梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

(再び)駅伝なんかいらない

2016-12-30 05:51:56 | 日記
   今朝の読売新聞を見たら、何と箱根駅伝関係の記事だけで5ページの紙面が割かれていました。本番を前に以前から関係する記事が掲載されていたので、相当なページ数が箱根駅伝だけで消費されていることになります。駅伝当日、往路で1日、復路で1日を費やすので、2日間にわたってまた紙面が使われ、終了後も総括としてまだ記事が続くと思われます。

   読売新聞は、公器としても使命を忘れている感があります。世の中に箱根駅伝のファンが一体どれだけいるというのか、それを考えれば、これほどまでに紙面を割くのは、横暴だとさえ言えるでしょう。購読者の多くは自分が関心を持たない内容を、購読料を払って連日突きつけられていることになります。

   私はアンチ陸上ファンではありませんし、何よりも自分でも陸上競技に手を染め、高等学校の陸上部の指導もして来た人間ですので、長距離走そのものにケチをつけるつもりはないのです。しかし、あまりにも商業化された箱根駅伝には大きな疑問を抱かざるを得ません。かつ、箱根駅伝を広告媒体として利用できる読売新聞にとっては大きなメリットがあるかもしれませんが、選手たちが最終的には読売新聞の間接的な宣伝媒体として利用されているという側面は否定できません。

   加えて、以前にも書いた通り、駅伝は日本の長距離界にとって、有害でありこそすれ、メリットはほとんどありません。早稲田大学競走部の監督である渡辺氏は、アメリカまで視察に渡り、低酸素室のような人工的な設備を見て感激して帰って来たようですが、アメリカにも、世界中どこの国にも、駅伝など存在しないという事実には気が付いていないようです。

   陸上競技のシーズンは、概ね4月から9月です。アメリカでは、高校生などは冬の間陸上競技を離れ、球技などのスポーツを楽しむことが許されていますが、日本にはそうした土壌が全くありません。陸上競技でも他の種目では、試合が無くなる半年間は、休養も含めてじっくりとトレーニングを重ねることが出来るのですが、駅伝に手を染めてしまうと、そうは行きません。

   9月にトラック・シーズンが終われば、息つく暇も無く、駅伝シーズンに入ります。陸上の名門大学であれが、全日本学生駅伝、出雲駅伝、箱根駅伝等、冬の駅伝は目白押しです。男子のみならず、女子も箱根が無いだけで、状況は変わるところがありません。さらに大学を卒業しても実業団に入れば、今度は社名を染め抜いたユニフォームで駅伝を走らされることになります。

   駅伝は中学生からあるので、長距離を志した陸上選手は、引退までの期間、一貫して駅伝にエネルギーを注ぐことになります。そこには一貫してチームのために身を犠牲にするという日本的美学が貫かれているので、手を抜くことなどできません。先日読んだ記事によると、大学に入ってから10回も疲労骨折を繰り返したという選手がいます。選手を疲労骨折させてしまうこと自体、監督やコーチの責任問題になるはずなのですが、記事はあくまで、何度も骨折するほど頑張ったのだという、美談に仕立て上げてしまっています。

   また、駅伝シーズンはまた、マラソンシーズンとも重なります。フルマラソン出場は、シーズン中に2回程度に抑えるのがベストだと考えますが、休養を含めながら走らなければならないフルマラソンの前にも後にも、駅伝が控えているのですから、選手の精神的肉体的負担は過剰にならざるを得ません。人間の体も機械と同じで、走れば走るほど経年劣化、金属疲労が生じると考えるべきです。

   余談になりますが、陸上競技を経験した日本のトップ・アスリート達の中で、最も長命なのは、跳躍選手、最も短命なのは長距離選手だそうです。命を削って取り組んでいるようにすら見える長距離選手たちと比べて、跳躍選手はお気楽そうにさえ見えます。過激なトレーニングをすれば全身のバネが失われてしまうので、跳躍選手は連日くたくたになるまで練習するようなことはありません。なにしろびょんびょんと身軽でなければ成立しないのが跳躍競技なのですから、当然のことだと言えるでしょう。

   私は駅伝は日本の長距離界においては、百害あって一利なしとさえ考えています。私自身も、自分が指導している間、選手たちを一貫して駅伝には参加させませんでした。それで不都合は何もありません。もっとも私が転勤した途端、後任の顧問がすぐに駅伝を取り入れてしまったので、私の指導は一時的なものに終わってしまいましたが。

  ところで駅伝にも、微笑ましい駅伝がないわけではありません。トヨタ自動車では、全社駅伝という制度があって、世界中の支社や工場から職場チームを組んで、日本に集結するそうです。応援を含めると、3万人もの従業員がその日のために来日するとか。こんなのは楽しくていいですね。

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