「りんぷうの会」 公式ブログ

会長:神田佳明(能楽写真家)
能楽撮影教室・能楽舞台撮影会は現在、休止中です

お待たせしました!第7回 能楽写真コンテスト上位入賞作の発表です

2011年11月20日 | 写真展のご案内
予告してから、ちょっと日にちが経ってしまいましたが
第7回 能楽写真コンテストの上位入賞作、4作品を一挙大公開いたします。

11/4~10まで銀座のコダックフォトギャラリーで開催させていただきました
「輝く能楽の美」写真展にて、すでに発表させていただいた作品となりますが、
残念ながら写真展を見逃した方のために、
また、「写真展で実際に見たけれど、是非もう一度ネットでも見たい」
という方のために掲載することにしました

冒頭作品は、最優秀賞受賞作品。
寺田良子さん撮影の「恋慕の舞 麗しく」。
能「花筐」より。シテ(=主役)は喜多流能楽師の出雲康雅師です。

出雲先生の清楚で美しい舞姿を見事に写真作品として昇華させた傑作。
「小面(こおもて)」の可憐な表情も魅力的です。

撮影された寺田さんは、能楽講座を毎回、欠かさず受講され、
とても勉強熱心な努力家でいらっしゃいます。

今回の受賞作品を拝見して「寺田さんらしい、いい作品だなあ」と、
しみじみ思いました。

やはり写真には撮影者の人柄が如実に表れると思います。
いつも控え目で謙虚な寺田さんだからこそ、撮影できた穏やかで優美な「恋慕の舞」です。



こちらは、金賞受賞作品です。
小林俊弘さん撮影、「花籠あれど文悲し」。
同じく能「花筐」より。シテ:出雲康雅師。

寺田さんの作品と同じ「花筐」の舞台写真ですが、表情が全く異なっております。

舞台の前後関係で言うと寺田さんの作品が後場、小林さんの作品が前場です。

突然の別れを告げる手紙に、わなわなと打ち震え、青ざめた表情が痛々しく思えます。
静かな中にもシテの緊迫した心理状態が凝縮されたかのようなドラマチックな写真です。

さすがベテラン・カメラマンの小林さん、やはり、ただものではない と思いました。



打って変わって、勇壮で迫力あふれる 舞台写真の登場です。

能「鞍馬天狗」より「大天狗の威嚇」。シテは同じく出雲先生です。
銀賞受賞作品で、藤田ひろみさんの作品。

藤田さんは当ブログでも何度かご紹介させていただいておりますが、
国際的に評価の高い写真家の方
で、ともかく気風が良くて度胸もいい、
行動力のある素敵な女性です。

作品も本当に藤田さんらしい勢いのある力強い写真で
動きの激しい被写体の最高の一瞬をとらえるのが特に得意でいらっしゃると思います。



最後に特別技巧賞の作品です。
狂言「仁王」より本村政治さん撮影「驚愕!三人の仁王」。
シテ(主役):山本則重師、アド(助演者):山本則俊師。
※こちらの写真は合成作品で、実際の舞台では仁王が三人登場することはありません。

大蔵流狂言・山本東次郎家の全面的なご協力により、今年の6月、りんぷうの会で
初めて狂言撮影会を開催
させていただきましたが、その時、撮影させていただいたのが、
この「仁王」と「止動方角」でした。

博奕打ちの男二人が共謀して、一人が仁王に化け、
参詣人から金品を巻き上げようと計画。
悪巧みが成就しかけたところで、足の不自由な男が参詣に訪れて、
思わぬ展開になる…というのが「仁王」のあらすじです。


本村さんの受賞作は、特別技巧賞の名にふさわしく技術的に大変、優れた作品ですが、
単に技術面だけでなく、発想そのものに意外性があって秀逸だと思われます。

ユーモアのセンスに裏打ちされたテクニックの勝利ということではないでしょうか。

狂言「仁王」の舞台の面白さを一枚の写真の中にうまく凝縮して表現されていると思います。

本村さんは、英国王立写真協会会員でいらっしゃる写真家の方で
ホームページもお持ちです。

本村政治さんのホームページ:「写真で綴る世界旅行」
http://www.m-motomura.com/

よろしければ、是非、ご覧ください


◆ちょっと長い記事になってしまいましたが、
第7回 能楽写真コンテスト上位入賞作品特集、いかがでしたでしょうか。

いずれ劣らぬ傑作揃い。見ごたえ十分だったのでは~と思います。

ご高覧いただきまして、ありがとうございました。



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