で
保存してほしいなあと願いました。

切手の絵柄を制作したご縁で、今回は「逓信総合博物館ていぱーく」で
回顧展となったのですが、そんなところも滝平さんらしいなと思いました。

昨年は、偉大な作家が亡くなるのが相次ぎましたね。
なんなんでしょう2009年って。

本当にご冥福をお祈りします。

今回、展示のカタログ。
人物の表情も豊かで、日本人のふるさとの情景をよく捉えています。
紙の色もとても鮮やか。


カタログ中身


カタログ表紙は版画作品。


滝平カタログ



私滝平さんの絵本は図書館や学校などに必ず置いてあるので、
なかなか自分では持っていなかったのですが、
今回は一堂に売られていたので購入しました。


絵本


なかでも「ひばりの矢」はデザインが優れています。

娘と読みたいと思う物を購入しました。
本当はもっとあったけど、娘を抱えて持ち帰れそうもなかったので、
ここまでにしておきました・・・。

私が所有している滝平さんの作品は、この「たなばたさま」。
古本屋で見つけたのですが、今まで本屋や図書館でも見た事がなかったので
「買わなくては!」と思い購入しました。

多分、こういうなかなか世に出回っていない作品も多いのでしょうね。


たなばた



私が行った日は日曜日か祭日だったのですが、
切り絵協会の方々が物販コーナーを担当していて、本を購入したら、
カーネーションを下さいました。

通常1本のところ、娘にということで多めにお花を下さいました。
何かの記念の日だったのだろうか?
ありがとうございました。


カーネーション



この後、ていぱーくを一通り見学。
郵便バイクシュミレーションや手紙仕分けが体験できるコーナーや、
世界の切手、郵便ポストや制服の移り変わりなど、なかなか充実した内容でした。
娘が大きくなったらまた来よう。


そして・・・
授乳スペースを確保に日本橋三越へ。
クリスマス一色でした。

以前見たときは、この彫刻がなぜ「天女」なのかわからなかったのですが、
ちゃんと真ん中に天女がいました(笑)。

初めて見たときは、デパートにこんな凄い物があるのを知らず、
いきなり目の前に現れた時には本当に感動しました。

周りの装飾がすごくていつもそっちに気を取られてしまい、
天女を見過ごしていました。


天女



クリスマスは、年末の仕事の追い込みで何もクリスマスらしい物が
用意ができなかったのですが、札幌のアーティストの知人から嬉しい贈り物が!
「たらばがに」です!!!


たらば



実がぎっしりでおいしかったー。
思わぬ御ちそうが食べれて一気にクリスマス気分。
ありがとうございますー!!

今年は娘もいての初めてのクリスマスだし、
せめてとクリスマスケーキだけは購入しました。
毎年、お世話になっている「SWEETCH」さんの物です。
いつも直前ですみません。
おいしかったですー。

こちらチーズ味のババロアケーキになっていました。
上に載っているホイップも生クリームではなくメレンゲ。
デコレーションの丸太小屋もビターチョコレートクッキーになっており、
毎回こういった意外性がおもしろいです。

クリスマスアイテムのかわいいクッキーもいただき、
本当にありがとうございました。


ケーキ



そうだそうだ、お仕事もしていたのですよ。
こちらは『別冊文藝春秋1月号』。
桐野夏生さんの小説「アポカルプシス」の扉絵です。
真矢がいよいよ里帰りです。


別冊

よろしくおねがいしまーす。

実家での年末はまた次回。







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