好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

ト書きを信じるな。

2009-08-28 | その他ミステリ
『匣の中の失楽』(by竹本健治)、読了。

「ミステリ四大奇書」の一つと言われる、ミステリ好きなら押さえておくべき作品。

一体どれほどトンデモナイ怪作なのか、怖々と読み始めて。
結果、あっと言う間に読んでしまった。

確かにこの本、構造は複雑である。

ミステリ好き同士による、とあるサークル内で起こる連続殺人事件。
毎回、不可思議な事件を前にして、
コレはどういう事だ?と一同が悩んだところで、場面は変わる。
この設定によって。

「……っていう話を僕、書いたんだけどさ」

つまり、一つの章を読み終えるたびに、
今までの文章は、一人のキャラによる小説なんですよーとアピールされるわけ。
前の章で殺された人が、次の章では苦笑いしながら作品を読んでたり……
なんて流れがフツーに出てくる。

こんなヤヤコシイ作品ならば、『虚無への供物』や『ドグラ・マグラ』などと並ぶ
奇書とされるのも納得だ。

しかし。個人的にはむしろ気に入った。
「ト書きが信用できない小説」ってのはこういう物こそを指すのだ。
今となっては、食わず嫌いせずに早く読んでれば良かったと少し後悔。
『ひぐらしのなく頃に』より前に、『逆転裁判4』より前に、
そして『カーニバル』三部作を読む前に、知っていたかったなぁ。

それでは。また次回。

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