昨日、かなり強行な旅でしたが
母が行きたがっていた無言館へ日帰りで出かけました。
第二次世界大戦。
東京の美術大学を卒業し
これから日本の美術界を担うはずだった若者たちは、
「生きて帰ってもう一度絵筆を握る」
と強く願いながら出征して行き、
その願いを果たすことなく、儚く散った。
「生きて帰って、このかきかけの絵を完成させる」
と恋人に告げて出征し、亡くなった人がいた。
出征前、「ほんとうは絵を描き続けたい」
と家族にそっと本音を漏らし涙を流した人がいた。
息子を亡くして数十年。
一言でも戦死した息子の事を話題にすると不機嫌になった父親が
晩年になってポツリと「悔しい」と口にした。
こんなに早くこの世を去らねばならなかったのならば、
もっともっと絵を描かせてあげたかったと
泣いた家族がいた。
彼らの無念さと家族の絶望はいかほどだったのだろう。
彼らを死に追いやった「地獄」が
ほんの61年前に現実に起こったんだということを、
私は本当にわかっているのだろうか。
平和な世の中に生まれて、
平和な世の中で生きることしか知らない現代の自分。
彼等とその家族達の悲しみを全部受け止めるには。
私は、あまりに小さすぎる。
無言館を訪れるには覚悟が必要です。
数々の作品を見て、
少なからず気持ちの良い気分になれるわけではないからです。
正直に言えば暗鬱な気持ちになります。
ただ彼らの作品を見て今の私たちに何ができるか、
あるいは彼らの存在を知り
彼らが遺していったものを見て、
私たちなりにその時感じた気持ちを
どうこれからの人生で昇華していくのかが
問題なのではないかと思います。
初めて知りました。
行ってみたい。すぐには無理ですけど。
ちょっと心の隅にでも留めておきます。
教えてくれてありがとうです。
機会がありましたらぜひ訪れてみてくださいね。
澄んだ空と木々の青さが
優しく無言館を包みこんでいるようで
心に染み入りました。