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世界的な金融緩和で「不景気の株高」になるか?

2012年07月07日 08時53分34秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)欧州、英国、中国が利下げを発表。
2)米国では、景況感が悪化している。
3)各国が金融緩和をしても、すぐに株高が起きるとは限らない。

◆世界的な金融緩和期待が高まる

昨日は、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、中国人民銀行が利下げを実施する発表がありました。ECBは政策金利の0.25%引き下げを行い、過去最低水準となる0.75%、中国人民銀行は6月に続いて2ヶ月連続の利下げとなっています。

欧州、中国の利下げ実施は世界的な流動性相場に期待がかかるため、株式市場にとって好材料と考えれられます。しかしながら、欧米株式市場は「反応薄」となりました。

欧米株式市場に足並みをそろえるように、日経平均も一時9000円を割り込む動きとなって、世界的な利下げムードに反応しない結果となりました。



各国の中央銀行が金融緩和政策に踏み出すということは、景気が悪いことを認めたということです。株式市場が利下げに反応しないのは、景気悪化と金融緩和の綱引きになっているということになります。

昨日の米国で発表された6月のISM「非製造業」指数は53.2から52.1となり、2010年1月以来の低水準となりました。先行して2日に発表されている6月のISM「製造業」指数はは49.7となり、2009年7月以来初めて50を下回っています。

ISM指数はGDPや雇用統計など一般的な経済指標ではないため、あまりなじみがないかもしれませんが、とても重要な指標です。

ISM指数とは、米サプライマネジメント協会(全米供給管理協会)が毎月第一営業日に発表する経済指標です。製造業と非製造業指数がありますが、米国の景気先行指標としては製造業指数の方が注目されます。

ISM指数は、企業に対して、受注や生産、在庫などの状況をアンケートした結果を指数化したものです。企業のマインドをアンケートして指数化するので、今週日本で発表された「日銀短観」と非常に似た指標となります。

ISM指数は「景気判断の分かれ目が50」となっていて、「製造業指数が50を割れているときに、FRBは利上げをしたことがない」ということから、FRBの注目度がとても高いということがわかると思います。

◆不景気の株高はおきるのか?

世界的な金融緩和の流れからイメージすることは、「不景気の株高期待」ではないかと思われます。株式市場は、「景気がよいと上昇」「景気が悪いと下落」が自然なのですが、「好景気の株安」「不景気の株高」ということがおきます。

景気が良くて過熱してくるとインフレになりますから、中央銀行はインフレを抑えるために金融引き締めの政策を行います。この結果、「今の景気は絶好調」でも株式市場が下がりだします。反対に「今の景気が悪い」と金融緩和をして景気を下支えしようとしますので、お金が市場に流れて「金余り相場」が起きることがあります。

どうして起きるのかといいますと、「株式投資は将来を買う」ことだからです。今の景気は関係なく、これから3ヵ月後、半年後、1年後がどうなっているかを想定して株を買う人が多いから、「好景気の株安」「不景気の株高」ということが起きるといえます。

「不景気の株高」は流動性相場といわれる現象です。最近でも株が上昇して「過剰流動性相場」と表現されることが多かったので、世界的な金融緩和が起きたので「株が上がりそう」と期待をしてしまいがちではないでしょうか。

単純に金融緩和になったとしても、株が上がるためには、将来の企業業績が良くなることが前提といえます。欧州の債務問題は解決したとはいいきれませんし、先月3年半ぶりの利下げを行った中国は、景気減速が始まったばかりかもしれません。

世界的な金融緩和でも株式市場の反応が薄い背景には、投資家が先行きの景気に自信が持てないことを示している可能性があります。しばらくは、景気悪化と金融緩和の綱引きが続くと考えて、安易に高値を追いかけないようにした方がよいと思われます。

レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明



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