梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

くたばれ「うんこ漢字ドリル」

2017-06-28 14:28:31 | 日記
   中国語個人レッスンLilian。2月から開始して、既に3冊目のテキストに入りました。自分でテキストを指定したのですが、実際に開始してみると、東亜学院のテキストでは扱わない実用的な語句のオン・パレード。もはや片手間では済まなくなってしまいました。

   中国語を学んでいると、当然ながら数字以外は全面的に漢字で書かれています。何しろ漢字というのはもともとが「絵」なものですから、アルファベットを主体とする現代社会では、極めてまれな文字です。馬とか亀とか山いう文字を見ると、こればもともとは絵から出発した文字であることがなんとなくわかりますね。凸とか凹になると、もはや絵そのものではありませんか。

   そんな背景を持つ漢字ですが、最近「うんこ漢字ドリル」というものがついに完成し、当用漢字をほぼ網羅しているとのことです。教育評論家でさえ中にはこのドリルを絶賛している人がいるとか。とにかく小学校一年生から六年生の間に習得すべき3,000ほどの漢字のすべてを「うんこ」と関連付けて学習させようというのですから、このドリルを作成した人の努力には頭が下がります。

   頭が下がりますが、しかし、これは明らかに間違ったやり方です。これは要するに「漢字を覚えさえすりゃいいんだろう!」という大変乱暴なやり方であり、極端な言い方をすれば文化に対する破壊行為だとも言えます。掲載されている例題を見てみると、

   あやまりながらうんこをするから(せい)意が伝わらないんだ。
   
   一人前のうんこができるように(せい)心誠意努力します。

などというものがありました。これがいかにくだらない出題であるかは、解説を要しないと思いますが、問題は、「うんこ」と「誠意」の間には何の関係もないこと、「一人前のうんこ」というものが意味不明であること、「うんこ」をするのに「誠心誠意努力する」のか、という、根本的な文脈の問題があるのです。

   国語を学ぶ上では、どの単語をどういう文脈で使うのが正しい用法であり、美しい日本語を覚えることになるのかという点を忘れてはなりません。しかしこの問題集では一つの漢字につき例題が3つずつ用意されているので、3,000の漢字を覚えるために、9,000もの支離滅裂な、「うんこ」がらみの日本語の文章に接することになります。それが国語教育として望ましいことなのか、よく考えていただきたいものです。

   このドリルで漢字を学習した皆さんは、それぞれの漢字が持つ歴史的背景、情緒、語感、組み合わせといったものを離れて、すべてが「うんこ」と結びついてしまうことでしょう。漢字をたくさん覚えたことと引き換えに、漢字という文化が持つ大切なものを捨て去ることになるのです。

   彼らが成人した暁には、こんな光景が見られるかもしれません。若い者が集まっての宴会の席上、期せずしてクイズ大会になります。誰かが、「あやまりながらあ!」と上の句?を言うと、全員一斉に、「あやまりながらうんこをするから(せい)意が伝わらないんだあ!」と叫びます。
誰かが課長の説教の口真似をするとすかさず、「一人前のうんこができるように(せい)心誠意努力します!」という合いの手が・・・。おそらく彼らはたくさんの文章を一生忘れないことでしょう。

   それに、それにですよ。小学校一年生か六年生までに習う漢字のドリルなんだそうです。一年生か二年生ならまだいいでしょう、五年生とか六年生にもなって、「うんこ」と関連付けて漢字を勉強するなんて、もはや教育とはかけ離れた世界ではありませんか。特に五年生・六年生ともなれば、女子は自分たちの体について学習し、実際に月のものが始まっている子がたくさんいるはずです。そんな女の子たちが「うんこ」で漢字を学習するのでしょうか。この「うんこ漢字ドリル」なるものが、世の中に定着しないで終わることを切に願うものです。

これからはグローバル社会になるのだそうですが、いっそ「うんこ英単語ドリル」でも開発された方が少しはましなのではないでしょうか。

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