風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

りんご王国おためし暮らし 6-2

2016-10-13 | 東北

弘前の農家の方々に作っていただいた野菜御膳を堪能。
籠工芸の工房も見学し、空港で同行者たちとお別れします。
大雨に降られましたが、夜は女性二人でのんびりまったり。
その1からの続きです。



○ あかつきの会

地元の畑で採れた野菜で季節の伝承料理を提供してくれる、津軽あかつきの会。
農家の女性たちが、化学調味料を使わずに昔ながらの調理法で丁寧に作ってくれます。

着いたのは、石川地区のどなたかのおうち。代表の工藤さんのご自宅でしょうか。



玄関に入ると、かっぽう着姿のおばさま方4,5名がニコニコと出迎えてくれました。
勝手に「ただいまー」と言いたくなります。

○ 学生居酒屋店長

その中にひとり、背の高い男性もいました。
小柄なおばさまと並ぶと、頭ふたつ分は出ています。
ナチュラルに出迎えてくれたので、おもてなし側かと思いきや、私たちと同じくごちそうになる方。
20歳でかだれ横丁に「学生居酒屋」を開店した、現役の弘前大生の方でした。
ということは、夕べ同じ場所にいたんですね。気づきませんでしたが。
成人そうそう企業家デビューなんて、すごーい。

○ 野菜のごちそう

通された部屋のテーブルに着席します。
「じゃあさっそく始めましょう」
お膳に並んだ料理が運ばれてきました。
「うわあ」と思わず声が上がります。
小鉢のどれもが手の込んだ御馳走だわ。
ほとんどが畑で採れた野菜で作ったもの。
一つ一つの料理について、説明していただきました。



昔、この辺りの農家のおばあちゃんたちが作っていた料理レシピを再現し、アーカイブして後世に残すという役割を担っているこの会。
化学調味料は使わず、砂糖や油も極力使わないというのがポリシーです。
そのため、味付けにさまざまな細かな工夫を凝らしていました。
聞いているだけで気が遠くなるような、念入りな手間ひまの掛け方に、ただ脱帽します。



そばに代表の工藤さんはじめ、1,2人のおかみさんがついて、質問に答えてくれます。
説明中に「さんごナントカ」という言葉がよく出てきます。
「(青森に)三五七タクシーってありますね?」と言ったら、みんなで話もできないほど爆笑し、少しして「似てるけど違う…」と言って、また大笑いされました。
そんな素っ頓狂なことを聞いたかしら?(多分そう)
おばあちゃまたち、朗らかなんだから~。
「さん」は山椒のことだと聞きました。「ご」はゴマかな?



フキノトウやミョウガなどは、調理法で味が全然変わります。

サメのなますもありました。
「海から遠いのに、この辺の人は魚が好きなんですよ」
青森(市)の方とは、使われる野菜がちょっと違う感じ。
ミズもあります。
やっぱり、先ほど空港からやって来たばかりの元CAさんは、ミズを知りませんでした。



身欠きにしんのような味がするにしん。
まずは数か月干して燻製にし、それを焼いたもので、独特の風味があります。

少し魚が混ざっているものの、ほぼほとんどが野菜の膳。
ここまでこだわった野菜づくしの料理は初めてです。

サトウさんに教えてもらいました!
彼は、説明を録音していたので、料理名を教えて下さいとお願いしたら、画像に載せてくれました。



さすが、そつない学生起業家!
弘大前は仙台育英高卒ですからね!(前に近くに住んでた)

お新香もつやつやとして見るからにおいしそうに、私を誘います。
全ての料理に死角なし!



もちろん毛豆もでてきました。こちらに来てから毎日食べています。



正直、野菜ばかりの食事と聞いて、はじめはちゃんと食べられるかなと思いました。
でもどのお皿も味が違うため、少しも飽きることなく、おいしく完食しました。

リンゴも出てきました。
リンゴはそのまま食べるのが一番好きです。



手作りしそジュースも。よけいな味付けのない、しそ本来の旨味を味わいます。



前日の夜に深夜のカツカレー体験をしたヒヤマさんも、昨日不足していた野菜分なので食べやすそう。
パクパクいただいています。

一つ一つの小皿料理にこだわりを感じられます。
秋はそろそろキノコの季節だからと、毎日畑に生えていないかと様子を見に行っているそうです。

○ ハタチの狩人

時々、外から「パン!」という音が聞こえてきます。
「わ、なんだろう」ちょっと怖い、元CAさんと私。
「あれは、カラスを追い払うための空砲です」と学生さん。

詳しいなと思ったら、なんと彼は猟銃所持許可を持っているそう。
つまり狩人!
依頼があれば、害獣をしとめたりもするのだそう。

そんな人に初めて会ったので、興味津々。
マタギって、山奥にいるシワシワのおじさんのイメージなのに~。(マタギじゃないか)
「代々の家系ですか?」
「いえ、全然」

なんでも15歳の時に免許を取ろうと決めて、勉強したんだとか。
すごいですね!さすが、20歳で起業をする人は、人生の決定が早いんですね。
居酒屋を辞めても、猟師として生きていけそう。

今後、なにか害獣に困ったことがあったら、この人に相談しようっと。
とりあえず今は困っていませんが。
横浜の害獣といったら・・・ハクビシンとか?
(動物園以外で遭遇したことないなぁ)

○ はえたたき

窓から、真似かれざる虫が入ってきました。
なかなか出ていかないので、おばさまの一人が取り出したのが、ハエタタキ。
「わー!」それを見て、客人のみんなでどよめきます。
多分みんな、今世紀に入って初めて見たのではないでしょうか。
「ん?なにか?」という顔のおばさま。
昭和ー!今でも使っているんですねー。

○ 愛情と時間と手間

今のせわしない日々では考えられないような、工夫を凝らした料理の数々は、宝石のように貴重なものばかり。
こんなに愛情と時間と手間をたっぷりかけた料理は、もはやこのご時勢ではなかなか食べられないものとなっています。
ああ、なんて貴重な体験でしょう。
優しく細やかなおかみさんたちの手料理が、優しく身体に入っていきました。

○ 草刈正雄と乙女

帰り際に「この前ここに草刈正雄が来たのよ」という話になり、一緒に撮った写真を見せてもらいました。
9月初旬の日付なので、大河ドラマ『真田丸』の幸村の父、真田昌幸役を演じている最中のことです。
収録はもう終わっていたのかもしれませんが。

この日、枝豆ご飯を炊いてくれたおかみさんが、とろけそうな笑顔で彼の腕に両手でギュッととりすがっていました。
工藤さんが「この人、草刈さんの隣を離れなかったのよ」とばらすと、その方は少女のように笑いながら、頬に手を当てて恥ずかしがっていました。
ワー、恋する乙女!



皆さん、いくつになってもかわいらしい方々です。
いつまでも、お元気でいて下さい。ご馳走さまでした~!

○ 2本の電車

帰り際、外に出た時にちょうど通って行った電車。
これは弘南鉄道大鰐線です。



奥をJR奥羽本線が走っていきます。鉄っちゃんが喜びそうなシチュエーション。



私たちを乗せた車は走り出し、みんなが小さくなるまで手を振ってお別れしました。

○ アップルロード

「今通っているのはアップルロードです」とコバヤシさん。
道の両側にリンゴ園が広がり、その奥に岩木山が見える、全長22㎞の気持ちのいい道路。



弘前には、世界一の桜の道路があったり、アップルロードがあったり、いいですね。
リンゴの花が咲く時期と、今の収穫時期が特にきれいだそう。そんな時に通れて幸せです。

○ 三上竹工芸センター

次に着いたのは、岩木山のふもとにある津軽民芸篭の工房、三上竹工芸センター。
アケビや山ぶどうの蔓で作られた篭を製作販売しています。



ここの籠は、2日目夜に入った青森アウガのお店「リンゴ箱」にたくさん飾られていたなあ、と思い出します。
山ぶどうは使い込むほど光沢が出るのだそう。



すべて手編みの籠ばかり。工房では三上さんご本人ともう一人の女性の方が二人で製作中でした。
三上さんは昭和5年生まれの名人で青森の「匠の人カレンダー」に登場しています。



出来立てのものは青々としていますが、時がたつと茶色に変色します。竹や蔓は生きているから。
全て手作りのため、もう新規の取引先はお断りしているとのこと。



日本中から注文が寄せられています。旅館からの大量注文や、鎌倉からの注文票もありました。
「みんな、ここから買い付けた籠を、自分の店に置いて数倍の値段で売るんだよ」
コバヤシさんは、細長い籠をチョイスしました。
「人に招待された時、これに手土産のワインを入れて、籠ごとプレゼントすると喜ばれるんだ」
わあ、なんておしゃれなんでしょう。



そんなコバヤシさん、弘前の主のようですが、実はれっきとした東京人。
今回乗せてもらっている車も、彼のものではなくレンタカーです。
年に50日以上弘前入りしているともっぱらの噂なので、もうほとんど弘前人ですね。

○ まさかの青森空港へ

買い物後に彼から「ごめん、ちょっと間に合わないわ」と言われました。
東京からやってくるもう一人を空港でピックアップする予定ですが、時間が押して弘前駅に寄って私を下ろす時間がないとのこと。
コバヤシさんと元CAさん、そして新たに来る人たちは、今夜は七戸の農村民宿に泊まるそうで、弘前駅は方向違いになるのです。

「一緒に青森空港まで来てもらって、それからは空港バスで帰ってもらっていいかな?」
なんと、予想外の展開になりました。
まさか、今回自分が空港まで行くことになろうとは。

「ごめんねえ」と言われながら、車は青森空港に着きました。
ずいぶん前に一度だけ、青森から飛行機で帰ったことがありますが、訪れるのはそれ以来です。
国際線だと、ここからどこに行くんだろう。



ピックアップする人が乗った東京からの便は、30分遅れています。
弘前駅行き空港バスは、飛行機の到着に合わせて発車するため、コバヤシさんたちと一緒にフライトを待つことになります。



まあせっかく来たんだし、それならばと空港内のこみせ商店街をチェック。
お土産、いろいろありますね~。
奇跡のりんご関連のスイーツがありました。
「この工藤さんが農薬なしのりんごを作り始めたのは、奥さんがアレルギーだったからなんです」とコバヤシさん。
顔が広い人なので、工藤さんともお知り合いかも。



○ さよなら同期の桜

大阪便の離陸時間が近づき、ヒヤマさんとのお別れになりました。
弘前駅ではなく、青森空港でお見送りする形になるなんて。これじゃ追っかけじゃないですか(笑)。

スタートが同じで、滞在中いろいろとお世話になった同期の桜が去っていくのは、寂しいものです。
しんみりしかけたら、本人に「滞在中には、あと何を食べる予定ですか?」と聞かれました。
「えっとですねー」すぐに熱心に考え始める私。
「こっちのものをまた食べたら教えて下さい。ぼくも食べ残したものがありそうなので」
「合点承知!」食欲ばんざい!

滞在中は、何でも吸収しようという貪欲な気持ちで臨み、お誘いは全て受けたという彼。
「前の晩の、4次会深夜のカツカレーもですね?」
「まあ、あれもいい経験になったし、食べないよりは食べておいてよかったし」
ポジティブ~!

最後まで食べ物のことを名残惜しみながら、飛び立っていきました。
どれだけ食いしんボーイなんでしょう。
でも大阪は食べ物天国ですから、またすぐ幸せは戻るでしょう。

シェアハウスから先に帰っていく人たちは、みんなとても寂しそうです。
私も自分の番が来たら、そうなるんだろうな。

○ ひとり高速バス

東京便を待って、さらに空港で時間をつぶします。
元CAさんに、JALの話をいろいろと教えてもらいました。
ようやく東京便が到着して、知り合いの女性と合流したコバヤシさん。
登場したのは、またもやモデルのような方でした。
コバヤシさんはなぜに綺麗な方ばかりとお知り合いなんでしょう?

私を紹介する時、なんとも説明に困っている彼。
「ええと、こちらの方はこれから別行動で弘前に戻る人なんだけど」
来たばかりの人は、状況が呑み込めていません。
「え、一緒じゃないんですか?なぜ七戸に行かないの?」
そりゃそうですよね~。
説明しきれないうちに、空港バスが発車しそうになったので、3人に手短にお別れをして、私はバスに乗り込みました。



バスの窓から、コバヤシさんと美女たちが先ほどの車に乗り、去っていくのが見えました。
これまで一緒だったみんなとお別れをして一人になり、一気に淋しい気分。
星屑ロンリネス~。

○ どしゃぶりチャリ

この日は夕方から夜にかけて雨になるとの天気予報でしたが、(帰りはそんなに遅くならないから大丈夫)と思っていた私。
安心して駅まで赤べこ号に乗って来ました。
でも空港まで行き、フライトを待って弘前までバスで移動するうちに、夕方にさしかかっていました。
(このまま天気がもってくれますように)と祈る気持ちでしたが、弘前市内に入った頃には、予報通り大雨になっていました。
わー、アンラッキー。

雨足が強かったので、バスで帰ろうかとかなり悩みましたが、駅前駐輪場に赤べこ号を一晩置きっぱなしにするのは不安だったので、雨の中を自転車で帰ることに。
スリップしないように気を付けながら夜道を20~30分走り、ずぶぬれになって帰宅しました。
少し前に帰ったというyumさんが、濡れそぼった私を見て「うわ、どうしたんですか!」とビックリしていました。

○ 初めてのおうち夕食

この日のことをお互い報告し合います。
田舎館に田んぼアートを見にいってから鯵ヶ沢までわさおに会いに行った彼女。
田んぼアート会場では、私たちと別れた後のせのおさんに偶然会ったそう。
鰺ヶ沢では、わさおにあったと写真を見せてくれました。
わさお、やっぱりいたんですね!安心したけれど、なぜこの前私たちが行った時には留守だったの~。
かなりの移動距離です。本人も「くたびれましたー」とかなりお疲れの様子。
私も大雨の中、夜道をずぶぬれで自転車を飛ばしてきたので、脚も気持ちもくたくた。
初めてリビングのヒーターを付けました。

今夜のハウス住人は、私たち2人だけ。
ハウスの中ががらんと広く感じます。
寂しいことしきりですが、静かでなんだか落ち着きます。

さて、夕飯にしようかな。
このハウスで夕食を食べるのは、驚くことに6日目にしてこの日が初めて。
夜な夜な歓迎会と送迎会が続いており、この日はたまたま何もない夜だったんです。
ここまで外食続きだったなんてー。
用意しておいたパスタをようやく開封しましたが、この分だと滞在中に食べきれなさそう。

おうち夕食でかなり落ち着いて、二人でのんびり過ごしました。
やっぱりこういう時間も必要です。
これまで時間を気にしてシャワーで済ませていたお風呂も、初めて浴槽にお湯を張って、この日の身体の疲れをお互い癒しました。
やっぱり湯船に使うと、リフレッシュできるわー。

お風呂上がり、彼女は缶ビールを数本開けています。
いろいろお酒を買い込んでいましたが、「おかしいな、ほろよいとか全然酔えないや。よければどうぞ」と言って、ビール飲みをしていました。
よっぽどタフに動いたんじゃないかしら~。
ほろよいを全部飲むと伸びてしまう私は、お茶にしておきました。

○ 変わらず同室

久しぶりの静かな夜。
洗濯ものびのびできます。

yumさんは、秘湯が好きだと判明。
「横浜といえば、綱島温泉には毎年行っていましたよ」
突然、かなりマニアックな昭和レトロ調のラジウム温泉の話題が出たので、驚きました。
綱島温泉がなくなって悲しむ会(勝手に作っている)の会員だったんですね!私もですよ!

人が減って空室が増えたので「移動して一人で一部屋使っていいですよ」と担当さんに言われましたが、私たちは移動せずに、変わらず同じ部屋に寝ています。
だって寒いし、寂しいし!

○ 移住疑惑

日々の様子をSNSにちょこちょこアップしていたら、東京の友人数名から真剣モードで「本当に移住してしまったんですか?」と質問されました。
長めの滞在なので、そんな風に見えたんでしょうか。
もうちょっとしたら帰ります~。

女性2人だけで過ごす雨の夜が、静かに更けていきました。

7日目に続きます。

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