銀の砦

子供の頃に構想した漫画ストーリーの焼直し小説?

#38

2016-12-13 23:23:00 | 銀の砦
2人はテーブルを挟んで対面に座っていた。いつもの席。かつては日常の風景だったが、少し久しぶりだ。
ぴよ吉は少し離れたところで、おとなしくしていた。

「偉大なる力を得ようとしたんだ」
セルルは静かに話し始めた。
「・・・誰が?」
セルルはその名前を言うのを躊躇した。予想は出来たが、それはリィにとっても、あまり聞きたくない名前だった。
「リシュナさ」
それは、国王の第一子、イリノの兄の名前だった。そして、その者はセルルの許嫁でもあった。
リィがこの国に来た時点で既にここには居なかった。詳しい説明は一切されておらず、リィはその存在を知っている程度だった。
「それで?」
「何年か前だ。私が砂漠でお前を見つけた何ヵ月か前。リシュナが突然、西の山に行く計画を立てた」
「ああ、あれか? あの婆さんが変な入れ知恵したんだろ?」
「いや。占者サナスは何も言わなかった。リシュナが自分から言い出したんだ。誰に何を聞いたのか、何故思い立ったのか、詳しいことは聞かされていない」
「へぇ・・・」
「貴族院の反対にもあったのだが、リシュナは強行した」
しばらく沈黙が続いた。
「セルル?」
「ああ・・・。同行したのは、当時リシュナの専任守備隊員だったシドンの父親と、私と。ほかの守備隊員十数名。死者も多く出してしまった」
「力は得られたの?」
「まさか。であれば、今こんな状況じゃないだろう? 結果は失敗だ」
「で、セルルはその時に足をケガしたってわけ?」リィとしては、セルルの足の痛みが気がかりだった。正直、リシュナのことも力のことも、どうでもよかった。
「そうじゃない。いや・・・」
また沈黙が続いた。
「やはり、よそう」
セルルはクスッと笑ってみせたが、その表情は笑っているようには見えなかった。
「なんで?」
「明日、シドンから説明させる」
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