ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)とグラナダ・ホームズを語る
グラナダ(NHK)版ホームズの鑑賞日記とホームズ役ジェレミー・ブレットに関する情報を発信していきます
 



今日は、グラナダ・ホームズの「バスカビル家の犬」の舞台裏に戻りたいと思います。
「Bending the willow」の概略の続きで、108ページ後半から109ページまでをご紹介しています。


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ある評論家はグラナダの「バスカビル家の犬」に対し、このようなコメントを出している。

「二時間長編の『バスカビル家の犬』は、目新しさがなく、ペースも遅い。ホッとしたのは、魅惑的なカメラワークとジェレミー・ブレットの演技。本作品は、ミステリーやスリラーとして成立するのに失敗している。一番の失望は犬で、脅威を感じるというよりは、間抜けな印象を受ける」

「Today」紙にも「ガーディアン」紙にも、「光彩かける」と評されていた。

なぜグラナダTVの「バスカビル家の犬」が失敗したかシンプルに説明するとすると、それは「雰囲気」ということに違いない。雰囲気に欠けていた。怪奇的恐怖、陰気な脅威もなく、主人公が魔犬から危険にさらされることもない。そう、雰囲気作りが欠けていたのだ。

しかし、私は何度もこの作品を見たのだが、こうしたら良いという答えは明白には出ないのだった。そんな時いつも私はジェレミーの晩年の言葉を思い出す。「多くの間違いがあった。僕達は、もっと上手く製作できるよ」

悲しいかな、私達は二度とこの作品の撮り直しを見ることはできない。
この章を閉じる前に、もう一度グラナダの「バスカビル家の犬」を鑑賞してみた。繰り返しになるが、本作品は悪くはないが、すべてがとってもスローなのだ。演技がありきたりで、時としてジェレミーの演技でもそういうことがあった。ドラマチックなシーンは失われ、作品のラストや撮影も通り一遍になってしまった。
こうして決定的なシャーロック・ホームズで決定的な「バスカビル家の犬」を製作する機会は失われた。


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今日で長かった「バスカビル家の犬」も最後です。
この章をご紹介するとき、かなり間隔が空いたので、みなさんお忘れかと思いますが、
ジェレミーはこの「バスカビル家の犬」をもう一度撮り直したい作品、として挙げています。
「今ならあれよりもっと良い作品ができる」、ジェレミーが亡くなる年、1995年のインタビューでそう感想を述べています。

色々、本作品について検証してきましたが、やはりこの作者の言うとおり、「雰囲気が欠けていた」、それが失敗でしょうか。
確かに良い作品だし、見ていて面白いところも多いですが、確かに精彩欠く作品だったやも知れません。

作者の最後の締めくくりに、ホームズとグラナダシリーズに対しての深い愛を感じました。
「決定的なホームズで、決定的な「『バスカビル家の犬』を見ることはできない」
・・・ホームズファンとして、グラナダシリーズを、そしてジェレミー・ホームズを愛するものにとって一番の傑作で、最高のジェレミー・ホームズを見たかった!
本当にそれだけは、悔やまれるかも。

次からは、舞台劇「シャーロック・ホームズの秘密」の舞台裏に迫ります♪
日本では上演はなかったので(予定はあったらしいですが)、詳しく情報が入ってきていないだけに、この本でどれだけ紹介されているか楽しみです♪

あ、その前に進まない「The man who became S.H.」のご紹介も進めたいと思いますので、もうしばらくお待ちくださいね


昨日は、更新できなくてすいませんでしたー
うう、風邪気味で調子がわるいのです。
妊娠期間は、お薬が飲めないのでなかなか直りませんー。
今日は昼寝しつつ、間に訳していました。

明後日は、このブログの1周年記念なので、簡単なフリートークをアップ予定です♪

そうだ!言い忘れてましたが、5日のTVで西村京太郎が出題するミステリークイズの番組があったんですが、
それにグラナダ・ホームズのオープニング曲が使われていました!!

なにげなく一人で夕飯を食べつつ、TVを見ていたらあの曲が流れるんだもん!
驚きましたよ!!
いやー、やはりミステリーの中でもグラナダ・ホームズは金字塔なんですね。
今になってもこうしてミステリー番組でフューチャーされるとは
私は途中から見たのですが、CMの時に流れ、そしてなんとエンディングにも流れていました。
多分、現代風にアレンジしてあったと思うのですが、曲はあのままの雰囲気。
いやーとにかく嬉しかったです!まだまだやります、グラナダ・ホームズ♪♪
今年はこの勢いにのって、ぜひNHK本「ホームズの冒険」の復刊希望であります!

ご覧になった方は、ぜひ感想を教えてくださいませ♪

では、またー。


りえ(rie_002@goo.jp)


本「シャーロック・ホームズの冒険―NHKテレビ版」の復刊にご協力下さい! キャンペーンを続行中ですので、どうぞよろしくお願いします ぺこり 
ただいま、復刊交渉まで30票です!今年こそ復刊を♪
ご協力頂いた皆様、本当にどうも有り難うございました

          

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ジェレミー・ホームズ三昧 (Motoko)
2006-01-09 21:01:04
卒論を提出してからは、週末になるとジェレミー・ホームズばかりみています。

今週末も、「三派風館」、「瀕死の探偵」、「マスグレーブ家の儀式書」、「修道院屋敷」、「海軍条約事件」そして、「バスビカル家の犬」です。ちょっと見すぎですね。でも全然飽きません!

これらの作品の中では、「海軍条約事件」のジェレミーは断然にハンサムで、素敵な場面が多いですよね。初夏のたぶん麻のスーツだと思うのですが、あの白っぽいスーツを颯爽と着こなして、魅力的すぎます。バラのあの有名なせりふも、ジェレミーファンでないホームズファンも、納得させられる場面ではないでしょうか。まだ、初期の頃の作品で痩せていて、小説のホームズそのもののイメージですね。ちょっとハンサムすぎるのが玉にキズかも。(私はホームズはハンサムだとは思っていないので)

今回は、すべて日本語で観ました。露口茂の声のファンが多い理由がよくわかりました。話し方も声もとても魅力的ですね。

でも、原作に出てくるホームズは甲高い声の持ち主のようですから、小説のホームズのイメージに合っているのは、ジェレミーの声のほうでしょうね。

グラナダ版「バスカビル家の犬」は、そんなに悪い作品だとは思いません。ただ、原作が優れていたので、それに比べると物足りないのは否めないでしょうけど。ロンドンで、ホームズがステープルトンの使った馬車を見つけだし、御者に客の名前を問いただすのだけど、御者から「シャーロック・ホームズ」だと聞かされた時のホームズの表情を、ぜひ、ジェレミーの演技で見たかったなぁ。彼なら、きっと満足のいく、そして映像をみている私たちの笑いを誘わずにはいられない表情をしてくれたはず。

グラナダが予算をけちったばかりに、ジェレミーにもう一度撮りなおしたいと思わせる程度の作品になっちゃったんですね。この作品で一つ気に入らない点があるんです。ステープルトンの妹と偽っていた妻役の人が、ホームズ達に助け出された時、なぜあんなにジェレミーにすりすりしているの?嫉妬というよりも、すりすりする必要性を感じないんです(苦笑)。「犯人は二人」で、ジェレミー・ホームズがアガサとキスする場面は全然不快ではないのですが、あのすりすりの場面は、なぜかあまり良い気持ちがしません。嫉妬なのかしら?

「バスカビル家の犬」のラスト・シーンでの馬車の上のジェレミーの表情が好きです。(なぜ、ホームズがあそこで馬車を操っているのだろうと疑問に思うのですが。)ユグノーのチケットがあるから、マルチーニに寄って軽く食事してから行こうとワトソンに提案するのだけど、ワトソンが「それはいいね!」と喜んでいる顔を、チラッと見る時のジェレミーの表情と目がとてもやさしさにあふれているように思いませんか?友人が喜んでいるのを見て、自分も喜んでいるらしいあの表情は、ホームズというよりも、ジェレミー自身の表情のような気がします。あ~、長話になってしまってごめんなさい。
 
 
 
素敵な週末ですね♪ (りえ)
2006-01-11 17:56:22
>Motokoさんへ



長文コメント有難うございましたー♪読み甲斐ありましたよー。

うちは長文コメント大歓迎ですので、これからも宜しくお願いします(笑)



週末は、グラナダ三昧とのこと。素敵な週末をお過ごしですね!



NHK版の吹き替えも本当に素晴らしい出来ですから(声優さんがみんなハマってて、吹き替えもクオリティーが高いです)見飽きません。

露口さんがまたジェレミーの顔とぴったり合って(笑)、ホームズといえば日本人にはあの声のイメージかも。



「バスカビル家の犬」は、そうなんですよー悪い作品じゃないけれど、やはりジェレミーの演技で決定版を!と夢見ていたファンにとってはがっかりの内容です。

仰るとおり、御者から客の名前が「シャーロック・ホームズ」だと聞かされる場面、あったら良かったのに!!

とにかく予算不足という信じられない理由で、これが実現できなかったのが残念でなりませんー



でもシーン、シーンで見ればジェレミーの素敵なシーンも多いですよね。

最後のコンサートチケットのシーンは、全体的にダーク色の「バスカビル家の犬」のラストを締めくくる和やかなシーンで良いです。

あのまま、くらーいままで終わってしまっては、なんだかずーんとしてしまいますが、

ロンドンに戻ってのあのシーンは、やっとホームズ、ワトソンに笑顔が戻り、こっちも安心してラストを迎えられます!

仰るとおり、あの笑顔はジェレミー自身の友人を思いやるような表情がまた素敵です



確かにステープルトンの妻は、救出の際ジェレミーに不必要に寄りかかっている気がします

でも私は、充分「犯人は二人」のキスシーンも充分妬けます!(笑)

アガサがそんなに美人の女優ではないので(すいません、あの女優さん・・)、余計いらいらしちゃいますー



「海軍条約事件」は、ほんとに名作です!

あのバラのシーンは、何度見てもパジットのイメージそっくり。

しかもハンサム度は断然ジェレミーが勝っていますから

白いスーツといえば、「Secret Seagull Island」という作品でも有りましたし、プライベートでも白いスーツを着こなしているジェレミーを見たことがあります。

あんなに白スーツを素敵に嫌味なく着こなせるジェレミーは、本当に素敵です♪



ジェレミーがハンサムすぎるというのは、私も日頃思っています。

本当にどうしてあんなに神がかりに美しいのでしょう。

若い頃は、素晴らしい一つの芸術作品のように、ジェレミーそのものが「美」の作品。

40代になったらそれに更に味が出て磨きがかかるんですから。

俳優ジェレミー・ブレットという人生、そして存在が、ひとつの素晴らしい作品だったように感じます。



確かにホームズがあんなに格好よかったら、依頼者の女性はワトソンよりホームズに恋をしてしまいそうです(笑)

 
 
 
Objection! (Erika die Schoenste)
2006-01-23 10:26:14
Motokoさま、りえさま、



はんたーい!

ホームズさまはとーっても素敵なハンサムでしたとも!

ただ、ジェレミータイプの華やかな美貌ではなたっただろうなとは思います。



うーん、でもやっぱり、最初にグラナダシリーズを見たとき、

セットから登場人物から もう”まんま”だったので

完全にノックアウトされてしまったんですから

ジェレミー=ホームズ ナノダ。



Motokoさま、年末に卒論を仕上げられたとか。

すごいなあ、えらいなあと思っています。

卒論の”卒”の字には”あわただしい”とか”終える”などの意味もあるそうで、

その昔 わたしがしかたなく書いたのは、まさにあわただしく終えるための卒論でした。



あなたのは、何についての論文なんだろう?と楽しく想像しています。











 
 
 
私のホームズ像 (りえ)
2006-01-25 17:31:17
こんにちは、Erikaさん。コメント有難うございます♪



あ、異論反論Objection!ですね。(元ネタは「NEWS23」)

原作だけ読んでいる頃には、ホームズは味のある素敵なおじ様かなー(もちろん容姿もそれなりに素敵に)

、と想像していましたが、

ジェレミーほど女性が一目見て、になるくらいの美貌だとは、思ってませんでした。

私の中で、原作のホームズは顔より中身にウエイト置かれていて、中身が充実している素敵な男性って感じですね。

男性は、見場よりもやはり実力。仕事できてナンボと信じてます!



というわけで、マイナスイメージではありませんので

 
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